普通の人は東南アジアやインド圏の荒廃した売春地帯には近寄らないし、まして売春宿に泊まることもないので、ひとことで「売春宿」と言ってもどんなところなのか、想像すらもできない人の方が大半だ。
売春宿は、狭く、古く、殺伐として薄汚れているところが多いのだが、こういった場所は写真を撮るところではないので、ほとんどは記録に残らない。
私も数千以上もの売春宿の部屋に転がり込んでいるはずだが、その部屋を写真に残したというのはほとんどない。そんなことをしたら宿の経営者がやってきてカメラを壊されるか、私自身が叩きのめされて放り出されるのがオチだ。
売春ビジネスは当局の規制の対象であり、業者も女性も記録に残されるのを嫌うわけで、本来であれば写真を撮ってはいけない場所である。
だから、売春宿の記録はほとんど残らない。
しかし、そうは言ってもたまたま部屋に放り込まれて女性がくるまで時間が余っていたりすることもあるし、ごくたまに写真を撮られるのが好きで好きで仕方がない女性がいたりして、偶然に写真が残せるケースもある。
そうした写真がたまに残ると、後で写真を見つめてしみじみとその時の光景を思い出すこともできるようになる。「たまたま」手元にある売春宿とは、どんなところなのか。いくつかの写真を紹介してみたい。