街を歩いていると、時々その異様さに思わず足を止めて見つめてしまうような唯我独尊の格好をしている人がいる。
その中には自分の格好が人の目を集めることを理解していて、計算ずくでやっている人もいる。そういう人は「ああ、注目を集める効果を狙って意図的にやっているんだな」と思うので、一瞬は関心を持っても次の瞬間には忘れてしまう。
しかし、そうではなくて恐らく「本人がそれが好きでやっている格好」が世間の常識とは思い切り外れていて、それがゆえに悪目立ちする人というのがいるのである。
自分に似合っているとか似合っていないとか、まわりの人がどういう反応をするとか、そういう配慮はいっさいない。独自の美的センスと妥協なしのこだわりで身を固めており、それが強烈なインパクトとなって見る人に迫ってくる。
新宿・歌舞伎町は日本でも有数の歓楽街であり、繁華街でもある。とすれば、一日数十万人もの人が行き来するわけで、それくらいの人が往来しているのであれば、そういう悪目立ちする人たちがいたとしても不思議ではない。
私はしばしば歌舞伎町をうろつくようになっているのだが、歌舞伎町を当てもなく野良犬のようにうろつくたびに、どこか奇妙な人を見かけて、しばし見とれたりしてしまう。
先日も「これはすごいな……」と絶句してしまう女性を見た。
他に用事があったのだが、立ち止まってしばし彼女を見つめずにはおられなかった。彼女の格好は彼女の偏執狂的なまでのこだわりの産物であり、その突き抜けたインパクトは他を圧倒していたと断言できる。彼女に釘づけになった。