悪人同士が共食いをするアンダーグラウンドでワナから逃げるために

悪人同士が共食いをするアンダーグラウンドでワナから逃げるために

真夜中の世界に生きている人の中には、表社会から弾き飛ばされて転がり堕ちて来た人間も多い。なぜ、彼らは表社会から弾き飛ばされたのか。それは、基本的に表社会でのルールを破ってしまったからだ。

表社会にはいろいろな窮屈なルールがたくさんある。守らなければならないルールは多い上に、協調性も求められる。そこから逸脱すると、次第にそこにいられなくなってしまう。

犯罪を犯した人間は、有無を言わさず表社会から弾き飛ばされる。しかし、それだけではない。粗暴な態度だったり、ルーズな性格だったり、極端に利己主義であっても、表社会から弾き飛ばされることになる。

男も女も関係ない。年齢も関係ない。あまりに協調性がないと、男でも女でも何歳でも弾き飛ばされる。

表社会から弾き飛ばされると、行き着くところはアンダーグラウンドの世界しかない。そこが彼らの居場所になる。しかし、もちろんアンダーグラウンド側に堕ちても好かれるようになるわけではない。相変わらず嫌われたままだ。

しかし、アンダーグラウンドは最初から悪人の群れで構成されているので、そういった人間が長く棲息できる素地がある。そこは寒気がするほど悪人がびっしりと存在する。

「無防備に何かを信じてはいけない」という哲学

アンダーグラウンドでは、性格が悪くても、信用ならなくても、詐欺師でも、犯罪者でも、悪人でも、生活破綻者でも、極端な利己主義者でも、粗暴者でも、そこに棲息できる。

表社会では信頼と人生の経歴がとても重視されるが、アンダーグラウンドではそんなものは必要ない。誰が今までどんな人生を送っていようが、そんなことはまったく関係ない。

重要なのは、目の前にいる人間が「自分に役に立つのか立たないのか」「利用できるのかできないのか」「金になるのかならないのか」そういった現実的な利益だけである。

言わば、徹底した利己主義と現実主義で成り立っていると言ってもいい。

そういった世界では、他人を無防備に信じたらどこまでも利用され続ける。金をたかられ、トラブルを押しつけられ、踏みにじられる。

醜悪な世界では、人を信じるというのは美しいことではなく、単に弱みになってしまうのである。利用されてしまうのだ。

だから、アンダーグラウンドに長くいる人は早くから「無防備に何かを信じてはいけない」という哲学を、否が応でも会得していくようになる。

自分も誰かを裏切るが、そうであるから自分も誰かに裏切られると考える。裏切られるのであれば「誰かを無防備に信じる」という選択は絶対にない。

信じたら終わりなのだ。

悪人が誰かをワナにはめるときは、まわりを見回して最も騙しやすい人、無防備な人、知恵の足りない人を標的に選ぶからである。

一般的に、警戒している人間をワナにかけるような面倒なことはしない。警戒心のない人間をワナにかける。騙しやすい人間から騙す。襲いやすい人間から襲う。

だからいつも純真で無垢な人間から騙されていく。

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人を信じたいのに、信じたら裏切られる世界

多くの日本人は、もともと「人を信じて生きる」「信頼関係を大切にする」という生き方が身についている。外国で多くの日本人がカモにされるのは、そういった性格が裏目に出ているからでもある。

実は私自身もそういった気質がとても強い。私は基本的に人を信じてしまう無邪気さが抜けないし、裏切ったりワナにかけたりするのは好きではない。誰かを信頼して一緒にいたい。

ところが私が堕ちた東南アジアの歓楽街は、深みにはまればはまるほど「人を信じたら破滅する世界」でもあった。人を信じたいのに、信じたら裏切られるのである。

どんなに気を付けても無駄だ。目の前にいる人たちの裏の顔は、決して見抜くことはできない。推理小説では一番怪しくない人が犯人であることが多いが、アンダーグラウンドもそうなのだ。信じられそうな誠実なタイプが一番タチが悪い。

しかし、私はどうしても「人を信じる」という甘さを捨てることができない。今でも私の性格は何も変わっていない。

人を信じるというのは、私の遺伝子の中に組み込まれてしまっているのではないかというほど強固に生き残っていて、私はそのままでは格好のカモとなる可能性があった。

経験から多少は人を見る目も培われてきたので、それが機能することもあるが、人間の心の裏側など100%読めるわけではないのは分かっている。

本来であれば、こういった世界は自分の世界ではないのだからそこから逃れなければならない。しかし、私はこの東南アジアの堕落と荒廃が本当に気に入っていたので、離れるという選択肢はないも同然だった。

このまま放置していれば、私は他の大勢の男たちと同様に、最後に破滅してしまう確率はとても高かった。何しろ、まわりは海千山千の悪人がひしめいているのである。

その中で私のような「普通の人間」が入り込んで、彼らに太刀打ちできるはずがない。

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身につけたのは「かわす、逃げる、関わらない」こと

東南アジアのアンダーグラウンドにのめり込んでいった男は多いが、生き残っている男たちと破滅していった男たちの違いは、自分に何らかのルールを持っていて、そこから逸脱しないようにしているかどうかだろう。

破滅していった男たちは、状況に流されて行き当たりばったりに行動しているが、生き残る男たちは自分をコントロールできている。中には、ストイックなまでに「自分の掟」を守っている男もいる。

そのルールは男によって違っているのだが、そういったポリシーが彼らの身を助けているのは間違いない。

私自身が悪人のひしめくアンダーグラウンドで生き残るために身につけたのは、「かわす、逃げる、関わらない」ということだった。

私ごときがアンダーグラウンドの人間たちに、狡猾さで勝てるはずがない。また、私は相手が悪人なのか善人なのかを確かめる能力すらもない。

だから、私はアンダーグラウンドの人間たちとは「刹那的」にしか関わらない。刹那的であれば、いかに相手が悪人であろうとも、できることはたかが知れている。

今日知り合って「この男は騙しやすい」と思われても、明日会わなければ、何かを仕掛ける準備などできるはずもない。

アンダーグラウンドは人間関係が希薄なのが当たり前の世界だが、私はそれを逆手に取って生き延びてきたとも言える。「かわす、逃げる、関わらない」で、人を信じやすい私はスルリと彼らのワナから逃れてきた。

アンダーグラウンドでは望んでも長期的な関係を築くのは難しいのだが、あえて「刹那的な関係に終始する」ということを貫くことによって、私は破滅の泥沼に引きずられるワナを避け続けてきた。

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這い上がっても、しばらくするとまた裏側に堕ちる

アンダーグラウンドでは悪人がひしめいているので、悪人たちも別の悪人のワナに引っかけられる可能性が高い。

だから、自分がワルだと思っても「かわす、逃げる、関わらない」はアンダーグラウンドで生き残るのは、けっこう役に立つ方針だ。

普通の人が悪人に騙されるだけではなく、悪人もまたうかうかしていると他の悪人に騙されてしまう恐れがある。悪人同士が共食いをする世界でもある。荒んでいる。

トラブルメーカーがひしめいているのだから、それは当然と言えば当然でもある。そんな世界では、正直言って「人間関係などはないほうがマシ」なのだ。

アンダーグラウンドに堕ちていった人間たちは、最後は孤独になっていく人間が多いが、これはそういった世界特有の殺伐さが次第に身につくからだ。

他人を信じないことが身を助ける世界なのだから、それが身につけば孤独になって当然なのである。

そうやって孤独が生き残る術(すべ)として身についた人間は、何か改心するきっかけがあって表社会に戻っても、あまりうまくいくことはない。

堕ちた男、堕ちた女は、往々にして表社会に戻ろうと努力するのだが、しばらくするとまた裏側に堕ちてしまうのは、人間関係の構築方法があまりにも表側と裏側とでは違ってしまうことにも要因がある。感性が違ってしまう。

私自身もそういった傾向があるのだが、私だけではなくアンダーグラウンドに長くいた人たちはみんな似たような問題を抱えている。そういった人は、表に這い上がっても、いつも裏側へ裏側へと引き寄せられていく。

「堕ちた女性は、這い上がってもまた堕ちる」というのは、そういったことを指している。

私は実感としてそれがよく分かる。堕ちた人間はまた堕ちる。這い上がってもまた堕ちていく。感性が違ってしまったら表社会でうまくいかない。

 

アンダーグラウンドに堕ちていった人間の荒廃は顔に出る。こうした人間は最後は孤独になっていくが、これはそういった世界特有の殺伐さが次第に身につくからだ。他人を信じないことが身を助ける世界なのだから、それが身につけば孤独になって当然なのである。

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