経済困窮した女性は、12月後半から3月までが生きるか死ぬかの瀬戸際になる

経済困窮した女性は、12月後半から3月までが生きるか死ぬかの瀬戸際になる

統計的に言えば、来年も3月に自殺者のピークがくる。コロナ禍にある2021年3月は、間違いなく地獄のような数字が出る。12月〜2月の厳冬で心身を壊し、3月に心も折れて自殺に走る。最も危機に落ちているのは女性で、今後の3ヶ月間が彼女たちには生きるか死ぬかの瀬戸際になる。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

暖房器具を使えず、部屋の中で凍死した人もいる

2020年12月に入ってから、コロナの感染者が爆発的に増えている。そんな中で、「経済が死ぬから自粛するな」という意見と「コロナを抑えるためにさっさと自粛しろ」という意見が激しく対立している。

政府は苦渋の策として再び時短営業を飲食店や歓楽街の店に強いるようになっているのだが、人の動きを制限するものは「すべて」景気悪化を招く。結果として、廃業・休業・倒産が増え、同時に失業・生活保護・収入低下も増える。

コロナ禍は非正規雇用者の仕事を奪っている。自殺者もうなぎ上りに増えているのだが、経済的困窮の中で、健康を害してボロボロになっていく人も社会のどん底(ボトム)で膨れ上がっていく。

言うまでもないが、経済格差は健康格差をもたらす。経済的に不利な状況にある人であればあるほど健康にも不利なのだ。

経済的に困窮している人が就ける仕事は、ほとんどが肉体を酷使する仕事だ。身体の具合が悪くても仕事は休めない。生活のために無理するしかない。無理すれば健康を害しやすく、悪化させやすくなる。病気になっても貧困であれば医師にもかかれない。市販の薬も買えない。

薬どころか、栄養が行き届いた食事をすることもままならない。まともに食べられないのに仕事がキツいのだから、体力は極度に衰えていく。

体力と言えば、経済困窮者は往々にして夏はうだるような暑さに苦しみ、冬は家の中でガタガタと震えて暮らす。電気代が馬鹿にならないからだ。

年金で暮らしていけない高齢者が真冬になっても暖房器具を使えず、部屋の中で凍死したというニュースもあった。熱中症で死ぬ高齢者も多い。冷暖房は金がかかるので使えないのである。

こうしたことが健康の格差につながり、そして最後には寿命の格差にもつながっていく。がんでの死亡リスクも、不眠の割合も、鬱病も、所得が低いほど高い。病気と所得は関連している。

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2021年の3月は地獄のような惨状になっているはずだ

コロナ禍は貧困を拡大していく。私はコロナを「貧困拡大装置」だと言っているのだが、コロナの影響が長引けば長引くほど貧困は過激なまでに拡大していく。これはとても危険なことである。

自分を取り巻く外部環境が悪化していくと何が起こるのか。まずは経済環境が悪化し、健康状態も悪化し、精神状態も同時に悪化していく。

コロナが広がり、早い段階で急激に追い詰められてしまった人もいれば、じわじわと追い詰められて今に至っている人もいる。人それぞれだ。

コロナは冬になって拡散していく一方である。今後数ヶ月、どうあがいても絶望的な状況から抜け出せない。もがいても這い上がれない状況が続くと、人の心は少しずつ壊れていき、限度を越えた時に日常生活を送ることすらもできなくなる。

統計を見ている私は分かるのだが、来年も3月に自殺者のピークがくる。2021年の3月は、間違いなく地獄のような惨状になっている。困窮の中で人々は12月から2月の厳冬で身体を壊し、3月に心も折れて自殺に走る。

12月の後半から厳しい寒さが来る。この寒さで身体を壊してしまう人が大勢出てくる。そして、コロナの景気悪化も相まって徐々に心を蝕むのである。

人間の精神状態も肉体と密接につながっている以上、心もまた無理をすれば壊れてしまうものという認識をするのは重要だ。心が壊れると「あれをしよう、これをしよう」という気持ちが完全になくなっていく。

そして「しなければならないこと」をすることもできなくなる。

日常生活を送ることすらできなくなり、ずっと寝ているしかないような状態、自責ばかりが募り、疲れ果てて死んでしまいたいと泣きながら思うような状態、もう頑張るという言葉さえも通用しなくなる状態になるのだ。

もともと悪化していた生活は、心身が壊れることによってより悪化することになる。そして、どん底(ボトム)に転がり落ちていく。ここで考えなければならないことがある。

非正規雇用者の多くは女性であることを……。

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自分は関係ないだと言える人はひとりもいない

コロナ禍は誰にとっても他人事ではない。社会全体の景気が落ち込むのだから、それに影響されない人などひとりもいない。誰もが「厳しい」と感じるようになり、余裕を失い、他人の苦境に気を回すことができなくなる。

折しも、現代の社会は働いている人たちを切り捨てながら利益を追求する弱肉強食の資本主義でもある。会社が少しでも変調を来すとすぐに希望退職・強制退職・リストラが始まる。

コロナ禍の不景気は中小企業・小規模事業者・個人事業主を直撃しているのだが、日本の97%はそうした事業体で成り立っているのだ。ここが壊れていくと、莫大な人が経済的に困窮していく。

ワクチンは3ヶ月で出回ることはない。ということは、この3ヶ月で環境はより悪化していく。いったん、経済苦境に巻き込まれると、壮健な人であっても、ゆっくりと少しずつ心の芯が削り取られていく。

コロナ禍が止まらなくなって心がふさぎ込む人が増えているのだが、経済的な困窮は不安を募らせ、ステイホームや自粛の強要は孤独感を深くする。収入減は栄養状態も悪化させて生きる環境も厳しくする。

すべてが重なって、じわじわと心が沈んでいく。

ところで、こうした状況になった時、以下のどちらが回復しやすく、ギリギリのところで踏みとどまれるだろうか。

・仕事も家族も親も預金もある人。
・仕事も家族も親も預金もない人。

仕事もあって理解を示してくれ、家族も見捨てずに庇護してくれ、自分を心配して経済援助も可能な親もいて、貯金もしっかりある人は、一時的な苦境であっても何とかやっていける。

心身が壊れるような状況になっても、また社会復帰もしやすい。しかし、仕事もなく、自分を看てくれる家族もなく、親からも見放され、貯金もない人が孤独の中で心が折れたら、どうなるのか……。

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「12月後半から3月まで」が生きるか死ぬかの瀬戸際

コロナ禍で最も被害を受けているのは、女性だ。その中でも得に厳しいのが非正規雇用の女性である。

彼女たちの多くは貯金がない。仮にいくばくかの貯金があったとしても、たちまち追い込まれてしまう。なんとか100万円程度の貯金があったとしても、そんなものは、失業した途端に半年以内に消えてしまうだろう。

シングルマザーの非正規雇用であれば、なおさら修羅場となる。日本社会では「ひとり親世帯」の相対貧困率は54.6%なのだが、シングルマザーの半数はコロナがなくても貧困なのに、コロナ禍ではもっと追い詰められるのである。

「生活保護を受ければいい」と言う人もいる。しかし、シングルマザーの誰もが簡単に生活保護を受けられるわけではない。「なぜ、働かないのですか。働けるでしょう?」と言われ、まるで不正をする犯罪者か何かのように追及されることもある。

「自分自身も心身を病んでいるし、手のかかる子供もいる」と話をすると、「子供が育てられないのなら、子供を児童施設に預ければどうですか?」と言われてシングルマザーは仰天してしまう。

自分の命よりも大切な子供、何としてでも守りたいと思っている子供さえも、取り上げられる……。精神的に弱っている中で、そんなことを言われるのが、母親にとってどんなにつらいことなのかは想像するだけで分かる。

「自分を経済的に支援してくれる人もいない」
「夫も消えて養育費も入らない」
「生活保護も受けられない」
「精神的にも肉体的にも追い込まれてしまった」

そんな八方塞がりの中で、社会から完全に孤立無援状態になってしまったとしたら、いったいどうすればいいというのか。

水商売や風俗ですらも、心身が不調で苦しんでもがいているような女性を採らない。風俗はボランティア活動ではない。「トラブルが起きる」と思った女性は最初から雇わないのである。

身を切るような冷たい風が吹きすさぶ中、コロナ禍で経済的に困窮していく女性たちは「12月後半から3月まで」が生きるか死ぬかの瀬戸際になる。

すべての議員、NGO、福祉事務所の職員、及び関係者は、今こそ街に出て「経済的に困っている女性はすぐに私のところに助けを求めて下さい」と大声で叫ぶ必要がある。「12月後半から3月まで」それを続ける必要がある。

政治家はこの極限の状況を迅速に何とかする必要がある。さもなくば、追い詰められた女性は次々と死を選ぶだろう。

『野良犬の女たち ジャパン・ディープナイト(鈴木 傾城)』

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