世の中は予測ができないことがしばしば起きて成功していた人をも破綻させる

世の中は予測ができないことがしばしば起きて成功していた人をも破綻させる

何をどうしても正確に見通せないという現実がある以上、それを求めるのは単なる「ないものねだり」であり、意味がないことなのである。だとすれば、私たちが本当に求めなければならない能力とは何だろうか。私たちに必要となるのは「想定外が起きても人生が終わりにならないための対策」と「態勢を立て直す能力」の2点だ。(鈴木傾城)

2020年。「まったく先が読めない」時代に入った

この数ヶ月で世界は変わった。私たちはもう「平常時」で生きていない。中国発コロナウイルスで自分や家族や友人や知り合いの健康が脅かされるような社会になっているのと当時に、経済的にもどうなるのか分からない時代に入った。

今、私たちは「コロナで死ぬか、経済で死ぬか」の二者択一に追い込まれている。

各国政府は国民に自粛するように言っており、国民はそれを守っている。しかし、自粛が長引けば長引くほど企業は売上減に見舞われていく。企業規模の大小を問わず、すべての企業は「まったく先が読めない」時代に入った。

そして、私たち個人もまた自分の人生が読めなくなっていく。

会社が倒産してしまった人もいる。失業する人もいる。給料が減る人もいる。家賃や住宅ローンや借金が払えなくなりそうな人もいる。たった2ヶ月でこんなことになるとは誰も想像していなかったはずだ。

当然だが、これから何が起こるのかも私たちはまだ知らない。経済は力強く改善できるのか。それとも今よりも衝撃的な事件が起こり得るのか。

流れを読んで、「だいたい、こうなる」というのは推測することはできても、世の中はまったく何も決まっていないのだから、不意に何かが起きるとすぐに予測は外れていく。

世の中が読めないというのは当たり前のことなのだ。将来は何も決まっていない。どれだけ有能で、どれだけ将来を見通す能力があっても、どれだけ実務能力があっても、世の中は思う通りにはならない。

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何をどうしても正確に見通せないという現実がある

世の中が見通せず、大混乱に巻き込まれるのは誰でも同じだ。世界に君臨する国家アメリカのドナルド・トランプ大統領ですらも、何も見通すことができずに満身創痍である。

強大な大国や超効率的な企業では、ずば抜けて優秀なブレーンが「世の中はこのようになる」と見通して予測データを出すが、大抵はそのようにならない。

当たり前だが、2020年1月の段階で「グローバル経済はズタズタになって世界は都市封鎖する」などと言っていた人はただのひとりもいない。どんな優秀なブレーンでも、そんなことは分からなかったのだ。

予測に基づいて何かを計画しても、妥協を余儀なくされ、末節の部分の一部は挫折し、一部は延期され、「こうしたい」という計画は最初とまったく違う形になってしまう。

確かに事業計画にも組織運営にも投資にも予測は必要だ。しかし、今の悲惨な状況を見ても分かる通り、当初の予測を過信するのはあまりにも無謀なのだ。緻密な予測に基づいて動いても、予測を覆す出来事が次々と起きるからだ。

そうであれば、重要なのは「世の中を見通す能力」ではないことに気が付かなければならない。そんな能力は誰も持っていないし、どんな努力しても身につかない。

世の中で起きていることを分析して予測を立てることはできる。莫大なデータを解釈して「こうなるかもしれない」と考えることができる。しかし「絶対」にその通りにはならない。

毎日のように何らかの予測不能の突発事項が発生し、それによって世の中はどうでも変わるし何でも起きる。だから私たちが求めなければならないのは、間違えても「世の中を見通す能力」ではない。

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現実を見る人間が最も必要としているのは何か?

何をどうしても正確に見通せないという現実がある以上、それを求めるのは単なる「ないものねだり」であり、意味がないことなのである。だとすれば、私たちが本当に求めなければならない能力とは何だろうか。

私たちに必要となるのは「想定外が起きても人生が終わりにならないための対策」と「態勢を立て直す能力」の2点だ。

不測の事態は必ず起きる。だから、不測の事態が起きることを想定して、万一の出来事でも自分が終わりにならないようにしておかなければならない。

しかし、それだけでは足りない。不測の事態に備えて何らかの準備をすることもできるが、世の中はその準備すらも上回る事件がしばしば起きるからだ。今の世の中を見ても分かる通り、対策を上回る想定外は突如としてやってくる。

だから想定外に備えるための対策と共に、想定以上のことが起きても「そこから事態を立て直す能力」も必要になって来る。

想定外から事態を立て直す能力というのは、不意打ちを食らった瞬間であっても冷静に自分の身に起きていることを客観的に見つめて、その時点でベストの選択ができる能力だ。

予測できない打撃を食らうと、その瞬間に今までの順風が吹き飛んでしまう。打撃が大きいと、今まで持っていた楽観も予定も計画も何もかもが吹き飛んでしまう。それこそ、最も幸せな瞬間は一瞬にして崩れる。

世の中が予期できないということは、誰もがこの「打撃」を味わうということである。どんな有能な人間であっても、どんなに慎重な人間であっても、長い人生の中で不意の打撃を一度も受けないでやり過ごすことなどできない。

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失ったものを数えるのではなく、残ったものを拾う

もちろん先を見通す能力を磨くのは無駄ではないし、ある程度の予測能力があっても邪魔にはならない。

平常な時期には、ある程度の予測がきちんと立てられる人の方が成功する。無計画な人よりも計画的な人の方が常に優秀であり、結果を出すことができる。しかし、予測を過信するとワナに落ちる。

予測はその正確さを100%担保することができない。往々にして外れ、曲がり、想定外に見舞われる。どんなに過去を研究し、膨大なデータを読み取り、緻密な計算をしても正確さは100%にならない。

だから「想定外が起きても終わりにならないための対策」が重要になる。

私は1990年代に大事な人が「バブル崩壊」という巨大な想定外に巻き込まれて、大きな資産も家も健康も自尊心もすべて失ってしまった人を目の前で見てきた。悪化していく経済情勢の中で追い込まれていく人の精神状態をつぶさに観察した。

その時、まだ若かった私は「世の中は予測ができないことがしばしば起きて成功していた人をも破綻させるのだ」と否応なしに知ることになった。私が経済的には非常に慎重で保守的な立場を取って生きるようになったのはそれが理由だ。

事業家やビジネスマンは借金を「資産のうち」として果敢に使うが、私は事業のための借金も、住宅ローンも、その他の分割払いも一切しない。投資にも信用やレバレッジを絶対にかけずに現物で保有する。

だから、私はすでに極度のリセッション(景気後退)がやってきても生き残れる態勢になっており、今の状況が1年以上続いても破綻の心配はまったくない。

中国発コロナウイルスによって、世の中がこんなに悲惨な状態になるとは想像だにしなかったが、それでも「想定外が起きても終わりにならないための対策」を日頃からしていたので、それが私の身を助けてくれることになる。

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世の中がもっと悪くなる準備はできているだろうか?

しかし、世の中は私の想定を超えてもっと悪くなるかもしれない。保守的な経済観念を持った私ですらも破綻するほど凄まじい経済破壊がくるかもしれない。

1930年代の世界大恐慌の時代、世界中の人が想像を超える経済崩壊で無一文になった上に第二次世界大戦にも巻き込まれた。超弩級の悪いことが次々に起きたのが1930年代だった。

世の中が平時に戻るのは1945年なので、この当時の人は15年間も非常事態に苦しんだということだ。今回もそうなれば、いくら経済的に保守的なアプローチを取っている私と言えども無事ではいられなくなるだろう。

そうなったのであれば不遇を臥薪嘗胆で生き残り、世の中が落ち着いたら「態勢を立て直す能力」が必要不可欠となる。予想通りにならずに窮地に落ちる局面は必ず人生にある。だから、いったんは泥にまみれても、したたかに立ち上がる「能力」が必要になってくる。

受けたダメージを客観的に見つめて、そこからいかに回復していけるか。失ったものを数えるのではなく、残ったものを拾っていかに立ち直るのか……。そこに焦点が当たっていると、どん底から立ち直るきっかけをつかみやすい。

「態勢を立て直す能力」を磨くというのは、何が起きるのか分からない世の中で、自分なりにサバイバルできるようにするということでもある。受けた打撃から回復する能力は、すべての人間に重要なものである。

中国発コロナウイルスで世の中がズタズタになってきている今こそ、この受けた打撃から回復する能力が自分にあるのかを見直す必要がある。何が起こるのか分からない。

世の中がもっと悪くなる準備はできているだろうか?

『怖くて眠れなくなる感染症(岡田 晴恵)』

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