「安いものを食べる」という行為が、死ぬほど危険になった

「安いものを食べる」という行為が、死ぬほど危険になった

2014年は、日本ではマクドナルドのチキンナゲットに腐肉が混ぜられていたという事件から、異物混入の連続発覚で激震していた年だ。

ちょうど同じ頃、台湾でも食品偽造で国が激震していた。

台湾の食品・流通大手の「頂新国際集団」が、中国で問題になった「地溝油」や食料に適さない飼料用の油脂を、レストランや、学校や、食品工場に販売していたことが発覚していた。

中国圏で非常に人気のあるインスタントラーメン「康師傳(カンシーフー)」を展開している企業であると言えば、もしかしたらご存知の方もいるかもしれない。

地溝油とは、文字通り下水(地溝)をさらって集めた油を適当に精製したもので、廃油どころかゴミ油である。本当に、業者がマンホールの蓋を開けて、下水の底をさらって油を集める。それを再び「食用油」として売る。

こんなものが中国では普通に出回っているのだが、いよいよそれが台湾にまで販売されるようになった。しかも、それを台湾の大手食品会社が手がけていたのである。

「安いものを食べる」ということが危険になった

この地溝油を手がけていたのが「頂新国際集団」の子会社「正義」なのだが、そこには正義の欠片(かけら)もない。史上最悪の食品汚染が「正義」という不正義な企業から始まって、「頂新国際集団」もそれを知って販売していた。

日本でも食品偽装は数年前から顕在化して、それはとめどなく続いている。「安いものを食べる」のは、もうとんでもなく危険なことになってしまっているのである。

これは、台湾や中国や日本だけで起きているわけではない。もはや、食品偽装は全世界で共通の問題と化している。

ヨーロッパでは、2013年2月に起きた「馬肉」事件が有名だ。ビーフだとしてヨーロッパで流通していた肉を検査すると、それは馬肉だったのである。

これにイギリス人が激怒した。イギリス人は馬をとても大切な動物として扱っており、日本人が犬や猫を食べないのと同様にイギリス人も馬を食べない。

ところが、牛と偽って、流通している商品に馬肉が混じっていたのである。

いったいどこでどのように馬肉が混入したのかという調査になると、それがはっきりしない。

イギリスでは国内の食肉処理場を強制捜査を行って、すべての肉を押収したのだが、問題は国外から入ってきた肉の方にあったのだ。

食肉加工業者から消費者に届くまでの間に、多くの業者が複雑に入り組み、商品も国境を越えて売られていくから、一国の捜査権では限界がある。

中国圏では、インスタントラーメンが非常に好まれている。この中で、圧倒的な人気なのが「康師傳」だった。この事件から「康師傳」は急激に売上が悪化した。投資家もこれに激怒、「中国の食品会社の株は絶対に買うな」とまで言われるようになっている。

食品が、どこから来たのか誰にも分からない

食品が、どこから来たのか誰にも分からない。ヨーロッパ中のあちこちの肉が集積され、あちこちに流通していく。

その過程で、加工業者が牛肉だと思って仕入れた肉が、実は馬肉だったとしても、すでにそれが解体された肉のブロックになっていたら、判別することができない。

ユーロ全土にまたがる犯罪組織が、この問題の裏に暗躍しており、やがて真相は闇に消された。

ここに、現代のグローバル経済が抱える深刻な問題が隠されている。世界中の至る所で、ラベルとは違うものが混入されて売られることが、今や「常態化」してしまっているのである。

日本でも、激安の回転寿司ではネタが偽造のオンパレードであると言われており、それを告発するジャーナリストも多い。

ヒラメは実はアブラガレイ、アナゴはウミヘビ、カツオはアロツナス、サーモンはニジマス、タイはアメリカナマズ……。

これらは悪質なのだが、店側はまったく逮捕されることもなく、告発されてもまだ堂々と偽装が続いている。

偽装すればコストを下げられるので、他店よりも安く提供できる。安く提供できれば、消費者も喜んで文句は言わない。どのみち、食べて分かるものではないから、そういったところから少しずつ偽装されて、常態化されていく。

中国はまさにこの偽装食品作りの元凶になっている国で、フカヒレも、卵も、米も、肉も、牛乳も、ありとあらゆるものが偽装されて販売され、日本にも輸出されている。

偽造がビジネスになっているのである。

それがビジネスとして成立するのは、グローバル経済が「コスト削減」を追求するからだ。競争に勝つために、企業はありとあらゆるコスト削減を試みるようになっている。

製造地と消費地が違うのがグローバル経済の特徴だ

極度なコスト削減……。

それが人間に向くと極端な「賃金下げ」「リストラ」「派遣」「アウトソーシング」となっていく。それが商品に向かうと、「品質劣化」「素材偽装」になっていく。

製造地と消費地が違うのがグローバル経済の特徴だ。

流通が極限まで効率化されて発達していったので、流通業者は世界中を駆け回って、徹底的に安い商品を買い上げる。

自国で生産されたものを重視するのではなく、1円でも安いものを重視するのだ。逆に言えば、製造業者は中身や品質がどうであれ、とにかく1円でも安く提供できれば儲かる。

だから、中には偽装に走る製造業者が出て来るのだが、バレなければ、それが堂々と「世界中」に売れていく。

世界中の人々が安いものしか買わなくなるので、よけいに安いものが出回っていく。

なぜ、台湾で偽装油が流通したのか。なぜヨーロッパで馬肉が流通したのか。もちろん、偽装品の方が安かったから、コスト削減のためにそれは行われたのだ。

儲かれば何でもいいと言う企業と、安ければ何でもいいと言う消費者が出会うと、何が起きるのかという良い見本が、ここにある。

あなたが、食べているものは大丈夫だろうか? それは偽物の材料が使われた偽装食品かもしれない。そうだったとしても、あなたは分からない……。



地溝油。マンホールを開けて下水の底に溜まっている油を集めて、それを適当に精製し、また食用油として売る。台湾の大手食品会社がそれを、全国各地に流通させ、学校にも卸し、子供たちにも食べさせていた。

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