2025年6月2日夜、パキスタンの首都イスラマバードで17歳の人気インフルエンサー、サナ・ユサフが自宅で銃撃を受けて死亡した。銃撃したのは、22歳のウマル・ハヤットという男だった。
この男は、一度も会ったこともない彼女に、執拗かつ粘着的に求婚を繰り返し、それを拒否されたことへの怨恨から犯行に及んだことが判明している。
男は防犯カメラに映る映像から身元を特定され、現場から逃走を図ったものの、すぐに確保された。
殺されたサナ・ユサフはTikTokで80万人、Instagramで50万人を超えるフォロワーを抱え、日常的にファッションやスキンケアのヒント、地元カイバル・パクトゥンクワ州の文化紹介などを発信していた。
また女性の権利促進を訴える投稿も行い、多くの共感を集めていた。父親は公務員、母親は著名な文化活動家という家庭で育ち、地元紙は彼女を「次世代を代表する声」と評していた。
この事件はまたたく間に国内外に報じられ、多くのメディアが「若い女性インフルエンサーの安全を脅かす事件」として取り上げた。人権団体も女性に対する暴力の深刻さを指摘している。
ところが、である。
SNS上では追悼の声があがる一方で、「こういうことが起きてうれしい」「自業自得だ」「これがパキスタンの伝統だ」「女のくせに目立つからこうなる」と、彼女の死を肯定し、嘲笑し、よろこぶコメントが大量に寄せられる事態となっている。
あげくの果てに、彼女の遺体写真まで拡散されることになった。