アンダーグラウンドの男は性的に放縦だろうが、乱脈だろうが、変質的だろうが何だろうが、べつに誰に何を言われるわけでもない。
アンダーグラウンドというのは、そういう世界なのだから、それが普通なのだ。もちろん、未成年に手を出したり、レイプしたりするようなケースはさすがに逮捕されるが、不倫くらいで糾弾されることはけっしてない。
しかし、表社会の男たちは不倫ひとつで吊し上げられる。それで仕事も、地位も、名誉も、失ってしまう男が続出している。政治家も、いちいち不倫で糾弾されて釈明に追われたり、クビにされたりしているのだが、それが表社会の特徴でもある。
裏社会の男だろうが、表社会の男だろうが、男は男なので身体中にテストステロンが過剰に巡っており、攻撃的な性欲を持っているのは間違いない。
そのため、表社会で生きている男や、世間の目にさらされている男ほど、攻撃的な性欲を何とかしなければならない。性欲をむき出しにして、あっちこっちで放縦な性体験をしていたら、いずれ足元をすくわれる。
本来であれば、邪悪な性欲を消し去り、良識と常識を持ち、道から外れず、倫理的に生きるのが一番いいのだが、ほとんどの人はイエス・キリストじゃないのだから、裏で欲望の泥沼にずぶずぶと沈んでいく。
とすれば、公衆の面前では清廉潔白を演じるしかない。そして、清廉潔白を演じているのであれば、邪悪な性欲を持っていることや、どこかで不倫していることは必死で隠さなければならない。表沙汰になると、やっかいなことになる。それが表社会に生きる男の悲しい宿命だ。
それならば、「性欲を消す」というのは、一定の需要があるようにも思える。たったひとつの性的スキャンダルですべてを失うのであればなおさらだ。では、「性欲を消す」のは、果たして可能なのだろうか?