◆かんなみ新地が一斉閉鎖。日本は小さな売春地帯ですらも許さない国となった

◆かんなみ新地が一斉閉鎖。日本は小さな売春地帯ですらも許さない国となった

「かんなみ新地が閉鎖したのか……」

2021年11月3日の神戸新聞に、尼崎市と尼崎南署が風営法に基づく警告によって「かんなみ新地」と呼ばれる小さな売春地帯エリアが閉鎖されるという記事を読んで、思わずつぶやかずにはおられなかった。

かんなみ新地とは何か。

兵庫県の尼崎市《あまがさきし》の一角、駅で言えば阪神本線の「出屋敷《でやしき》」駅から400メートルほど歩くか、もしくは尼崎駅から700メートルほど延々と商店街の中を歩いたところにある旧遊郭地帯である。

以前、日本で最凶と言われた女性犯罪者「角田美代子」に関心を持って尼崎市まで訪れた時、「もうひとつの関心」として私はここに寄ったことがある。

出屋敷駅から向かうと、商店街に入る手前に、二階建ての古い住宅が密集している妙に地域から浮いたエリアがあって、そこが「かんなみ新地」になっていた。道をはさんだ手前は広大なガレージ、裏側もまた広大なガレージになっていて、このガレージが新地を孤立させている。

「かんなみ新地」は見かけは、狭苦しい昭和の住宅の趣《おもむき》なのだが、この一軒一軒がすべて「ちょんの間」となっている。呼び込みの女性と若い女性が1階にいて、男性がひっきりなしに行き来していて狭く古い1階の土間で交渉し、決まったら二階で売春ビジネスをする。

70年前からまったく変わらない様式《スタイル》が、今も続いていたのだが、このビジネスがいよいよ近所の苦情から行政が警告を発して全店を閉鎖させるという流れになったのが2021年11月3日だった。

日本では暗黙の了解として黙認され続けてきた「売春地帯」がいよいよ存在が許されないようになってきたのか……。

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