内部分裂。このままではグローバル化の既得権益者の誰かが血を流す

内部分裂。このままではグローバル化の既得権益者の誰かが血を流す

ドイツのメルケル首相の足元が一挙に崩れ出た。2018年9月25日の下院選挙で、メルケル首相の側近中の側近だったフォルカー・カウダー氏がまさかの敗北を喫してしまった。

カウダー氏は長らく与党の中で党内調整をしていた重鎮だった。この重鎮が消えることでメルケル首相の求心力は急激に弱体化することは確実で、これによってメルケル首相はレームダック化する。

なぜメルケル首相はここまで支持を失い、求心力を低下させてしまったのか。それは2015年に大量の移民・難民を受け入れてドイツ国内を大混乱させたからだ。

EU(欧州連合)のエスタブリッシュメントたちは今もなお「グローバル化」で国という枠組みを壊そうとしているのだが、国民はそれに反旗を翻して「移民・難民反対、EU反対」を叫ぶ保守政党を支持するようになっている。

筋金入りの人権優先主義者であったはずのスウェーデンでさえも「スウェーデン人は白人で、スウェーデンは我々のもの」と叫ぶ政党が躍進している。(ブラックアジア:人権も人道も寛容も、度が過ぎると毒になる現実があぶり出される

グローバル化に則って、ユーロ圏は大量の移民・難民を受け入れたが、この「グローバル化」がもはやユーロ圏では憎しみの対象となっているのである。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

投機屋が大儲け、国民はリストラの嵐だった事実

グローバル経済は正しいものなのか。人々がグローバル経済に不満を持つようになったのは、10年前の2008年9月15日のリーマンショックからだったことは記憶されてもいい。

金融市場が吹き飛び、世界中の政府が瓦解していく銀行を「国民の税金」を使って救い出すようになってから、世界中の人々はグローバル経済に疑問を持つようになっていった。

金融関係者は、高額のボーナスや年俸をもらってギャンブルをしていた。そして、成功したら儲けは自分たちの懐にねじ込んで、失敗したら政府に尻ぬぐいさせた。

グローバル化を推進し続ける政府は、その強欲な資本主義のギャンブラーどもを助けて、国民には痛みを強いただけだった。

その後、政府の金融緩和で金融市場はいち早く復活し、またもや投機屋が大儲けするようになった。しかし雇用は大して回復せず、多くの国民はリストラの嵐に巻き込まれていった。

そして、多国籍化した企業はそれぞれの国の法の抜け道を研究して税金すらも合法的に回避するようになり、一方で国民はグローバル化から収奪されるばかりとなったのだ。

その結果、ヨーロッパでは徐々に保守政党が台頭して公然と「反EU、反グローバル化」を叫び出し、アメリカで反格差デモが起きるような事態になっていった。

それぞれの国で起きている国民の意識変化は、実はすべてひとつのキーワードで結びついている。それが、「グローバル経済への疑問」だ。

グローバル化は、本当に正しいのかと、人々はリーマンショック以後、自問自答するようになった。そして、多くの人が「グローバル化は国民を幸せにしない」と気付いたのだ。

ところが、エスタブリッシュメントはこうした変化を歯牙にもかけずにグローバル化を推し進め、反対する人々を「極右」だとレッテルを貼って排除しようとした。

それが今になって大反発となって湧き上がっている。

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常にグローバル化を推進する政府に対する不信感

今、世界で起きていること、そしてこれから起きることは、ただひとつの言葉で集約できる。それは「内部分裂」である。

政府は常にグローバル化を推進する。国民は常に痛みを強いられるので反発する。だから、今後の世界では「内部分裂」が深刻化する。

ユーロ各国で起きている反移民・反難民のうねりは何を意味しているのか。それは、多国籍企業が推し進めるグローバル化推進の反対である。

多国籍企業が利益を上げるために安い人材を必要とし、それを移民や難民を入れることによって解決する動きに人々は懸念しているのである。

いち早くグローバル化を推し進めたアメリカにも問題が起きている。グローバル経済が推し進められた結果、アメリカでは貧富の差が非常に激しいものになっていった。

上位1%が富を独占し、99%を貧困に追いやるような、極端な格差がじわじわと進んで解消できなくなった。

アメリカ人たちは統計など出されなくても、リーマンショック以降、何が起きているのか知っていた。深刻な格差が広がっていたのだ。

だから、グローバル経済を推し進める政府に対して、アメリカの国民は反対するようになってドナルド・トランプという異質の大統領を生み出したのだ。

世界各国で次々と起きている事件は、バラバラな事象ではなかい。グローバル経済への抵抗に集約されている。

グローバル化を推し進めるエスタブリッシュメントと、国民の間の「内部分裂」が起きている。

グローバル経済はつまずいた。だから、この問題はこれからも数々の「重大事件」を引き起こしていく。分かりやすく言えば、反グローバリズムの勢いが加速していく。

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国の内部は「分裂」していくことになる

ヨーロッパは多文化主義を目指して移民を莫大に受け入れてきたが、それに対する巻き返しがもう止まらない。

移民排斥、移民差別、移民憎悪、移民対立。そういったものが激しく、しかし確実に広がって国の底辺に定着した。

この動きは、移民をどんどん入れて自国を多民族化し、自国経済を完全にグローバル化させるという国家や多国籍企業の動きと対立するので、国家や企業と国民はどんどん離反していく。

国は「内部分裂」していく。世界中でこのような動きが先鋭化していく。

グローバル化によって利益を得る既得権益者と、そこから漏れた膨大な数の人たちとの骨肉の争いが、国家内の内部分裂を生み出すのである。

グローバル化によって利益を得る既得権益者とは、経営者であり、株主であり、事業家である。そして、一部の政治家、マスコミがそれに続く。

彼らはグローバル化を推進し、それによって利益を得る立場にある。逆に国民はグローバル化によって職を失い、収入が減り、虐げられる側に追い立てられる。

グローバル化が加速すると、コスト削減のために仕事はどんどん途上国に移っていく。そうすると先進国ではリストラが増えて、小さくなったパイに群がって人々が争う。

仕事も、食糧も、地位も、チャンスも、あらゆるものが足りなくなっていく。場合によっては、他人と生存権を賭けて争うことになる。移民と先住民との争いも激化する。

最後には暴力の矛先がグローバル化で利益を得ている既得権益者に向かうのは当然のことだ。既得権益者と国民が割れて、互いに相手を叩き落すために激しい活動を行うようになる。

この内部分裂は、最後には巨大な暴力を生み出す。いったん暴力が巻き起こったら、いずれ既得権益者の誰かが血を流すことになる。そういった事態が刻々と迫っている。(written by 鈴木傾城)

なぜメルケル首相はここまで支持を失い、求心力を低下させてしまったのか。それは2015年に大量の移民・難民を受け入れてドイツ国内を大混乱させたからだ。

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