マザー・テレサが、捨てられてミルクを飲もうとしない赤ん坊を保護したことがあった。どのようにミルクを飲ませようとしても、赤ん坊は嫌がり、飲もうとしない。
ミルクを口に含ませてもそれを飲み込まず、少し飲んでもすぐに吐き出してしまう。衰弱して、やつれ、自ら死んでしまおうとしているような赤ん坊だったという。
そこで、マザー・テレサはどうしたのか。
この聖女は、ひとりの修道尼に命じて、何日もずっと赤ん坊を抱きしめさせたという。
しっかりと抱き締め、声を掛け、優しく包み込む。そうやっているうちに、愛を感じた赤ん坊は、やがてミルクを飲むようになった。
赤ん坊は自分が親に捨てられ、愛されていないことを、すでに知っていたのだ。そんな愛を失った子供を生き返らせるのは、抱きしめて愛を与える行為だった。