人口2200万人のスリランカが絶望的な状況となっている。スリランカは中国からの莫大な債務を受け入れて、典型的な「債務のワナ=借金を押しつけられて領土・資源を奪われる」に落ちた国なのだが、それだけではない。
大統領・首相という地位を私物化したラジャパクサ一族が、際限を知らない私利私欲と利権あさりに邁進した結果、完全に国家崩壊にまで突き進んでしまった。汚職・利権・非効率で国は崩壊するのである。
スリランカがこのような状況になってしまったのは、コロナ禍による観光産業の壊滅的ダメージである。
スリランカは紅茶などが有名だが、紅茶で国民全員を養えるわけがなく、「観光」と「出稼ぎ」がスリランカという国の収入源だったようなものなのだが、2020年から現在に渡るコロナ禍による人流の停止で、両方が同時かつ長期に途絶えてしまった。
その結果、外貨収入が激減してしまったのだが、そんな中で大統領・首相の座を独占していたラジャパクサ一族は何をしていたのかというと、自分たちの利権を漁って汚職に明け暮れているだけで、国民の困窮にはまったく注意を払わなかった。
そして、そこにとどめを刺したのがロシアによるウクライナ侵攻だった。
これによって世界の供給(サプライチェーン)はガタガタになり、エネルギー価格矢小麦価格の上昇がスリランカに襲いかかった。そして、あっと言う間に外貨不足に陥ったスリランカはガソリンすらも輸入する金がなくなって深刻なまでのガソリン不足が発生した。
そして、スリランカ国内ではガソリンの国内在庫が払底してしまい、スリランカ経済の大動脈は立たれた。
これに起こったのが国民たちである。こうなったのはラジャパクサ一族のせいであるとして、大規模なデモが発生し、それが収まることがないままスリランカ全土に広がっていった……。