ちょうど10年ほど前から日本の風俗嬢を取材するようになって100人から200人近くの女性と会ったように思うのだが、ふと彼女たちがまだ風俗の仕事をしているのかどうか気になることもある。
彼女たちが所属している風俗店はメモに記録を残しているので、それを見て確認すると、そもそも彼女の所属していた風俗店そのものが潰れてなくなっていたり、店はあっても女性のパネルは消えていることが大半だ。
ひとつの店に数年も居残り続けるような風俗嬢は、そちらのほうが珍しいと思うので、彼女たちがいなくなっていたとしても、それは当然のことだ。ただ、その後どう生きているのか、思いを馳せる。
まだ転々と風俗店を流れて続けている女性もいるだろうが、すっかり足を洗って表社会の人間になったりした女性もいるだろう。
日本の風俗嬢は、風俗に勤めながらも昼職を持っている女性も多いので、そういう女性はすんなりと表社会に戻れるのだと思う。
しかし、私が会ってきた女性は、精神的に不安定であったり、未熟であったり、学歴がまったくなかったり、社会に出てからずっと風俗嬢として生きていた女性が多く、表社会の立ち振る舞いを知らなかったり、敬語を使えなかったりする。あるいは、身体のあちこちにタトゥーが入っていたりする。
こうした女性は昼職を探そうと思っても難しいはずだ。本人がその気になっても、表社会はなかなか彼女たちを受け入れない。
もし、彼女たちが「もう風俗を辞めて表社会で生きたい」と願ったとき、それは叶えられるのだろうか……。過去に出会った女性たちのことを思って、そんなことをうつらうつらと考えていたりする。