ブラックアジア外伝2

『ブラックアジア外伝2 売春地帯をさまよい歩いた日々』電子書籍化(完結)

本日は、『ブラックアジア外伝2 売春地帯をさまよい歩いた日々』電子書籍化しております。『売春地帯をさまよい歩いた日々』は、これでほぼすべてコンテンツ化が終わり、これにてシリーズが完結したと考えて頂いて構いません。たくさんの書籍化に付き合って頂き感謝致します。

アフリカから来た女ウィニー。「私はすごくいい女」

二〇一九年。真夜中のスクンビット通りはストリート売春をするタイの女たちで溢れているのだが、アラブ人街から歩いてそうした女たちを見つめながらスカイトレインのナナ駅近くまでぶらぶらと歩く。 私の前にでっぷりと太ったアラブ人女性とその家族が歩いていて道をふさいでいるのだが、その歩みがゆっくりなので私もそれに合わせてゆっくりとまわりを見ながら歩いていた。 スクンビット通りは以前とそれほど変わりはない。 し […]

「あなたの名前は岡本よ」と2015年に言われたかった理由

カンボジア・プノンペンの136ストリートには、今や数多くのガールズ・バーがひしめいており、それがプノンペンの歓楽街の中心となっている。 それぞれの店が女性を常時10人から20人ほど用意して中には24時間営業で女性をシフトさせながら営業している店もあって、それぞれに欧米人の客が入っている。 どこの店も店頭に数人の女性が客寄せしており、その声に釣られて店の中に入ると、大勢の女性が顔見せにやってくる。 […]

「ボンボン、ニャムニャム」とすがりついてきた女の意図

タイのパッポンやナナやソイ・カウボーイは派手な女たちで彩られている。その裏側でヤワラーやルンピニー公園の暗闇でひっそりと立つ女たちの存在もある。売春ビジネスの世界の表と裏だ。 プノンペンもまた、売春ビジネスに表側と裏側を作り出しているように見える。 現代のプノンペンの売春ビジネスはリバーサイドのガールズ・バーが制したのだというのは、プノンペンに来て一日目ですぐに分かった。 もはや売春する女性を、荒 […]

イナ。十五歳で結婚、十六歳で出産、そして売春地帯に

二〇一四年。久しぶりにバタム島に行きたくなった。インドネシアに行かなくなった十年以上も経っていた。 インドネシア語は、もうほとんどすべて忘れた。しかし、バタム島に向かう船の中で、まわりの人たちが話す言葉のイントネーションを聞いて、懐かしくて仕方がなかった。 この優しい響き。この郷愁。好きだった。 インドネシアは、私にとってとても大切な想い出に満ち溢れた国で、今もたまらなく愛しい。この言葉を聞いてい […]

売春村。リサの冷たい目つきと、サンティの静かな目つき

インドネシア・リアウ諸島のカリムン島の売春村『パヤ・ラブ』はひどく遠いところだった。 走っている途中で左のヘッドライトが消えてしまうような恐ろしく年季の入ったタクシーが延々と夜の山道を上る。 途中で陥没だらけの道となり、サスペンションの劣化したタクシーは弾けるように揺れた。バイクで向かっている男もいたが、やはり陥没のひどい砂利道には難儀しているようで、スピードを落として足をつきながら走っている。バ […]

リーパ。ゲイランの街に立つ女の凶悪な目付きに惹かれた

シンガポール・チャンギ空港に着いたのは夜中だったが、そのままタクシーに乗り込んで、まっすぐにゲイラン・ストリートへ直行した。 ゲイランはシンガポールの売春地帯だったが、同時にホテル街でもある。運転手も売春地帯に向かう日本人をさほど奇異に感じないようで、黙ってゲイランまで連れて行ってくれた。 ゲイランで適当なホテルに宿を取って時計を見ると、午前二時に近い。ニヤリとした。 ゲイランに立つ女たちが増える […]

フォクシー・レディー。一瞬も気が抜けない根っからの悪女

貧しい国、悲惨な境遇、追い詰められた女、絶望……。そう並べると、女性たちは誰もが意気消沈して暗い目をしているという光景が目に浮かぶと思う。それは正しくもあり、間違ってもいる。女性たちの態度は、ひとりとして同じではない。 確かに押しつぶされている女性も圧倒的に多い。ところが、中には信じられないほどの傍若無人の態度と、度胸と、果てしない強情な性格を持った女性もいる。 一瞬も気を緩めることができそうにな […]

リーナ。好意を感じた素人の女性の指に、そっと触れた夜

南国インドネシアのリアウ諸島は新鮮な果物や魚介類が採れてうまい食事に事欠くことがない。 パサル(市場)に行くと肉も野菜も果物も魚も豊富に山積みされている。よく分からないものがたくさんあるので、実際に食べるかどうかはともかく、長い間見ていて飽きることがない。 高級なホテルのレストランでも、道ばたのワルン(屋台)でも、その国、その地域、その場所で、日本とは違った料理がたくさんある。 リアウ諸島・ビンタ […]

オーチャード・タワーのオウン。彼女の持つ「甘い蜜」とは

夜の零時過ぎ、シンガポールのオーチャード・タワー4階にあるディスコ「クレイジー・ホース」に行く。 すでに顔馴染みになった女たちが入口であきれたような顔で笑いかけてきた。二日も三日もこんなところに通う客も珍しいに違いない。どうかしてる、と彼女たちの顔には書いてあった。 彼女たちはビジネスで建物の内外に立っているが、男は連日連夜遊び回っていることになる。たしかに「どうかしてる」と思われてもしかたがない […]

クレイジー・ホース。オーチャード・タワーの女たちと英語

ゲイラン・ストリートがシンガポールにおける置屋街の代表だとしたら、オーチャード・タワーは売春ディスコ群の代表になる。そして中でもクレイジー・ホースは現在のオーチャード・タワーのディスコの中ではダントツの人気を得ている。 真夜中にオーチャード・タワーへ出入りする女性たちは99パーセント売春女性たちだ。当然、クレイジー・ホースに出入りする女性もまたそうだ。 店内には英語が飛び交い、彼女たちは英語の渦の […]

リシータ。ゲイランに立っていた魅惑的なスリランカの女性

ゲイラン・ストリートのLor20を入ると、すぐに右側に折れる小路がある。食堂「三友斉」の裏に当たり、夜中に行くと外灯のない小路は闇に吸い込まれるように暗い。 小路に入る入口も奥もインド系の男たちで溢れ、人種の違うアジア系が入って行くと全員がよそ者を見るような目つきでこちらを注視する。 アジア系が主のゲイランでもこの小路だけはインド系が多数を占めており、それ以外の人間が「よそ者」になるのだ。 構わず […]

セックス・コレクション。自分を抱いた男を記録していく女

セックスを動画や写真で記録するのが好きな男たちの存在はもう当たり前のように知られていて、そんなことは改めて言うようなことではない。しかし今はすでにその時代を経て、数年も前から女たちがセックスを記録し始めていることに気づいている人はいるだろうか。 男たちが自分の抱いた女を想い出に残したいのであれば、女たちもまた自分の売春相手を想い出に残したいと思っても不思議ではない。 いよいよ数年も前からそういう時 […]

裸になった女性の下半部に、何かが蠢(うごめ)いている

売春地帯。「女の地獄」の生々しい現実は、覆い隠される。多くの男たちはそこに利用価値を見出しているので、誰もが見て見ぬ振りをしている。 それは地獄ではないと心から信じている男もいるが、女の選択権を奪っているのだから、支配者側に立っている人間の思考だ。 そして、「普通の女性」は関わりたくないという生存本能が働くので、知らないでいいのであれば知らないでおこうと無視を決め込む。 途上国の売春地帯の実態は、 […]