文学

マンガ全盛時代。忌避されていく長文と、これからも求められていく「描く」才能

元々、ブラックアジアは東南アジアの暗いアンダーグラウンドの世界を題材にしているのだが、これを私自身がコミカライズ化したら、きっと誰も読めないような凄まじくダークな絵柄でブラックな内容になってしまうに違いない。もっとも私がマンガを描けるわけがないので、ただの夢想だが……。(鈴木傾城)

◆ビンテージ・エロチカ。昔の人は今の時代よりも道徳的だったわけではない

人間の堕落は別に今に始まったことではない。人間は常に性に取り憑かれ、翻弄され、そして堕落にまみれていた。 性の堕落は今も社会を揺るがせているのだが、性は本能に刻み込まれている刻印なので、もともと人間は堕落にまみれているのが「本性」なのだ。そのため、宗教がいくら道徳を説こうが、社会がいくら退廃を規制しようが無駄だった。 いくら建前で立派そうに見せている人間でも、一皮剥けば堕落まみれなのである。それは […]

◆背徳の女神マダム・エドワルダと、メグレ警視の共通点は?

売春宿に入り浸っていた有名人は珍しくも何ともない。 伊藤博文は売春宿で政治を語っていた。野口英世は売春宿で豪遊していた。 アメリカ大統領J・F・ケネディは高級娼館を営むマダム・クロードの館に足を運んでいた(マダム・クロード。高級娼婦を生み出した伝説の女性)。 フランスの哲学者ジョルジュ・バタイユは、図書館の館長をしていたが、夜は売春宿に行って朝までそこにいたのは有名な話である。 コンテンツの残りを […]

◆アデル・ユーゴーになってしまうのではないかという恐怖

『アデルの恋の物語』という映画があった。1975年のフランスの映画で、イザベル・アジャーニが実在の人物アデル・ユーゴーを演じていたものだ。 恋の物語……。題名は甘いが内容は甘くない。 ひとりの男を愛した若い女性が、激情とも言うべき愛の「想い」を妄信的に信じ込む。 男につきまとい、男に振られても父親に「婚約しました」と嘘の手紙を書き、男がカリブ海に赴任して行くと彼女もまた後を追う。 最後、すでに熱病 […]

◆エマニエル夫人。汚れて「いない」と感じるのは恐ろしいわ

エマニエル夫人という書籍は1963年にフランスで刊行された書籍だ。最初は出版社も著者の名前さえも印刷されない「謎の書物」だった。 しかし、これが出版されるや否や、大きな話題になり、フランスでは爆発的な売れ行きを示した。 著者は誰だか分からないのだが、詮索されるようになると「エマニエル・アルサン」が著者だと言われるようになった。 しかし、今度はこのエマニエル・アルサンが誰だか分からないのでまた騒ぎに […]