日本に憧れていた途上国の若者を踏みにじる日本社会に、未来はあるのか?

日本に憧れていた途上国の若者を踏みにじる日本社会に、未来はあるのか?

留学生・実習生を大量に入れ、奴隷労働に追いやる日本。今の日本社会は、途上国の若者を搾取することによって成り立っている。それに気づく必要がある。彼らが絶望し、日本人を嫌うようになり、生きるために犯罪に手を染めるようになっていく。それは、とても悲しい光景だ。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

なぜネパール人なのか。なぜベトナム人なのか?

町を歩いていると、インド料理店がとても多い。中をのぞくとインド系の人が働いている。しかし、彼らの話をよくよく聞くと彼らはインド人ではなくネパール人であることを知る。インド料理屋で働いているのは、その多くがネパール人である。

日本ではインド料理屋が林立しており、大勢のネパール人がなだれ込んで来ているのだが、「それにしても、なぜネパール人なのだろうか」と思ったことはないだろうか……。

最近、日本のアンダーグラウンドでは、このネパール人の若者たちが徒党を組んでギャング化・半グレ化しており、「東京ブラザーズ」「ロイヤル蒲田ボーイズ」「ネパール・ジャパン・ユースクラブ」などと名乗って、恐喝などの犯罪に手を染めるようになっている。

そして最近、日本の果物や動物が次々と盗まれる事件が起こっている。当初、中国人が大量に逮捕されていたのだが、途中から様相が変わってきた。日本の農産物や畜産物を盗むのはベトナム人に変わってきていたのである。

私たちはあまり町でベトナム人を見ない。私も東京や大阪の町を歩いていて「ベトナム人がいる」と気づいたことは一度もない。日本人の多くは、ベトナム人と出会うことは「まったくない」のではないか。

にも関わらず、新聞を開くとベトナム人の犯罪が日本で急増している。特に、コロナ禍の今、その傾向がかなり増えたように見える。

気が付けば、風俗で働くベトナム女性すらも出てきていた。(ブラックアジア:デリヘル摘発で逮捕されたベトナム人女性たちと家畜窃盗犯のベトナム人たち

大勢のネパール人がなだれ込んでいるのと同様に、「それにしても、なぜベトナム人なのだろうか」と思ったことはないだろうか……。

ネパール人やベトナム人は、いったいなぜ私たちの知らないところで増えていて、このようなことになってしまっているのだろうか。言うまでもないが、彼らは勝手にやってきて日本に住み着いたのではない。

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彼らは低賃金でキツい単純労働に放り込まれる

日本で見かける外国人の多くは「留学生」か「実習生」という形でやってきている。留学生・実習生と言うと、「勉強や技術を学びに来ている人」のように私たちは捉えるのだが、実態はまったく違う。

彼らは日本で「出稼ぎ労働者」として機能している。

日本は中曽根政権が「留学生10万人受け入れ政策」をスタートさせた。以後、中国人がどんどん日本に入ってくることになったのだが、10万人の留学生受け入れが達成されても、この流れは続けられて「留学生30万人計画」に引き継がれた。(ダークネス:蔓延する中国人の犯罪。日本のアンダーグラウンドが中国だらけになった理由

彼らは経済大国「日本」で働けば金が稼げるというのをブローカーから聞き、最初から労働目当てで入ってきている。

折りしても日本では1990年代から少子高齢化によって日本に働き手が減っていこうとしていた。さらに日本の企業は、低賃金の使い捨ての労働者ばかりを求めるようになっていた。

そのため、日本の若者がそうした「低賃金ブラック企業」を避けるようになったことから人手不足が発生し、そこを留学生が埋めるようになったのである。

もちろん、単純労働のために日本に入国するのは法律違反なので、「留学生」「実習生」というのが大義名分となって使われた。

これによって当初は中国人や韓国人ばかりが増えていたのだが、中国・韓国が豊かになってくると外国人の顔ぶれが変わってきた。1990年代後半からはブラジル人が増えていった。

さらに2000年代からは、ベトナム人やネパール人が増えていくことになった。

彼らは低賃金でキツい単純労働に放り込まれることになる。日本語のできない彼らは、淡々と単純作業をする工場勤務・倉庫勤務・肉体労働にしか就けない。そうした仕事は日本人の若者は来ない。

日本人の若者に根性がないというよりも、キツい上に低賃金なのでわざわざそこで働く理由が見出せないのである。どんなにキツい仕事でも、高賃金であったら働く人は殺到するだろうが、低賃金ならば誰も働こうとしない。ましてキツい仕事なのであれば、働く意味がない。

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昼間は学校に「隔離」され、夜は徹夜で労働

「留学生」「実習生」でやってきた外国人は、日本では誰も見向きもしない低賃金の3K(キツい、汚い、危険)な仕事しか見つからない。だから、そうした仕事に就く。

私たちがベトナム人を「見ない」のは、彼らが留学生・実習生として日本に送り込まれて昼間は学校に「隔離」され、夜は徹夜で労働しているからである。

彼らの就く仕事はコンビニやスーパーの弁当の製造工場、宅急便の倉庫、新聞配達、工事現場のガレキの片づけ、農作業、魚や貝のさばき、食肉工場での肉の仕分け、化粧品の箱入れ、アパレルの仕分けなどである。

仕事自体は単純かもしれない。しかし、仕事というのは単純労働であればあるほど人間は精神的におかしくなる。

まるで機械になったかのように、同じことを延々と繰り返すのだ。仕事だから、疲れ果ててもやめられない。単純作業の上に重労働で、なおかつ低賃金であれば精神的におかしくなっても仕方がない。

私たちは今、ネパール人やベトナム人の若者に、そうした仕事を押しつけているのである。低賃金で、徹夜で、やらせている。

考えて欲しい。彼らは人間なのか、ロボットなのか。言うまでもなく、彼らも人間である。故郷があって、家族がいて、将来にいろんな夢があって、やりたいことがたくさんある若者たちだ。

しかし、貧しい国に生まれたことで足元を見られて買い叩かれ、日本で低賃金のブラック労働を強いられた。日本人の若者が働けないほど低賃金で重労働でブラックな仕事は、当然のことながら彼らもまた苦しいのだ。

本来であれば、日本政府がやるべきだったのは、「低賃金3K仕事」の徹底的な待遇改善と賃金向上のための施策であったはずだ。待遇が良くて高賃金であれば、どんな仕事であっても若者はやる。

しかし、日本政府は「低賃金3K仕事」の待遇改善も賃金向上も関心がなかった。

少子高齢化も放置し、人手不足も放置し、いよいよ困ったら「外国から安い賃金で働く外国人を連れてくればいいではないか」という発想で彼らを「留学生・実習生」として呼び寄せて、ブラック労働をさせているのだ。

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「低賃金の使い捨て労働者」の確保が目的

政府や企業は、グローバル化だとか多文化共生だとか、しきりに「きれいごと」を言っているのだが、その実態は3Kブラック労働で働く「低賃金の使い捨て労働者」の確保が目的である。

日本政府が国策で東南アジアやネパール・バングラデシュ・スリランカ等の若者を「低賃金の使い捨て労働者」として日本に連れてきて、3Kブラック労働に押し込めている。日本の労働問題・少子高齢化は、彼らを犠牲にすることで乗り切ろうとしている。

政府は「留学生10万人計画だ、30万人計画だ」とぶち上げる。金の臭いを嗅いで、いくつもの法人が日本語学校を建てて留学生から入学金という金を取り、狭苦しい寮を用意して家賃を取り、仕事を斡旋して斡旋料を取る。

そして、「低賃金の使い捨て労働者」を求めている企業が日本人学校から生徒を紹介してもらい、低賃金ブラック労働に押し込める。それは、官民一体と化した途上国の若者の搾取だったのである。

最初、ネパール人やベトナム人は憧れと夢を持って日本にやってくる。ハイテクの国、アニメの国、最先端の国である日本で勉強し、働けるなんてどれほど素晴らしい経験になるのだろうか、と思う。

そして、日本に関心を持ち、日本に憧れた若者が、借金をして無理して日本にやってくる。日本語をたくさん覚えて、日本で仕事をして、同じ日本人の若者と楽しく交流したいと思って「夢」を抱いてやってくる。

日本語学校を斡旋するブローカーも日本語学校も「良いこと」しか語らない。

それを信じて日本にやってきたら、日本語学校では何をするにも金を毟り取られ、斡旋された仕事も日本の最低賃金を無視したような低賃金3Kブラック労働だった。長時間の単純作業の中、気が付いたら自分が「搾取される最底辺の労働者」に陥れられたということに彼らは気づく。

ブローカーに騙されて来日して、徹底的に食い物にされる。彼らが夢を描いていた「日本」はそこにはない。

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共に相手を嫌いになる多文化共生は絶対に反対

甘い話に乗ったベトナム人やネパール人の若者に「騙されたお前たちが悪い」というのは簡単だが、私たち日本人は「今の日本社会が途上国の若者を搾取することによって成り立っている」ということにも気づく必要がある。

私たちの社会は今、東南アジアやインド圏の若者たちを過酷な運命に追いやってしまっているのだ。彼らが日本に絶望し、日本人を嫌うようになり、反日と化し、日本に復讐するために犯罪に手を染めるようになっていく「原因」の一端は私たちが作っている。

多くのベトナム人の若者が、絶望して犯罪に取り込まれている。

グローバル化や多文化共生だとかきれい事を言って、途上国の若者を搾取するような構造を一刻も早くやめないといけない。そうしないと、日本が好きだった東南アジアの若者はことごとく反日と化して、最後は日本のまわりは敵だらけになってしまうだろう。

かつて私はカンボジアでベトナム人の女性と関わり、私のことを好きになってもらったこともあった。今でも彼女の顔が懐かしく思い浮かぶ。

素朴で、底抜けに優しくて、明るくて、哀しい人だった。心が通じ合った。私はベトナム人を嫌いになることができない。まして、ベトナムの女性を嫌いになることなんてできない。

ベトナム人が日本で追い詰められている。ベトナムの女性も日本で追い込まれてしまっている。私の国、日本が彼らを搾取しているなんて悲しくてやり切れない。

こんなグローバル化、こんな多文化共生はとても私は許せない。日本で、彼らが不幸になって欲しくない。

日本が好きだった彼らが、日本で不幸になり、日本を憎み、日本で犯罪者になってしまうのも私は望んでいない。そして、彼らが犯罪者となっていく中で、日本人もまたベトナム人を嫌いになるような事態が起きてほしくない。

共に相手を嫌いになるような多文化共生など、私は絶対に反対だ。それは、あまりにも悲しすぎる現実だ。

今の日本社会は「隠れた移民政策」でどんどん不幸を生み出している。その構図に私たちは気づく必要がある。途上国の若者を搾取することによって成り立っているような、そんな国にしてはいけないのだ。

私たちの国、日本はどこの国の人々も搾取せず、私たち自身で問題を解決しなければ、どんどんまわりに不幸を生み出してしまう。

どうして日本はこんなことになってしまったのだろう……。

どうして私たちの国は、日本に憧れ、日本に夢を託してやってきた途上国の若者を、過酷な奴隷労働に追い込み、踏みにじり、それで何とも思わない国になってしまったのだろう。

私はとても悲しい。日本を愛してくれている東南アジアの若者が、日本に絶望し、日本を嫌いになっていく社会のあり方に、私自身も傷つき、そっと涙する。

『(売春地帯をさまよい歩いた日々)ブラックアジア・カンボジア編』

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