◆道徳心のない人間ですら怖じ気づく。カリグハット売春地帯

◆道徳心のない人間ですら怖じ気づく。カリグハット売春地帯

インドはとてもハードできつい国だ。それは貧困のレベルが想像を超えているからだ。他の国で隠されていたものは、インドでは何もかも剥き出しである。

そして、そこで生きる人たちの荒廃は、先進国から来た人間の常識すら破壊してしまう。最初から常識は通用しないし、夢にも思わないような不条理な展開がいきなりやって、絶句したまま口もきけなくなる。

インド・コルカタのカリグハットは、本当にひどかった。広大に広がるスラム、激しい糞尿の臭い、憤怒に満ちた女性たち、そして不条理な展開……。

何もかもが想像を超えていた。そして、道徳心など持ち合わせていないハイエナですらも怖じ気づく。これほど貧困が極まった売春地帯は珍しいかもしれない。

カリグハット……。この地区はヒンドゥーの神のひとりカーリーを奉る「カーリー寺院」と、マザー・テレサの設立した「死を待つ人の家(Home for Sick and Dying Destitute)」があって世界的にも有名な観光地となっている。

カーリー寺院はヒンドゥー教徒に畏敬を抱かれ、「死を待つ人の家」はキリスト教徒が聖母テレサを想って厳かな気持ちを抱く。いずれも「神に近い場所」だ。

しかし、だからと言ってその周辺が浄化されて聖なる場所にふさわしいかと言えば、まったく逆だ。

そこがインドのインドたる所以だろう。カーリー神を奉る寺院の裏には、広大なスラムが広がっている。

そして、荒廃したその場所は、コルカタでも最悪の都市スラムではないかと言われているのだった。そこにはムンシガンジと同じように売春する女たちがたむろしており、観光でやって来た男たちに肉体を売る。

観光地であるカーリー寺院のまわりには土産物屋が集中している。奥に入っても土産物屋が続く。

様々な神様をカードやポスターにしたもの、女性の腕につける色とりどりの腕輪、皿、カップ、トレイ、ホラ貝の置物、銀細工、書物……そのようなものが所狭しと陳列され、観光客の目を惹いている。

中でも圧倒的に多いのは、リンガとヨニの置物である。リンガは真っ黒に塗られている。

リンガは男根を、ヨニは女性器(子宮)を象徴している。コルカタはかつてからカーリー信仰の強い土地で、カーリー寺院はさしずめ、その総本山と言ってもいいだろう。

(インターネットの闇で熱狂的に読み継がれてきた売春地帯の闇、電子書籍『絶対貧困の光景 夢見ることを許されない女たち』にて、全文をお読み下さい)

絶対貧困の光景
『絶対貧困の光景 夢見ることを許されない女たち(鈴木 傾城)』

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