カンボジア編熱帯地方のスコールは、思い切り激しく降ってから晴れるというのが一般的だ。 しかし、プノンペンの8月や9月をそう思って行くと、いつまでもやまない雨にイライラすることになる。もちろん激しく降ってさっとやむスコールもあるが、日本の梅雨のような鬱陶しい雨も多い。 これは異常気象というわけではなく、どうやらそういうものらしい。長い雨が続くと、とたんにメコン川などが氾濫してコンポンチャムやプノンペ […]
イサーンの入口と言われているコラート(ナコン・ラチャシーマ)はバンコクから二五〇キロほど離れたところにある。東西に細長い都市で、タオ・スラナリ像を中心として、東側が旧市街、西側が新市街になっている。 バンコクのように高い高層ビルが林立しているわけではないが、それなりに賑やかな商業都市でとても過ごしやすい。 昼間の暑さはバンコクと遜色ないのだが、夜になるとぐっと気温が下がって過ごしやすくなる。ここは […]
東南アジアには、驚くほど美しい女がいる。カンボジア・プノンペンの薄汚れた置屋にも、ジャカルタの売春窟にも、タイ南部のスンガイコーロクの寂れた置屋にも……。 特に、アジア最大の歓楽街と言われていたパッポンの華やかなゴーゴーバーの一角では、思わず息をのむような美しい女と出会う。しかし美しい薔薇には棘《とげ》があるように、美しい女も棘を持っていることが多い。 バンコクの巨大歓楽地帯『パッポン』は、棘を持 […]
私には数年に渡って体調が悪かった頃があった。 絶え間ない頭痛、吐き気、めまい、聴力低下がずっと続いて良くなるときと悪くなるときが周期的に襲ってきた。 体調が悪くて日本の自室でじっとしていると、どうしても気が滅入って死にたくなってしまう。悩んだ末、症状が小康状態になった頃に無理を承知でバンコクに向かうことに決めた。 タイの歓楽街をうろうろしたいという気持ちはまったくなかった。バンコクでもコラートでも […]
閲覧注意 10年ほど頃、カンボジア・プノンペンで、タット・マリナという美しい女性が、付き合っていた男の妻から硫酸を浴びせられるという痛ましい事件があった。 ちょうど私がカンボジアをさまよっていた頃に現地で起きた事件だったのでよく覚えている。 それは、顔面から上半身まで体面積の43%が焼けただれる重度の火傷だった。一歩間違えれば死んでいたほどの瀕死の重傷だったが、それでも彼女は何とか生きながらえた。 […]
カンボジアにいたとき、売春宿に泊まり込むことも多かった。シングルベッドに四人の娘が固まって寝るので、残りの娘と一緒に床に転がって眠ったこともある。 朝を迎えた時、娘は目が覚めてすぐに歩き回っていたが、私は肩も背中も硬直してしばらく身体が動かすことすらできなかった。 マットレスや布団の上で寝るということがどれだけ贅沢なことなのかを先進国から来た人間が知る瞬間だ。 床は板を張り合わせただけだから板と板 […]
パッポンは老舗のゴーゴーバーが少しずつ姿を消して違う店になっているが、すでにこの場所は単なる観光地みたいなものだから、本来のディープな沈没者には見向きもされなくなった。 別にそこから売春がなくなったわけではないが、純粋な売春地帯というのはあまりにも有名になりすぎてしまった。 コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。 お願い Log In. あなたは会員ですか ? 会員について
現在、アジアで安定した政権運営をしているのがインドネシアだが、この国のアキレス腱はイスラム原理主義者が跋扈しているところである。 ユドヨノ大統領はずっと暗殺対象になっているし、国家警察が実行犯を片っ端から逮捕・殺害していっても、その根が潰える様子はほとんどない。
売春地帯。「女の地獄」の生々しい現実は、覆い隠される。多くの男たちはそこに利用価値を見出しているので、誰もが見て見ぬ振りをしている。 それは地獄ではないと心から信じている男もいるが、女の選択権を奪っているのだから、支配者側に立っている人間の思考だ。 そして、「普通の女性」は関わりたくないという生存本能が働くので、知らないでいいのであれば知らないでおこうと無視を決め込む。 途上国の売春地帯の実態は、 […]
インドネシア領バタム島ナゴヤの真夜中の向こう側、妖しく灯(とも)るダークサイドをくぐり、退廃の世界に入る。入り口に立つインドネシアの男たちの鋭い目は闇の中では肉食動物のようだ。 そこはインドネシア全土から集められた若い女性たちの「肉体市場」、男たちの天国、女たちの地獄と言われている場所だ。暗闇の中で行われているインドネシアの現実がここにあった。 執拗で粘っこい男たちの視線に追われながらゲートをくぐ […]
インドネシア領バタム島も緑は多かったが、ビンタン島の緑はバタムよりもはるかに濃いように見えたのは気のせいかもしれない。 激しい雨音で目が覚めて、カーテンを開けると窓から見える外の緑が雨に打たれて揺れていた。 リアウ諸島はよく雨が降る。さすがに熱帯地方だけあって、一度降り出すと雨足は強い。 雨に打たれる木々は枝を激しく揺らして、まるで緑の焔(ほのお)が燃えているかのように見えた。 時は5月。この地域 […]