カンボジアの北部は2000年頃からどんどん繊維・裁縫工場が建つようになり、多くの女性労働者がこの工場で働くようになっていた。
2000年頃、カンボジアの工場で問題になっていたのは、児童の強制労働だった。その後、欧米でも児童労働が問題になっていくと、この問題は収束に向かっていった。
しかし、当時も今も変わらないのは、労働者の賃金問題である。こういった工場で働く労働者は多くが女性なのだが、彼女たちは安い賃金で奴隷のように働かされている。
安い賃金とは、どれくらいなのだろうか。2014年4月、カンボジアの労働者と工場側が激しく対立して暴力事件にまで発展していたが、ここで分かったのは、彼女たちの賃金は月100ドルだったことだ。
日給ではない。月給である。いくら途上国とは言えども、この賃金はあまりにも不当だ。カンボジアの労働省は最低賃金を2015年から28%アップさせることを約束したが、それでも多くの女性たちは「少なすぎる」と反発した。