社会の混乱。今は行動的になるのではなく、防御を固めなければならない局面

社会の混乱。今は行動的になるのではなく、防御を固めなければならない局面

2020年4月7日に緊急事態宣言が表出されたが、これによって多くの業種の売上はより減っていき、経済悪化の負のスパイラルは止まらなくなるだろう。多くの人は真面目に働いている。普通に生活して、失職しない限り何とか乗り切れる。しかし、不意打ちに職を失ったらどうなるのか。そして、それが長期に及んだらどうなるのか。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

何が起きるのか分からないような事態になっている

ひとたび悪いことが起きると、それは連続して続くことが多い。誰もが日常を通して経験することだ。悪いことは次から次へと新しい問題を引き起こし、坂道を転がり落ちるように続いていく。

新型コロナウイルスが全世界に蔓延して社会情勢はたった2ヶ月で想像できないほど悪化してしまっている。

「弱り目に祟り目」「泣きっ面に蜂」「負のスパイラル」などは、すべて困っているところに、さらに困ったことが重なるという事態を端的に示すが、新型コロナウイルスで悪化する情勢は、まさにこうした格言通りの推移を辿っている。

なぜ、そうなるのか。

問題は常に新たな問題を生み出し、その問題もまた違う別の問題を引き起こし、それが同時並行に起こると収拾がつかなくなるからだ。

新型コロナウイルスはウイルスが引き起こしている混乱にしても、感染だけが問題ではなく、医療崩壊や、サプライチェーンの寸断や、企業の売上減少や、金融市場の崩壊や、失業などの問題が日替わりのように発生している。

日本では2020年4月7日に緊急事態宣言が表出されたが、これによって多くの業種の売上はより減っていき、経済悪化の負のスパイラルは止まらなくなるだろう。

多くの人は真面目に働いている。普通に生活して失職しない限り何とか乗り切れる。しかし、不意打ちに職を失ったらどうなるのか。そして、それが長期に及んだらどうなるのか。

新型コロナウイルスによって会社がダメージを受けている中、「もしかしたらクビを切られるのでは?」「もしかしたら給料が下がるのでは?」と思っている人は多いに違いない。

普通の人はあまり考えないようにしているのだが、「不意に働けなくなる」というのは実はそれほど珍しいことではない。今、何が起きるのか分からないような事態になっているのは、誰もが感じているはずだ。

ブラックアジアでは有料会員を募集しています。よりディープな世界へお越し下さい。

不意に働けなる事態は突如として襲いかかってくる

新型コロナウイルスによる経済の大ダメージは、全世界のすべての人にとっては「想定外」であったはずだ。

しかし、長く生きていると分かるのだが、こうした「想定外」は必ずやってくるものである。想定外なのだから避けることはできない。突如として巻き込まれ、今までの安定が一気に失われる。

「予期せぬ事態」を回避できる人はいない。新型コロナウイルスの問題だけでなく、いろんな理由で「不意に働けなくなる」というのは、誰もが自分の長い人生のどこかで必ず経験することなのだ。

問題は、ダメージを受けた後にすぐに態勢を立て直して、やり直しが効くかどうかである。新型コロナウイルスの問題は、いつ経済が回復するのかは誰にも分からない。状況が悪化すれば、もはや自分の力では到底リカバリーできないこともあり得る。

様々な理由で働けない状況が長引けばどうなるのか。

どこまでその苦境に耐えられるのかは貯金がどれくらいあるかで決まってくるのだが、莫大な貯金がある人でもない限り、遅かれ早かれ地獄がやってくる。

たとえば、貯金300万円、給料30万円の人がいたとする。この人が失職すると、もちろん貯金を食いつぶして生きていくことになるのだが、その貯金はいつものように月30万円で生活していると10ヶ月で消えていく。

そして、どうなるのか。11ヶ月目から、「弱り目に祟り目」「泣きっ面に蜂」「負のスパイラル」のすべてが襲いかかってくるのである。節約して生活したとしても、収入がない以上は11ヶ月目の破綻が若干伸びただけで結論は変わらない。

1999年のカンボジアの売春地帯では何があったのか。実話を元に組み立てた小説、電子書籍『スワイパー1999』はこちらから

次々と問題が発生して下に下に突き落とされていく

貯金がゼロになってもまだ仕事が見付からなかった場合、この人は無一文になった上に、電気・ガス・水道・電話代・食事代・家賃のすべてが払えなくなってしまう。

友人に借り、親に借り、消費者金融に借り、何とか家賃だけを確保しても、電気もガスも水道代も電話代も食事代も出ないのだから、どれかを削らなければならない。

電話代を削ったら、就職活動に支障をきたす。食事代を削ったら就職活動をする体力もなくなる。光熱費を削ったら生活全般に支障をきたす。

しかし、何かを削らなければならないので、恐らく食費が削られる。食事が満足にできなくなると、自分が本来持っている能力が落ちるだけでなく、注意力も散漫になり、病気や怪我をしやすくなる。

何とか仕事を確保しなければならないが、追い詰められた時に就職活動をすると、給料や待遇でかなりの譲歩を迫られることになる。待遇が悪かろうと、給料が安かろうと、背に腹はかえられないのだ。

すると、前職まで月30万円だったのに、月15万円の給料で妥協したりすることになる。

月15万円でも確かに収入ゼロよりはマシだが、それでも今までよりも50%も貧しくなってしまったわけである。それでは月30万円のレベルを維持できない。

たとえば、家賃が10万円だったところに住んでいた場合、給料が15万円になった瞬間、そこに暮らし続けるというのは無理が生じてしまう。

それでも仕事が見付かればまだ幸せだ。仕事が見付からなければどうなるのか。場合によっては路頭に迷う。ホームレスになって、さらなる「負のスパイラル」に巻き込まれる。

いったん何かがうまくいかなくなると、今までのレベルを維持することができなくなって、次々と問題が発生して下に下に突き落とされていくのである。

地獄のようなインド売春地帯を描写した小説『コルカタ売春地帯』はこちらから

今は防御を固めなければならない局面である

自分が苦境に堕ちたら、「政府が助けてくれる」とか「行政が何とかしてくれる」とか楽観的に思ったらいけない。政府や行政の能力は徐々に、そして確実に低下しているからだ。

自分が苦境に堕ちたら、自分の勤めている会社が助けてくれると思ってもいけない。企業は売上と利益が確保できなければ、従業員を守る能力はない。いくら従業員を家族のように思っている経営者であっても、会社の経営が立ちゆかなくなれば従業員を捨てざるを得ない。

では家族は何かしてくれるのだろうか。いや、新型コロナウイルスの状況を見ても分かる通り、社会がどんどん悪化したら家族でさえも一緒に苦境に堕ちる。互いに何とかしたいと思っても何ともできないのが今の状況である。

社会全体が苦境に堕ちてしまう時、結局は誰も頼りにならなくなってしまうのだ。

新型コロナウイルスは、ワクチンが開発されたら急速に収束するものだ。しかし、それは今日や明日の出来事ではない。いつか収束するというのは分かっているのだが、それまでは経済は負のスパイラルを落ちていくというのも分かっている。

だから、私たちは、その状況を「どのようにサバイバルするか」が問われている。結局のところ、私たちにできるのは収入が途絶えないように努力しつつ、生活を思い切ってダウングレードすること以外にあり得ない。

今は行動的になる局面ではなく、防御を固めなければならない局面である。

下手な決断をして自分が窮地に落ちても誰も助けてくれない。誰もが自分のことに精一杯になっているのだから、慎重に生きる必要がある。もはや2019年までの楽観的な局面は消え去っているのだ。

もし私たちの社会が経済の悪化を止められないのであれば、自殺に追い込まれる人たちもかなり増えるのではないかと私は思っている。

『ペスト(カミュ)』

ブラックアジア会員登録はこちら

CTA-IMAGE ブラックアジアでは有料会員を募集しています。表記事を読んで関心を持たれた方は、よりディープな世界へお越し下さい。膨大な過去記事、新着記事がすべて読めます。売春、暴力、殺人、狂気。決して表に出てこない社会の強烈なアンダーグラウンドがあります。

経済カテゴリの最新記事