コロナ禍の時代でも通用する、奇をてらわない史上最強の生き残り方法とは?

コロナ禍の時代でも通用する、奇をてらわない史上最強の生き残り方法とは?

すでに実質賃金は9ヶ月連続でマイナスだ。しかし政府は、2019年10月に消費税を10%に引き上げて景気を急激に冷やし、コロナ禍でリーマンショック級の事態が起きているのに消費税を決して引き下げたり撤回しようとしない。やっていることは、とても冷酷だ。そして、経済的困窮でどうしようもなくなった人から借金に落ちている。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019、2020年2連覇で『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

分相応な借金を抱えている人間が最も弱い時代となった

2021年もコロナ禍は続く。すでに中国発コロナウイルスは実体経済に大ダメージを与えている。本来であれば、諸外国からくる外国人をシャットダウンして感染者数を抑えながら、国内は経済を正常化させ続けなければならなかった。

しかし菅政権がやったのは、まるっきり逆のことだった。ビジネス往来の外国人はザルのように入れて、感染者が拡大していったら日本人の行動を規制して経済を止めてしまったのである。

2021年1月8日から2月7日までは再度の緊急事態宣言となってしまったので、2021年の上半期も不景気が続いていくだろう。

統計データから見ると2020年7月から自殺者が増えている。状況の改善が見られない以上、この流れが止まることはない。これからコロナ蔓延による国家と企業と個人の苦境はより深まっていくのだ。

このような不穏な時代になると、分相応な借金を抱えている人間が最も弱い。

なぜなら、借金は自分の都合に関係なく返さなければならないものであり、コロナ禍で収入が減ろうが何だろうが「借りたものは返せ」というのが基本だからである。

これは住宅ローンでも、事業向け融資でも、カードローンでも、リボ払いでも同じだ。借りている金額が大きければ大きいほど不景気では弱い。

たとえば住宅ローンでは一度でも返済が滞ると優遇措置が外されて、苦しい時により返済が重くなる。最も経済的にキツい時に、支払いはより重くなる。カードローンにしても、遅滞すればするほど罰則的な金利が高くなる。税金ですらも、払うべきものを払わないと懲罰的な金利が加算される。

借金がある人は、コロナ禍では最も注意深く生きなければならない人だ。

私たちは今、超弩級の異常事態に巻き込まれているし、コロナ禍が収束しても不景気はだらだらと続くのは確実だからだ、そんな中では年収が上がることもなく、むしろ下がる可能性やリストラでゼロになる確率の方が上がる。巻き込まれると、借金がある人はより借金が膨れ上がる。

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借金が返せなくなった瞬間に「根こそぎ奪われる」

借金が返せなくなるというのは生活が破綻するということである。つまり「衣食住」のすべてが奪われるということだ。最初に電話・電気・ガス・水道が止められ、次に住居を失う。

住居を失ったら仕事どころではない。そのため、多くの場合は仕事も一緒に失う。仕事もカネも住所もなく路頭に迷うことになる。

実際、非正規雇用者の中で平均年収186万円のアンダークラス(低所得層)の中で、どん底の中のどん底にいる人たちは、すでに家賃を支払うことができずに住居を失ってしまった人たちがネットカフェに大勢いる。

借金が返せなくなった瞬間に「すべてを根こそぎ奪われる」のだから、それまでどんな優雅な暮らしをしていようが、その後はあっという間にどん底《ボトム》だ。

借金は好景気の時は成長のスピードを速めるレバレッジの役割を果たすのだが、不景気の時は一気に自分を奈落の底に突き落とす地獄の使者と化す。

そのため、借金で追い詰められた人たちは、多くの場合はそこからもがこうとして「借金を借金で返す」自転車操業に追い込まれていく。

特にその傾向が強いのは事業主である。

「ここを乗り切ったら何とか生き残れる」という一縷の望みを抱くので、返せなくなった時点で終わりにしないで借りて借りて借りまくって「しのぐ」のである。

しかし、借金を返すためにどこからでも借りるというその悪あがきは、より深い地獄に落ちる第一歩と化す。事情を聞いて返せない借金をしようとする人間には貸す側もリスクなのだから必然的に高金利で貸すしかない。

通常の金融機関が貸してくれないのであればヤミ金融に辿り着くのだが、そこはもはや法律すらも無視した世界である。カネのなくなった人間がトイチ(年利365%)でカネを借りて何とかなるわけがない。しかし、借りる側は、もう合理的な判断すらも喪失している。それで破綻に向かう。

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生き残りたいという「あがき」がそれを誘発する

ワクチン接種が世界各国で始まっているが、人類が集団免疫を手に入れる75%に到達するには時間がかかる。2021年に入っても混乱は止まらないので、実体経済の悪化と共に経済的に窮していく人も増えるはずだ。

政府が生活保障もしないまま緊急事態宣言を出すような無謀なことをしているので、国民はどうしようもない。仮にもし救済措置があったとしても、事業を継続できる環境が封じ込められているのだから景気は不安定なままである。

実質賃金は9ヶ月連続でマイナスだ。しかし政府は、2019年10月に消費税を10%に引き上げて景気を急激に冷やし、コロナ禍でリーマンショック級の事態が起きているのに消費税を決して引き下げたり撤回しようとしない。やっていることは、とても冷酷だ。

そして、経済的困窮でどうしようもなくなった人から借金に落ちている。本当は、未曾有の不景気の中で追い込まれ、借金が返せなくなって苦しまぎれに借金を借金で返す自転車操業を始めても何ともならない。

しかし、生き残りたいという「あがき」がそれを誘発する。

中小企業・小規模事業者・個人事業主・フリーランサーは、多くが事業の成長のために負債を抱えている。借金がない人の方が少ない。そのため、追い詰められれば「何とか会社を行き残さないと」と思って、どうしても借金を積み上げるように新たな借金をしようとする。

それが自分の首を絞めることになるとは思っても、ここで事業を畳んでしまうと後には借金だけが残るし、すべてを失うのは先延ばししたいと思うので、どうしても借金に借金を重ねる状況を抗えない。

最後には悲惨な結末が待っていると分かっていても、致し方がなく泥沼の道に突き進んでしまう。本来は、2020年の半ばあたりで、思い切って事業を畳んだ方が良かったのだ。(マネーボイス:飲食店は耐えるより閉店すべき。決断が遅れると完膚なきまでに叩き潰される=鈴木傾城

2020年。世界は突如として変わってそのような悪夢の世界が目の前に現れた。借金を返せなくなった人間は自己破産に追い込まれるだけでなく、精神的にも極度な緊張感を強いられて鬱病や自殺を誘発することになる。

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変哲のない3つの武器だけで生き残れると思っている

こんな時代に生き残りたければ、借金はとにかく「減らす」ことを優先しなければならない。経験したこともないような不景気が目の前に現れたのだから、自らの規模をとにかく極限まで小さくするしかない。

事業を継続させることによって借金が膨れ上がって将来の破綻が見えているのであれば、傷が浅いうちに撤退するのは結果的に自らを助けることになる。

私は1990年代のバブルで資産価値が見る見る消えていく中で「何とか生き残ろう」として結果的に傷を深めて再起不能になった人たちを見てきた。

そうした人たちの苦しみや不安や精神的苦痛を間近で見てきた。だから、私自身は常に借金を遠ざけてきたし、人生においても投資においても生き方にもレバレッジもかけなかった。

だから私は、1997年のアジア通貨危機でも、1998年のロシアデフォルトによる金融市場の暴落にも、2000年のITバブル崩壊でも、2001年の同時多発テロ事件による金融ショックにも、2008年のリーマンショックでも、2011年の東日本大震災でも、生き残ってこられた。

これまで一度も経済的に追い込まれたこともなかったし、首が絞まることもなかった。私は要領が良かったのか。いや、そうではない。ただ単に「無理をしなかった」「分相応に生きてきた」「貯金・投資をした」「借金をしなかった」だけで生き残ってこられたのだ。これが私の持つ「生き残りの武器」だった。

コロナ禍による経済悪化はどうしようもない。2021年の上半期も景気の上昇は期待できない可能性が高い。しかし、そんな地獄の中でも、私は

「無理をしない」
「分相応に生きる」
「きちんとした投資をする」
「借金をしない」

という変哲のない「常識」だけで生き残れると思っている。生き残る術《すべ》は結局のところ、奇をてらった秘密の手法ではなくて、ただ単に「常識」を選ぶことなのだと思っている。私は最初から常識を武器に選ぶ。

それが、史上最強の生き残り方法だ。

ボトム・オブ・ジャパン
『ボトム・オブ・ジャパン 日本のどん底(鈴木 傾城)』

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