2024年9月27日。東京・歌舞伎町の「トー横」で、女子高校生ら3人に無許可で咳どめ薬などを配ったとして、22歳の男が警視庁に逮捕されている。いつも女装していて、パンダのデザインのリュックを背負っていたので、界隈からは「パンダ」と呼ばれ、本人も「パンダ」を自称していた。
女装はしていたのだが男としての性欲はあったようで、中学生や高校生にオーバードーズさせては、性的関係に持ち込んでいた。逮捕された時点で、オーバードーズするためのクスリ「メジコン」等を、合わせて840錠を無許可で配布・販売していた。
メジコンをオーバードーズすればどうなるのか。書籍『病み、闇。ゾンビになる若者、ジョーカーになる若者』でも、実際にオーバードーズした女性に何人も話を聞いたが、ふわふわして空中を歩いているような気分になって心地良いのだという。
落ち込んだ気分やイライラした感情やどうしようもない空虚感を持っていても、ドラッグを取ると、そういう負の感情がきれいに消えて「多幸感」が得られる。ドラッグによって感情が変えられる。
考えてみれば、人間が常習し、依存し、虜《とりこ》になっていくドラッグというのは、ほぼすべてが感情を変えて多幸感が得られるものなのだ。しかし、その効果は一時的なので、何度も何度もドラッグを欲することになる。
人間の感情がドラッグによって「操作」できることなど、誰でも知っている。ある種のドラッグを飲むと、人は多幸感を感じるだけでなく、不安を消したり、恐怖を消したりすることも「自由自在」にできるようになるのだ。
だから、ドラッグを飲むだけで感情を変えられると気づいた者は、早く感情を変えたくてドラッグから離れられなくなってしまう。これがドラッグ依存なのだが、この依存性を利用すると、どうなるのか。