◆パタヤ。女性、酒、ドラッグに溺れるハイエナの「ゆりかご」

◆パタヤ。女性、酒、ドラッグに溺れるハイエナの「ゆりかご」

タイ編
2012年8月6日、タイ・パタヤのビーチロードでイタリア人がレディーボーイに財布を奪われ、2人の容疑者が逮捕されている。

通りかかる男に抱きついて、油断している隙にポケットから財布を抜き取り、近くにいる共犯者のひとりに財布を渡して逃亡させる。これは、ビーチロードでは典型的なスリ事件だ。

この手の事件は毎日のように起きていて、パタヤでは珍しくも何ともない。

この事件で容疑者のカバンの中身が開示されてテーブルに並べられていたが、先の尖ったスクリュー・ドライバーが並べられていた。つまり、何かあれば彼女は男を刺すこともできた。

では、パタヤでは危険な売春地帯なのか。比較の問題になるが、パタヤは売春地帯として見ると、他の国の殺伐とした売春地帯よりもずっと安全だ。

パタヤに3年いることになっても、飽きることがない

パタヤのオープン・バーは本当に数が多く、奥が深く、女たちも多種多様だ。何らかの事情があってパタヤに3年いることになっても、飽きることがないはずだ。

パタヤにはビーチがあって観光客が湧くように流れて来ていることから売春ビジネスの需要も高く、実際、セックスは溢れるほど供給されている。

もちろん、パタヤのオープン・バーや置屋、ゴーゴー・バーは今後タイ政府の一存で縮小していくかもしれない。

しかし、セックスの供給を完全に壊滅させるとパタヤは一瞬にして廃れる。観光立国を目指しているタイ政府も「金の卵」をつぶすほど浅はかではない。

売春ビジネスが必要悪であることを一番よく知っているのは、他ならぬタイ政府である。

とすれば、今後も波があったとしても、パタヤは売春地帯としては生き残る可能性が高いと推測できる。

パタヤは初心者に向いた歓楽街だが、同時に荒淫に明け暮れたヘヴィーな男たちもその居心地の良さを認めている。

あるバーで隣の席に座ったアメリカ人と話をする機会があったが、彼もまた筋金入りのハイエナで、かつては世界の売春地帯を徘徊していたという。

しかし、このアメリカ人はもうパタヤに永住するつもりでいるという。それは理にかなっている。

ここにいればひとまず女性がいて、浴びるほどアルコールを飲める。シンハ・ビールに飽きれば、彼の国籍にふさわしくバドワイザーも用意されている。

おまけに安全までついてくる。ここで言う安全とは、売春地帯で騙されないという意味の安全ではなく、政府がハイエナを逮捕しない、という意味の安全である。

“The law of the jungle”(弱肉強食)

インドでもバングラデシュでも、売春地帯は警察によって気まぐれに監視される。

インドの売春地帯のひとつであるフォークランド・ストリートでは、警察も安心できないし、賄賂を求めてくる者もいた。警察官が金を出せと言うのである。逆らえない。

フォークランド・ストリートに長くいられなかったのは、気の強い女たちに混じって、悪徳な警察の存在もあったからだ。

ポン引きや売春女性、そして売春窟のオーナーに金を巻き上げられるのは大したことではない。恐怖を感じたり、腹立たしかったりしても、それは一過性のものだ。

しかし、警察は身柄を拘束する権利もあれば、パスポートを取り上げる職権もある。

そうなれば、売春禁止法で逮捕される可能性もあれば、国外退去の恐れすらある。

バングラデシュは売春地帯そのものも非常に危険だが、警察もまたジャングルの野獣のように危険だ。まさにそこは弱肉強食の世界でもあった。

弱肉強食は、英語で”The law of the jungle”と言う。直訳すれば「ジャングルの掟」となる。

まさに途上国はジャングルの掟が横行する弱肉強食の地であり、ふらふらと売春地帯をさまようハイエナは、「おいしい餌」にすぎない。

バングラデシュでは売春地帯にいるところを、女性もろとも逮捕されて拘束されたこともあった。

そのあと、しばらく日本で茫然自失としていたが、やがて気を取り直してバンコクに戻り、自分の身に起きたことを反芻していた。

馴染みの中華料理店の一角でひとり食事を採りながら、今さらながら気がついたのは、タイという国はいかにハイエナに安全な国であるのかということだった。

これだけタイにいるのに、タイでは警察と関わり合ったことがない。

ここは安全で、清潔で、食事もまったく問題がない

売春地帯に深く入り込むと、安全には他の人よりもかなり無頓着にならざるを得ない。安全を考えると、そこはいてはいけない場所なのである。

恐喝されることも多い。よく金も盗られている。また、いろいろな国で警察にも監視されている。

ごく普通の感覚を持っているのならば、安全は何にも増して優先される。タイにはそれがある。ハイエナにとって、それ以上何も望むものはない。

かつて、カンボジアでは未成年の売春女性が横行していたので、病的なペドフィリア(児童愛好者)も多く集まった。

ペドフィリアはどこでも逮捕の対象になるので、このような気質を持った男たちが増えると、とたんに警察やNGOや政府の監視対象とされる。

それに較べて、タイ・パタヤはどうだろう。

喜ばしいことに、現在のパタヤには未成年の売春女性がほとんどいないし、ペドフィリアも来ない(絶対にいないわけではない。実は未成年の「少年」の売買で何人も逮捕されている)。

ここは安全で、清潔で、食事もまったく問題がない。

結局、カンボジアの売春地帯がほぼ壊滅したあと、途方に暮れた「普通」のハイエナたちが選んだ地にパタヤが多かったのもうなずける話だった。

もっとも、パタヤも売春地帯である限り、「ジャングルの掟」に支配されているのは言うまでもない。

睡眠薬強盗が多いのもパタヤの特徴

昔ほどはひどくないが、パタヤは今でもドラッグ汚染地区だ。売春と麻薬は双子の兄弟であり、場合によってはシャム双生児の可能性もある。

片方があるのなら、もう片方も必ず存在する。どちらも人を快楽に導き、恍惚とさせ、やがて静かに破滅へと引き寄せる。

麻薬と言えば薬、薬と言えば睡眠薬強盗が多いのもパタヤの特徴だ。

タイで使われているこの睡眠薬も他国の睡眠薬強盗が使うものと同じく、脳全体に作用する強烈なバルビツール系のものもある。マリリン・モンローの命を奪ったのも、バルビツール系睡眠薬だった。

量を間違えると、呼吸が停止して死亡することすら珍しくないものが出回っている。パタヤでも死人も出た。

そして、その種の薬にくわしい人間も存在している。レディボーイたちだ。彼らが一番よく睡眠薬を使いこなすことができる。死者を出した事件も、犯人はレディーボーイだった。

他にも、「親切な旅行者」が、同国人に睡眠薬を振る舞うこともあるようで、うかうかしていると比較的安全なはずのパタヤでも、たちまちジャングルの餌にされる。

レディボーイは、パタヤでは普通に見かける「人種」である。レディボーイによるショー、レディボーイのみのミス・コンテストも行われており、パタヤの華やかさの一端はこの「人造の女性」が担っている。

しかし、一部のレディボーイは非常に危険な存在であることは周知の事実だ。泊まっていたホテルのカウンターでも、年配のフロント女性がよく忠告した。

「あんた、パタヤのことをよく知らないと思うからアドバイスしておくわ。パタヤはとてもクレイジーな場所なのよ。決してビーチの女たちやレディボーイに近づいちゃだめ。彼らはとても危険なの。人殺しもいるわ」

レディーボーイに殺された日本人もいる

フロントの女性がしたり顔で言ったビーチ・ロードのレディボーイが危険なのは嘘ではない。ひったくり、置き引き、恐喝、何でもありだ。スタンガンを持っている人間までいる。

ちなみに、そのスタンガンは観光客向けの土産屋に売っているのがタイらしいおおらかさだ。

レディーボーイに殺された日本人もいる。2005年10月6日、ホテルの一室で日本人の男が手足をひもで縛られ、浴槽に放り込まれて殺されていた。

この殺された日本人は縛られる前にビール瓶で頭を強打されており、現場には割れた破片が散乱していたという。

頭を殴りつけても彼はまだ生きていたようだ。そこでレディーボーイは、彼の手足を縛って水を張った浴槽に放り込んで窒息死させたのだった。

後日、殺されたこの日本の男は歓楽街をさまようハイエナであることが判明した。しかも、レディーボーイ専門のハイエナだったのだ。

もっともそんな凶悪な事件があったとしても、パタヤは他の国の他の売春地帯に較べてはるかに安全であり、過ごしやすいのは変わりがない。

ここは現代のソドムである。退廃が街に溢れ、昼間から女が酒を飲もうと誘ってくる。

セックスを楽しむことが前提にあり、その気になれば、ゲイの男たち専門のストリートも用意されている。認められていないのは、未成年とのセックスだけだ。

パタヤは売春地帯として見ると、他の国の殺伐とした売春地帯よりもずっと安全だ。

安全な上に、人生を破滅させるほど退廃に浸れる。行ったことがないのであれば、行くべきだ。

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