コロナ禍の中で見えてきたのは、それぞれの国の軍事力だと思った理由とは?

コロナ禍の中で見えてきたのは、それぞれの国の軍事力だと思った理由とは?

コロナ禍の中で、アメリカとイスラエルの動きは非常に鮮やかである。世界の中で際立っていると言っても過言ではない。このアメリカとイスラエルは共通点がある。それは、どちらも「戦争に強い国」「実戦に強い国」であり、戦争経験も豊富で強い軍隊を持っているということだ。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019、2020年2連覇で『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

ワクチンの接種に関しては「アメリカ・ファースト」を貫く

世界ではコロナワクチンの累計接種回数は3月15日までに3億6013万回を超えた。接種回数が最も多い順で言うと、アメリカ・中国・インド・イギリス・ブラジルである。アメリカは約1億、中国は約5000万人で、この二国だけで44.4%となっている。

ワクチンの開発もアメリカは「ワープスピード(爆速計画)」だったが、接種もまたやはりアメリカのスピードが突出しており、国としての底力がここに現れている。

ワープスピード(爆速計画)はドナルド・トランプ前大統領が行った決断で「ワクチン開発に成功しようが失敗しようが、とにかく金は先に払うから爆速で開発しろ」というプロジェクトだった。

このプロジェクトで成功したのが、ファイザーのワクチンであり、モデルナのワクチンであり、J&Jのワクチンだったのだ。

爆速で開発できたのは、このコロナウイルスが2003年に中国で広がったSARSコロナウイルスの新型であり、過去にSARSの研究データが蓄積されていたのが大きかった。

爆速計画だったので安全性にはやや不安を残す局面はあるのだが、すでに3億6013万回の接種が行われているので、アメリカで開発されたワクチンに関しては一部の人を除いて、それほど重篤なことになるわけではないのは分かっている。

ジョー・バイデン政権は、アメリカ政府が備蓄しているワクチンを他国に回すことはせず、まだ未承認のワクチンも大量にストックしている。

諸外国からこの備蓄されているワクチン供与を求められているのだが、バイデン政権は一切応じていないことをサキ米大統領報道官が述べている。同盟国の要請にも応じていない。

アメリカ政府はワクチン開発がすべて失敗する可能性がある中で、莫大な資金を提供してワクチンを開発した。当然、ワクチンの接種に関しては「アメリカ・ファースト」を貫くのは当然の姿勢である。

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どちらも「戦争に強い国」「実戦に強い国」である

アメリカと共に目立つのはイスラエルだ。イスラエルは首相自らワクチン確保に動いてアメリカと同様に爆速でワクチン接種を行っている。

人口約920万人のイスラエルでは2月25日の時点ですでに国民の半数近くが接種を済ませており、2回目の接種を済ませた人も300万人を超えていた。

EU(欧州連合)はそれぞれの国が「ワクチンが来ていない」「EUの他の国はワクチンが大量に供給されているのに自国は少ない」と激しい不協和音でいがみ合っており、EUという連合体が危機に際しては一致団結できない脆弱さを露呈させている。

しかし、アメリカとイスラエルの動きは非常に鮮やかである。世界の中で際立っていると言っても過言ではない。

このアメリカとイスラエルは共通点がある。

それは、どちらも「戦争に強い国」「実戦に強い国」であり、戦争経験も豊富で強い軍隊を持っているということだ。別の言い方をすると、軍事国家である。国家的危機に陥れば、政府が国民を一致団結させて「敵」と立ち向かう体勢ができている。

さらに言うと、政府は国家を揺るがす危機に敏感であり、敵をきちんと理解して「戦うべき時は戦う」という意識を持つ。

中国発コロナウイルスを、アメリカとイスラエルの政府は「軍事的な敵である」と認識し、だから軍事的なスタンスで対処に当たった。そうした軍事国家としての強さが、コロナ対策でも遺憾なく発揮されたとみることができる。

その見方で中国を見ると、どうなのか。

中国もまた独裁政権の中で有無を言わせない強制力で国民にワクチン接種を強制させているわけで、危機管理能力は十分に持っているということが分かる。恐らく今の中国は軍事的にも侮れない能力を有している。

その国家が強いのか弱いのか、それは平和な時ではなく非常事態に落ちた時に分かる。コロナ禍で見た限り、今の世界で最も軍事的に機能するのは「アメリカ」「イスラエル」「中国」なのではないか。

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日本国民が危機に対する対応能力はずば抜けている理由

そういう目で日本を見ると、コロナ対策にしてもワクチン接種に対してもすべてが後手後手となっていて非常事態にうまく対応できているようには見えない。ところが、「それでも何となくうまく回る」のが日本なのだ。

日本は非常に特殊であると思う。

政府がしっかりしていなくても、国民が危機に対して敏感だ。政府に何か言われなくても、ひとりひとりが危機の中で慎重に対応する。そのため、政府が無能であっても国民の気質で危機が回避できてしまう。

日本でコロナが爆発的感染に至らなかったのは今後の研究課題でもある。しかし、事象として言えるのは、国民ひとりひとりが良識を持って対処したから被害が少なかったという面も大きい。

国民はきちんとマスクをして接触を減らし、政府が何の保障もしないでも「自粛しろ」と言ったら自粛した。マスクなんかしても意味はないという主張をする人もいたのだが、それでもほとんどの日本人はマスクをしている。

政府があれこれ細かい指図をしなくても、あるいは強制しなくても、人々はきちんと自己管理をした。

日本人のこの危機管理能力は、地震や台風でしばしば被害を受ける国土で鍛えられているという側面もあるのかもしれない。私に言わせれば、地震や台風というのは「毎回、戦争で攻撃されている」ようなものである。

日本国民は戦争で攻撃されるのと同じように、災害で攻撃されている。そういう意味で、危機に対する対応能力はずば抜けているのではないか。

もちろん、軍事的攻撃による被害と災害による被害はまったく性質が違うものであるというのは分かっているのだが、どちらも国民の生活を一瞬にして瓦解させる危険なものであるという点や、被害が無差別的なものであるという点では同じである。

日本国民は災害によって擬似的な戦時下を常に生きている国民であり、だから政府が頼りなくても危機に対しても粘り強いのではないか。

だからと言って政府が頼りないままでは困るのだが、今回のコロナ禍でもそうした面が強く出たように見える。

アメリカとイスラエル。そして日本。それぞれコロナ禍の中で国や国民としての性格が非常にはっきり垣間見えて興味深い。コロナ禍の収束の仕方も、それぞれ国民性が表れていくのだろう。

『世界のエリートはなぜ「イスラエル」に注目するのか(新井 均)』

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