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ジャラン・ジャクサ 。ジャカルタの街に立つシティハリチャ

シンガポールからガルーダ航空の飛行機に乗ってジャカルタのスカルノ・ハッタ空港に着くと、まずはガンビル駅行きの「ダムリ」のバスに乗って市内に向かう。バスの中は冷房など気休め程度にしか効いていない。 すっかり古くなってしまった座り心地の悪いシートに座って窓際へ寄り、ぼんやりと夜のジャカルタの街を見つめた。 乱暴なバジャイ(三輪タクシー)が国道を縫って走っているのが見える。けたたましい爆音と排気ガスが熱 […]

マイクズ・プレイス。緑の虹彩を持った女性とロシアの崩壊

久しぶりにバンコクに降り立ってソイ3を歩きロシア女性を捜した。しかし、半年前にはあれほどいたロシア女性たちが、煙のように消えてしまっていた。 ロシア女性はいつしかタイに現れ、バンコクのソイ3ストリートを歩き回っては男を誘っていた。それから半年もしないうちに、もう事態は変わっていた。 白人の売春女性の存在はタイでは目立ち過ぎていた。人身売買マフィアが巣食っていた悪名高きリージェント・ホテルは何度も家 […]

◆暴動のあとの荒廃したジャカルタ・コタと、美しい娘レシー

ジャカルタの北部コタの街は真夜中になると怪しげな男たちが溢れ始める。 肩を怒らせて歩くギャング、野放図なチンピラ、ぼったくりタクシーの運転手、高級外車に乗ったマフィア、ドラッグに飲まれた中毒者、そして何者なのか分からないヒマを持て余しているような男たち。 ディスコの前には煙草売りの若者がたむろして、タクシーでやって来る男たちにまとわりついて何とか煙草を売りつけようとしたり、帰ろうとする客を強引に仲 […]

◆インドでは、女性を凝視するような人が文化適応した人だ

東南アジアの人たちと、南アジアの人たち……もっと分かりやすく言えば、タイ人と、インド人の基質の違いはどこにあるかと言えば、それは「執拗さ」だろうか。 東アジア・東南アジア系の人たちは「あっさり」している。しかし、インド系の人たちは「ねっとり」している。その違いは非常に大きくて、しかもインパクトが違う。 インド圏がどうしても駄目だ、という人が多いが、これは南アジアの人たちの基質にある「執拗さ」がプレ […]

内斜視の娘と、あばた肌の娘。純真さは、どこから来るのか

カンボジア編カラカラに乾燥したカンボジアの大地を、ふらふらとさまよう。カンボジアに着いて2日目の昼下がりだった。熱射病で倒れそうになるくらいの強烈な太陽が降り注いでいた。 向かう先は決まっていた。紅土の粉塵が舞い上がる70ストリートである。 いつもはモニウォン通りを北上して芸術大学から入るのだが、この日は毛沢東通りにいた関係上、逆側から入ることになった。 道路のほとんどをアスファルトで固めてしまっ […]

  • 2012.01.15

◆あなたの生存よりも重要なものは、あなたの精子・卵子かも

アントニー・ファン・レーウェンフックという男がいる。まったく学問とは無縁の世界で生きていた男がいた。 膨大な数の「微生物」を発見したのも彼であり、赤血球が毛細血管を通るのを発見したのも彼であり、ハエにも脳があることを発見したのも彼であり、鉱物の結晶が多彩であることを発見したのも彼だ。 微細な昆虫が卵から生まれるのを発見したのも彼だし、池の中には誰も見たこともないような線虫、原虫、バクテリア、旋毛虫 […]

オーチャード・タワーのオウン。彼女の持つ「甘い蜜」とは

夜の零時過ぎ、シンガポールのオーチャード・タワー4階にあるディスコ「クレイジー・ホース」に行く。 すでに顔馴染みになった女たちが入口であきれたような顔で笑いかけてきた。二日も三日もこんなところに通う客も珍しいに違いない。どうかしてる、と彼女たちの顔には書いてあった。 彼女たちはビジネスで建物の内外に立っているが、男は連日連夜遊び回っていることになる。たしかに「どうかしてる」と思われてもしかたがない […]

70ストリート。プノンペンでもっとも荒廃していた売春地帯

カンボジア編カンボジアの首都プノンペンの地図を見ると、この都市が区画整理によって計画的に作られたことがよく分かる。 道はだいたいが碁盤目のようになっている。また、主要な道路は人名か番号表示になっているので分かりやすい。このプノンペン北に「売春ストリート」と呼ばれる通りが存在した。それが、70ストリートである。 1990年代後半、ここは東南アジアの売春地帯でもっとも凄まじい場所だった。一本のでこぼこ […]

◆冷気茶室。男の天国、女の地獄と呼ばれた、バンコクの魔窟

タイの首都バンコクにあるヤワラー(Yaowarat)はチャイナタウンである。このエリアは「魔窟《まくつ》」と呼ばれるに相応しい場所だ。 迷路のように入り組んだ道にひしめく細々とした店、古ぼけて骨董品のようになった建物。金行・食堂・ペット屋・雑貨屋・米屋・葬儀屋が乱雑に、脈絡無く店を開いており、それぞれが強烈なニオイを発している場所……。 ここには「旅社」と呼ばれる安宿も多く、昔は場末の売春宿も林立 […]

カンボジアの置屋。「置屋」とは一体どういう場所なのか?

カンボジア編昔、日本では売春宿の建物を「置屋(おきや)」と呼んでいた。現在では、もう置屋という言葉をあまり聞かなくなってしまったが、それは置屋の存在そのものが目につかなくなってしまったからである。 しかし、まだ経済が発展途上にある国では置屋が健在だ。タイでは地方に行けばソンと呼ばれる置屋が必ずある。 フィリピンでもカーサと呼ばれる置屋が溢れているし、インドネシアもインドも置屋があちこちに点在してい […]

ホームシック。狭い部屋の中で母親に手紙を書くベトナム娘

カンボジア編カンボジアの首都プノンペンにはあちこちに置屋が点在している。 隆盛を誇った70ストリートが徐々に縮小するのと対照的に、市内の置屋は数も勢力も増しているようだ。勢い、夜になったら男たちは市内の置屋をふらふらと夢遊病者のように巡ることになる。 プノンペンの夜は人の姿が極端に減る。治安は悪く、銃を持った強盗が横行するので、人々は巻き添えを恐れて家から出てこない。 隣国タイでは夜中になっても子 […]

切ないほほえみ。スワイパーの、哀しい眼をして男を見る娘

カンボジア編彼女と出会ったのはスワイパーと呼ばれる売春村だった。黒一色の服に身を包んだ彼女を一目で気に入った。 まだほんの小娘だというのに、彼女はひどく陰のある瞳をしていた。黒目がちの瞳がじっと相手を見つめる。そして、ほんのりとほほえむその姿は他の娘たちの力任せの誘惑とはひと味違った魅力があった。 しかし彼女はほほえんでいたが、何か哀しみを抑えているように思えた。実際、彼女は哀しいことがあるようで […]

  • 2012.01.14

◆女性の楽園インドネシア・バリ島。クタで日本人女性が殺される

インドネシア・バリ島と言えば、日本人女性が現地男性を相手に買春をする場所になっているのは非常に有名だ。 現地のジゴロの中にはたくさんの日本女性に貢いでもらって非常に豊かな暮らしをしている人間も多い。 日本人の男たちが東南アジアに買春に行くのと同じ構図であり、豊かさが生み出したいびつな文化ではある。 しかし、昨今は女性のバリ行きも特に珍しいものではなくなっており、日本の豊かさが退廃を生み出しているの […]

◆セックス・マシーン。バンドン生まれのセックス・マシーン

彼女の名前はヘリナと言った。インドネシア・ジャワ人である。まるで優雅な黒豹のようだった。 軽く波打ったショートカット・ヘアはその野性的な表情によく似合っていた。無駄な贅肉など一切ついていないスリムな身体にぴっちりと張りついた黒の衣服は彼女の美しさを際立たせていた。 インドネシア・ビンタン島の、カラオケ屋を模した売春宿「サンライズ」にぶらりと入って、青やピンクに灯された蛍光灯の下に15人ほどの女性た […]

  • 2012.01.12

◆アメリカの人身売買を扱った『フレッシュ・ザ・ムービー』

『フレッシュ』というドキュメンタリー映画がある。NPOが製作したものだ。 アメリカの小資本で製作されたドキュメンタリー映画だから商業サイドには乗っていない。恐らく日本には恐らく入ってこないし、話題にもならないものだと思う。 扱っているのはロスの人身売買(売春)だ。ロサンゼルスのダウンタウンはアメリカという大国の大都市にも関わらず、その底辺の貧困は驚くほど悲惨な様相になっている。 コンテンツの残りを […]

◆背徳の女神マダム・エドワルダと、メグレ警視の共通点は?

売春宿に入り浸っていた有名人は珍しくも何ともない。 伊藤博文は売春宿で政治を語っていた。野口英世は売春宿で豪遊していた。 アメリカ大統領J・F・ケネディは高級娼館を営むマダム・クロードの館に足を運んでいた(マダム・クロード。高級娼婦を生み出した伝説の女性)。 フランスの哲学者ジョルジュ・バタイユは、図書館の館長をしていたが、夜は売春宿に行って朝までそこにいたのは有名な話である。 コンテンツの残りを […]

バイバイ・トゥ。置き去りにしてきた彼女を思って慟哭する

カンボジア編カンボジアには雨期と乾期がある。二月は乾期だ。ちょうど涼季から暑季に切り替わり、身が焦がれるような灼熱の太陽が大地を照らす。 カンボジアの大地を覆っている紅土は、猛スピードを上げて突っ走る車やモトバイクに煽られて舞い散り、白い服はすぐに茶色く染まってしまう。 道路わきに生える草木は茶色の粉塵が積もって、その重みで葉は垂れ下がっている。ほとんどの葉が紅土の茶に塗りつぶされているので、一見 […]

サイバーン。あなたが好き。だからこの写真をあなたに……

カンボジア編シアヌークヴィルのプントッマイで、ひとりの陽気な娘と会った。 若々しく弾けるような肌に、顔中が口になってしまいそうな大きなビッグ・スマイル、そして猫の目の色のようにころころと変わる表情としぐさが忘れられない。彼女の名はサイバーンと言った。 夜中10時過ぎ、ピンクの街灯が灯った売春ストリートを、いつものように、ふらふらと歩いていた。置屋の前を歩くたびに女性たちが喚声を上げて声をかけてくる […]

ゲイラン・ストリート。シンガポール政府が用意した罪の街

アジアの貿易国家シンガポールは、リー・クワンユー元首相が作り出した熱帯の実験国家だ。 この卓越した政治家は、マレーシアから独立した後、多様な国民をまとめるために、あるいは国民の大多数を占める中国人の中華色を薄めるために英語を公用語として採用した。 ハイテク化を進め、クリーン&グリーン政策で、おおよそ熱帯の国とは思えないほど清潔な環境を作り上げた。 しかし、逆にそれが国民の極端な監視を生み出した。 […]

◆売春村のアニー。熱帯の匂いを濃密に漂わせた、売春村の夜

インドネシア・ジャカルタから遠く離れた離島に降り立った。そして、真夜中になると島の中心部にモトバイクを飛ばしてもらった。一本のどこまでも続く舗装道路をバイクは順調に走る。他に走っているバイクなど一台もない。 「真夜中は危険だ」とバイクの運転手は顔をしかめるのだが、真夜中にさまようハイエナはこの時間が本番だ。危険だと言われても困ってしまう。危険を承知で夜の街に出かけ、強盗に襲われたら、それまでと観念 […]

  • 2012.01.09

◆相手が不快な匂いであっても、好意的に思うことは可能か?

あなたは街から漂ってくる魚の焼いた匂いを嗅いで、食欲をそそられるだろうか? 多くの日本人は「もちろんだ」と答える。間違えてもあれが不快な匂いだとは思わない。 しかし、一部のアメリカ人に言わせると、あの魚の焼いた匂いは、どうにも耐えがたい、吐き気すら催すほどひどい匂いなのだという。 アメリカ人は魚の匂いそのものを嫌う人が多い。ツナも食べるには食べるが、「香ばしい匂いだ」と思いながら食べているわけでは […]

クレイジー・ホース。オーチャード・タワーの女たちと英語

ゲイラン・ストリートがシンガポールにおける置屋街の代表だとしたら、オーチャード・タワーは売春ディスコ群の代表になる。そして中でもクレイジー・ホースは現在のオーチャード・タワーのディスコの中ではダントツの人気を得ている。 真夜中にオーチャード・タワーへ出入りする女性たちは99パーセント売春女性たちだ。当然、クレイジー・ホースに出入りする女性もまたそうだ。 店内には英語が飛び交い、彼女たちは英語の渦の […]

  • 2012.01.07

◆肉体関係を持った相手を覚えておけるのは何人までが限度か

もし長い人生の中でたくさんの相手と肉体関係を持ったとする。 それぞれの相手の顔や出来事を暗記力だけで覚えておくとすれば、最大は何人になるのだろうか。 「肉体関係を持った相手を覚えておけるのは何人までが限度か」 という命題は普通の人には何の意味もない。 通常の人間が肉体関係を持つのは1人からせいぜい5人くらい、奔放な人間でも20だとか30人がせいぜいだと何かの統計で見たことがある。 コンテンツの残り […]

  • 2012.01.07

◆ベトナム・ホーチミン市の「ホンダ・ガール」のこと

ベトナムでは路上のストリート・フックがバイクで、もう何十年も前から彼女たちは「ホンダ・ガール」の名称で知られている。 現地ではもうホンダ・ガールなどと言わないようだが、外国人はいまだにそう言っている。 ホーチミン市の繁華街をうろうろしていたら、ポン引きから女性から声をかけられてそのまま連れ込み宿かホテルで売春することになる。 コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。 お願い Log In […]

リシータ。ゲイランに立っていた魅惑的なスリランカの女性

ゲイラン・ストリートのLor20を入ると、すぐに右側に折れる小路がある。食堂「三友斉」の裏に当たり、夜中に行くと外灯のない小路は闇に吸い込まれるように暗い。 小路に入る入口も奥もインド系の男たちで溢れ、人種の違うアジア系が入って行くと全員がよそ者を見るような目つきでこちらを注視する。 アジア系が主のゲイランでもこの小路だけはインド系が多数を占めており、それ以外の人間が「よそ者」になるのだ。 構わず […]

◆パッポンのマイ。なぜ自分はここまで堕ちたのかと、涙した

二十歳《はたち》の頃、何気なくタイへ旅行に行った。はじめての海外旅行でひとり旅だった。見るもの聞くものが何もかも珍しく、旅に有頂天になった。 南国の太陽や文化や食事は慣れれば慣れるほど心地良いものとなってきた。最初は健全な旅行をしていたが、ある日バンコクのパッポンに足を踏み入れた。パッポンはアジアでもっとも有名な歓楽街である。 タイに行ったのなら、ここを訪れないと片手落ちだと思ったのだ。ただ半裸で […]

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