バングラデシュのローカル紙『ザ・デイリースター』が、バングラデシュ最大の売春地帯となっている「ダウラディア」に、ある20歳の女性が2万タカ(約2万4000円)で売り飛ばされてしまったというニュースを報じている。
ダウラディアは2020年のコロナ禍の中で一時期、閉鎖されていたはずなのだが、今ではなし崩し的に売春ビジネスが行われているようだ。
バングラデシュが最もコロナ感染者が多かったのは2020年6月で、それ以後はどんどん感染者が減っている。しかし、仕事はコロナ以前と同じように戻って来ているわけではなく、貧困層は極度に困窮化している。
特に衣料品工場に勤める女性は非常に厳しいことになっている。今回、ダウラディアに売り飛ばされた女性も衣料品工場を失職した女性だった。彼女は知人の女性に売春地帯に売り飛ばされていた。
私たちは女性を売春地帯に売り飛ばす人身売買業者は男性をイメージするが、バングラデシュやインドでは若い少女や女性を油断させるために、やや老いた女性が騙し役として出てくることが多い。この20歳の女性も、女性に騙された。
彼女は暗い部屋に閉じ込められ、逃げようとするたびに殴る蹴るの暴行を受けていた。外では大音響で音楽がかけられていて、彼女の悲鳴は外に届かないようにされていた。食事は一日一回で、部屋に閉じ込められっぱなしで太陽の光を見ることもできなかった。
彼女を含めて14人の女性がダウラディアに監禁され、無理やり客を取らされていた。この女性は客としてやってきた男性の携帯電話を借りて警察に電話して助けを求めたことによって救済された。
こういう事件が、2021年1月23日の記事として『ザ・デイリースター』に掲載されていた。バングラデシュではコロナ禍でも人身売買が行われ、売春ビジネスが依然として続けられていることを私はこの記事で知り、かつて知り合ったインド圏の多くの女性たちを思い出したのだった。
インドやバングラデシュでは、このように売られてきた不幸な女性も多いが、もともと売春地帯で生まれ育って、売春ビジネスが家業のようになっている女性もいる。また、低い身分や極度の貧困によって覚悟して売春ビジネスに入った女性もいる。
インドでもバングラデシュでも、私はそうした多くの女性と関わってきた。