次の戦争は必ず起こる。そして戦争は、仕掛けられたら自動的に巻き込まれる

次の戦争は必ず起こる。そして戦争は、仕掛けられたら自動的に巻き込まれる

戦争は人類にとって非現実な出来事ではない。いつでも起こり得る出来事だ。中国が軍事大国化して戦争の準備をしているのであれば、日本も巻き込まれ、侵略戦争の舞台になってもおかしくない。日本人も「次の戦争」を意識しておく必要がある。起きないと思うのは間違いだ。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

それでも中国は軍事費を増額させてきている

日本人の中には「憲法第九条を守っていれば戦争は起きない」みたいな滑稽な平和主義を訴える人もいるくらい現実が見えていない人もいるし、「平和、平和」と言っていたら平和になると思っている子供みたいな人もいる。

一方、日本人がこのような空想みたいなことを唱えている間、中国は凄まじい勢いで軍事費を増やし、兵力を増強させている。

2020年5月22日。中国は全国人民代表大会で国防予算案を1兆2680億元(約20兆2881億円)を計上しているのだが、これは前年度比で6.6%も増額された数字で、日本の約4倍である。

2020年5月と言えば、コロナ禍で地獄のような有様になっており、中国の内需も世界経済もズタズタになっている最中(さなか)だった。それでも中国は軍事費を増額させてきているのだ。

実は中国の国防費は20年間で11倍にもなっており、軍事費を削減したことは一度もない。日本が「憲法第九条」だとか「平和」だとか能天気に言っている間に、中国は虎視眈々と軍事費を増強させてアメリカに次ぐ世界第二位の軍事国家の地位に成り上がっていたのである。

もちろん、核兵器も保有している。アメリカの国防総省は2020年9月1日に「中国が現在は200発超の核弾頭を保有し、今後10年間で少なくとも倍増させる見通しである」と述べている。

大陸間弾道ミサイル(ICBM)も、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)も、戦略核爆撃機も保有している。中国は、その気になったらいつでも東京や大阪や名古屋に核爆弾を落として日本を壊滅状態にすることができる。

そして、その大陸間弾道ミサイルは当然のことながらアメリカをも射程に入れている。2020年10月、中国の軍トップはいよいよ「能動的な戦争立案」に言及し、戦争の準備はいつでもできることを対外的にアピールした。東アジアは「次の戦争」の舞台になりそうだ。

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それは、人類最後の戦争だったわけではない

こうした中国の「軍事大国化」に対する日本人の反応は驚くほど鈍い。戦後75年。日本人にとって戦争はもう「自分たちの身近に起きるとは想像することすらもできない出来事」になっているのかもしれない。

しかし、中国が軍事大国化して戦争の準備をしているのであれば、日本も例外なく巻き込まれ、侵略戦争の舞台になってもおかしくない。日本人も「次の戦争」を意識しておく必要がある。

戦争は、人類にとって非現実な出来事ではない。いつでも起こり得る出来事だ。

1945年の敗戦を受けて、日本は75年に渡って戦争を回避し続けることに成功した。したがって、日本人にとって戦争とは単に第二次世界大戦のことを指す。

しかし、この戦争は日本人が関わった最後の戦争ではあるが、人類最後の戦争だったわけではない。人類最後どころか、第二次世界大戦が終わってもすぐに次の内戦や戦争が、世界のあちこちで起きていた。

朝鮮戦争、イスラエル・パレスチナ戦争、ベトナム戦争、カンボジア内戦、アフガン侵攻、ボスニア紛争、イラク戦争、チェチェン紛争、フォークランド紛争、アメリカのアフガニスタン侵攻、イラク侵攻、シリア内戦と、枚挙に暇がない。

そういった戦争の合間にアフリカでは民族大虐殺が次々と起きており、南米でもクーデターと内戦で戦火の嵐が吹き荒れていた。

たった75年で、日本人が関わらないところで戦争が世界のあちこちで勃発していたのだ。人類の歴史は血まみれであることを否定できる人はどこにもいない。私たちの生きている世界は大量虐殺に見舞われている。

戦争に巻き込まれない民族はどこにもない。

日本は75年間も戦争に巻き込まれなかったが、それは、たまたまこの間はアメリカの傘の中にあり、周辺国が脆弱であり、日本には経済成長が起きていたという三点がうまく絡み合ったからである。

現在、アメリカは東アジアに強い関心を失い、中国が軍事的に台頭し、日本の国力も1990年以後から下り坂になった。日本が戦争を回避できていた要素がことごとく消え去っている。日本も戦争に巻き込まれやすい状況になりつつあるのに、日本人の意識だけが変わっていないのだから、これは危険なことでもある。

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個人が放り込まれ、殺す側にも殺される側にもなる

戦争は巨大な暴力だ。戦争がいったん起きると、もう個人ではどのような手段を使っても回避できない。戦争の中に個人が放り込まれ、殺す側にも殺される側にもなる。いったん戦争が湧き上がると、もう巻き込まれるしかない。

戦争が起きたら、女性だから、高齢だから、子供だから、障害者だからと言って配慮されるわけではない。人権はない。保護もない。戦争という大量虐殺の世界では、誰もが等しく殺されていく。

現代は情報化時代なのだから、戦争に巻き込まれるとどのような地獄が生まれるのかは、インターネットでいくらでも映像を見ることができる。

第二次世界大戦やベトナム戦争のときの凄惨な戦闘と破壊と虐殺の場面も、その気になれば一日中見続けることができる。それほど圧倒的な量の映像が残されており、記録されている。

撃たれて死んでいく兵士。破壊された建物。死体の山。死んでいった子供たち、殺されていった老人たちの死体も、そこには冷徹に記録されている。

現在の日本の「団塊の世代」は1960年代後半から1970年代前半にかけて学生運動の渦に巻き込まれていたが、この学生運動の中心は「ベトナム戦争反対」のカウンター・カルチャーが生み出したものである。

当時、ベトナム戦争の悲惨な戦争の映像が大量に流されていたのだが、この映像こそがカウンター・カルチャーを支えていたもうひとつの柱でもあった。

戦争で疲労困憊する米兵の姿、撃たれて死んでいくベトコンの若者、ガソリンをかぶっての投身自殺で戦争に抗議する僧侶の姿、ナパーム弾を浴びて逃げる少女、路上で処刑されるベトコン……。

こういった映像は、今でもその多くを見ることができる。

戦争が人類にとっていかに破滅的なものであるかは、これらの映像を見ているとよく分かる。映像は現実を映している。次から次へと現れる死と暴力の映像は圧倒的だ。これが、今後も起こり得る可能性がある。

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戦争に至る芽が世界中にばらまかれている

今後、新しい戦争は「必ず」起きる。侵略国家である中国が軍事的に台頭していくのであれば日本も自主防衛を余儀なくされ、これからは否が応でも戦争に関わらなければならなくなる。

戦争という大量虐殺事件が今も世界のあちこちに起きていることの意味を、そろそろ日本人も本気で考えなければならない時代になっている。

距離的に言えば、24時間あれば現在起きているどこの戦場にも降り立つことができる。イラクでもアフリカでも、たった24時間で大量虐殺事件の現場に降り立つことができる。

先進国の人々は何気ない日常を送っているが、戦場は「すぐそこ」にある。グローバル化した世界は、ますます戦争を近いものにしているのだ。

コロナ禍で各国は経済的に行き詰まり、国民の困窮も広がっているのだが、こうした現象は国内外に大きなストレスを生み出し、それが紛争や戦争に発展する危険性はゼロではない。

現在はグローバル化しているのだから、局地戦争も全世界を巻き込んでしまう可能性もある。たとえば、南シナ海で中国とベトナム、あるいは中国と台湾などで戦争が起こると、日本も間違いなく巻き込まれる。

日本も尖閣諸島や沖縄問題で中国と対峙して中国の侵略を受けている。

そうであれば、中国と他国の戦争もそうだが、日本もまた尖閣諸島や沖縄を巡って中国と物理的な衝突も起きかねない。戦争は、こちらから仕掛けなくても、仕掛けられたら自動的に巻き込まれるからだ。

コロナ禍によるグローバル経済のダメージ、中国の侵略主義、アメリカの政治的混乱、国民の分断、国家間の緊張、途上国のデフォルト懸念、世界的な不況と治安の悪化、そしてあちこちで起きる暴動や環境破壊、増え続ける貧困層、逃れられない閉塞感……。

戦争に至る芽が世界中にばらまかれている。戦争は起こらなければそれが一番いいのだが、日本が平和を願っても、すべての国が平和を願っているわけではない。戦争は必ず起こる。

『孫子・戦略・クラウゼヴィッツ--その活用の方程式(守屋 淳)』

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