科学は「正確に、確実に、徹底的に人を殺す」ための知恵の集合体でもある

科学は「正確に、確実に、徹底的に人を殺す」ための知恵の集合体でもある

AI(人工知能)やロボットやドローンや自動運転などが人手不足を救うとか時代を変えるというのは事実なのだが、科学にも明るい面と暗い面があることくらいは知っておくべきだ。科学の「暗い面」とは何か。

それは、「より正確に、確実に、徹底的に人を殺せるようになる」ということだ。科学の発展は、大量虐殺の歴史を生んだというのを人類はもっと深く追及しておくべきだと私は考えている。

なぜなら、次の世代に私たちの社会を高度に発展させると思われているAIやロボットやドローンや自動運転などが、より巨大な大量虐殺を生み出す可能性もあるのだから……。

科学を使った大量虐殺は、第一次世界大戦から始まった。

1914年6月28日。ボスニアの首都サラエボで、オーストリア=ハンガリー帝国の後継者であったフランツ・フェルディナント夫婦が、ひとりのセルビア人によって暗殺された。これが第一次世界大戦のはじまりだった。

オーストリアとセルビアで起きた紛争は、最初にドイツとロシアを巻き込んだ。次にドイツと長らく敵対してきたフランスとイギリスを巻き込みはじめる。

やがてイギリスの植民地領であるオーストラリア、カナダ、ニュージランド、最後にはアメリカまでもが次々と参戦していって、これが泥沼の「世界大戦」へと突き進んでいった。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

科学が戦争に関与するようになって地獄と化した

ここで何が起きたのか。

それぞれの国が敵よりも強く、敵よりも早く、敵よりも効率的に勝つために「科学」を戦争に取り入れ、それは「いかにしてたくさんの人間を効率的に殺すか」という方向に傾いた。

「敵よりも早い武器を。敵よりも強い武器を」

現場の兵士たちが叫び、科学がそれに応えた。科学は人の暮らしを豊かにするために使われるのではなく、人を大量に殺すために研究され、実験され、戦争に取り入れられ、人々を効率的に殺しはじめたのだ。

第一次世界大戦の最初の頃、兵士たちが持っていた戦争のイメージは「三銃士」「騎士道」に通じる騎士道のような牧歌的なものであった。

男らしく決闘し、決着をつけ、そして勝っても破れてもクリスマスには家に帰って自分の武勇伝を披露するような感覚でいたのである。馬に乗って大地を駆け、大砲の弾を避け、剣を抜いて大草原を駆け、ナポレオンが白馬で号令を駆けていたのがその頃の戦争だったのだ。

ところが、「科学」が戦争に関与するようになってから、戦争の光景は変わった。戦場は壮絶なる殺し合いの地獄と化していたのである。

剣を抜いて馬で駆けるどころか、激しい銃撃、迫撃砲、火炎放射器が登場して、兵士は陣地から一歩も前に進めず、敵味方ともに塹壕を掘って身を守るしかなかった。

「シェル・ショック」が生まれたのもこの頃だ。(ブラックアジア:戦場という極限状態で人間性を失ったら最後にどうなるのか

そこでこの膠着を終わらせるために、さらに科学が応用されて、毒ガスが使用され、戦車が投入され、戦闘機が使われるようになった。

特に目をひくのが毒ガスである。1915年にドイツ軍がはじめてそれを使用したが、そのときに使われたのが塩素ガスである。塩素ガスも、それを迫撃砲のように敵陣に飛ばす技術もすべて科学の応用だった。

塩素ガスに煽られた人体は塩素の作用によって全身が爛れて死んでいく。ガスを吸い込むと呼吸器が激しく損壊して、兵士は一生、苦しみもだえるのである。

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さらに強力なものが科学の力で作られて戦場に投入

ドイツ軍が毒ガス兵器を使い出すと、毒ガス兵器は流行のようになって戦場に取り入れられ、やがてすべての国の軍がそれを使い出すようになっていった。すると、さらに強力な毒ガス兵器が科学の力で作られて戦場に投入された。

催涙剤、マスタードガスを含め、このときに使用され、応用された毒ガスは30種類におよぶ。サリンガスもこのときに発明されたものだ。

さらに、それを防御するために「新発明」されたのが防毒マスクだった。

海の戦いでは魚雷が発明され、敵の目をかいくぐるために潜水艦まで発明された。大量の人間を殺すのが「科学の役割」になったのだ。

大量に効率よく人を殺すための研究が進み、それを防御するために防御用の研究も進む。そうすると、さらにそれを上を行く大量殺戮兵器が「発見」される。防御の「発見」もまたあとに続く。

第一次世界大戦が終わったとき、ヨーロッパは死屍累々の大地と化していた。ところが、ヨーロッパの悲劇はそれだけではなかった。

やがて敗戦国だったドイツからナチス政権が誕生して、ヨーロッパは再び巨大な戦争に巻き込まれていった。科学による大量虐殺はさらに高度化し、最後に人間は「最終兵器」を生み出した。

原子爆弾である。

1945年8月、日本に落とされた二発の原子力爆弾は、それ一発で20万人もの人間を一気に殺すことが可能であることを世界に実証して見せた。(原爆が投下された広島の惨劇は、いよいよ重みを増していく)

その威力に喜んだアメリカはそれ以後どんどん核爆弾を作りまくることになる。ソ連もまた同じ核技術を手に入れて、アメリカと張り合って核爆弾を量産した。

これで人類は自らの手で人類を滅亡させることができることができるようになったのである。そして今や、アメリカやロシアは、人類を何度も滅亡させることができるほどに核爆弾を所有している。

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様々な発明・発見で人を殺す工夫が為されている

大量殺戮兵器は原子爆弾で止まっていたわけではない。水素爆弾、中性子爆弾と、着実に進化している。通常兵器もまた様々な発明・発見で人を殺す工夫が為されている。

一度燃え出したら執拗に燃え続けるナパーム弾(焼夷弾)、草木をすべて枯らせて人間には奇形児を生み出す枯葉剤。

被弾したらすぐにひしゃげて内臓をめちゃくちゃに破壊するダムダム弾。戦車をも破壊して中の乗組員を殺す劣化ウラン弾。

一瞬当てるだけで相手を完全失明させることができる目潰しレーザー兵器。急激に気圧を変化させて、内臓を破裂させる燃料気化爆弾。

そして、無数の小さな爆弾を仕込んでばら撒き、それを触ったら爆発するクラスター爆弾。あるいはどこにあるのか分からず、通りかかったものを不意に爆破する地雷。

地雷では手足を吹き飛ばすだけの威力しかない。子供も手足を吹き飛ばされながらも生き残ることが多い。

なぜ死なないように調整されているのか知っているだろうか。それは、「被害者を苦しめるため」である。(ブラックアジア:ミス・ランドマイン。地雷で手足を吹き飛ばされた女性たち

ダムダム弾も、皮膚を溶かして骨まで露出させる白リン弾も、何のために使われているのか。それは、相手を苦しめるためだ。

いったい、科学とは何のために必要だったのだろうか。人類が人類を苦しめ、のたうち回らせ、最後には滅亡させる発見を次々と科学の名のもとで行なっていくのである。

軍は戦争に勝つためにあらゆる研究を行う。非人道的兵器を作っている理由もそうだ。軍の目的は、効率的に敵を苦しめることである。

敵というのは人間のことだ。つまり、人間を苦しめ、破壊するのが軍事組織の目的だということになる。

科学は単純に私たちの味方でもなければ、夢の未来を実現するものでもなくなっているのだ。それは「より正確に、確実に、徹底的に人を殺す」ための人類の知恵の集合体でもあるのだ。

ところで、この事実は日本人にとって他人事だろうか。

元海上自衛隊第5航空群司令川村純彦は「中国のミサイル約800基のうち約100基は日本を照準としている」と発言している。日本は中国によって「ロックオン」されている。決して他人事ではないのは確かだ。

科学を使った大量虐殺は、第一次世界大戦から始まった。科学は単純に私たちの味方でもなければ、夢の未来を実現するものでもなくなっているのだ。それは「より正確に、確実に、徹底的に人を殺す」ための人類の知恵の集合体でもあるのだ。

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