インドのガンジス川(ガンガー)は「聖なる川」なのだが、「聖」だからと言って美しいわけではない。むしろ、その逆に非常に汚染された汚れた川である。
それは、インド中から多くの人たちがやってきて、この聖なる川で沐浴し、聖なる川に死体を流し、ゴミを捨て、サリーを洗い、灯籠を流し、排泄するからである。
まさに、ゴミだらけの川だ。どれくらい汚いのかというと、2007年には世界で最も汚染された川ワースト5に選ばれるくらいだと言えば理解できるかもしれない。
しかし、人々はそれを物ともせずやってきて、この川に浸り、感激に打ち震える。
この川は神話では天上を流れていた川だった。それをブラフマー神が地上を流れるようにしたという言い伝えがあって、人々は無邪気にそういった神話を好み、神話と一体化したいと願う。
そして、ここで火葬して骨を流すことは、まさに自らが神話になることであり、そういった決断をする人々は敬意を表されるのである。