女性を拉致し、監禁し、自分が絶対的な「王」として君臨する。女性を欲望のままに扱う。そういう事件は連綿と続いている。たとえば、ティモシー・M・ハスレット・ジュニアが引き起こした事件もそうだった。
この事件は、アメリカ・ミズーリ州で発覚した極めて悪質な拉致・監禁・殺人事件だった。この男は、地下室を「ダンジョン」と称されるほどの異様な空間に作り変え、女性を監禁し、拷問や性的暴行を加えていた。
事件が明るみに出たのは2022年10月、22歳の女性が拘束具をつけたまま住宅の地下室から脱出し、助けを求めたことがきっかけだ。彼女は、数週間にわたり監禁され、首に金属製の首輪をつけられ、足枷をされるなどして自由を奪われていた。
彼女は裸足のまま近隣住民のもとに逃げ込み、それで事件が発覚した。
警察が調査に入ったところ、地下室には拘束用の鎖やカメラ、拷問器具が多数設置されていたことが確認された。これは単なる思いつきの誘拐や監禁ではなく、時間をかけて計画的におこなわれたものであったのがそれでもわかる。
そこは、この男が作り出した女性を支配するための特別な世界であり、暴行を加えるための空間だった。
しかも、この地下室から救出された女性の証言によって、他にも犠牲者が存在することが明らかになった。被害女性は「彼は友人たちを殺した」と証言し、警察の捜査はさらに進展した。
2023年6月、ミズーリ川でカヤックをしていた人々が、青い樽を発見した。その中から、36歳のジェイニー・クロスデールの遺体が見つかった。彼女は以前から行方不明となっていたが、調査の結果、ハスレットの地下室で撮影された写真にも映っており、監禁されていたことが裏づけられた。
この遺体からも、レイプされた痕跡が残されていた。