時々、カンボジアのことを想う。カンボジアと言えば、誰もが思い出すのがポル・ポト政権によるオートジェノサイド(民族大虐殺)だ。原始共産主義を信条にしたポル・ポト政権は、資本主義を廃止して、すべての国民を農家にして逆らう人間を片っ端から大量虐殺していった。
そうした、とても残酷な歴史を誰もがカンボジアという国を聞いたときに思い出す。
しかし、このポル・ポト政権は1974年に樹立して、1979年には早くも瓦解してしまっている。以後のカンボジアはオートジェノサイドの後遺症で国家が混乱した状態が続き、東南アジアの最貧困国として見捨てられていた国でもあった。
1980年代も、ポル・ポト政権の残党が国土の西側を占拠していてカンボジアはとても危険な国だった。状況が変わったのが1990年代からである。1990年代に入ると、ソ連(ソビエト社会主義共和国連邦)の崩壊によって世界の冷戦構造は終結した。