糖尿病などの基礎疾患を持っている人は、生き残れるか死ぬかの瀬戸際だと思え

糖尿病などの基礎疾患を持っている人は、生き残れるか死ぬかの瀬戸際だと思え

「高血圧・糖尿病・心臓病・腎臓病」などで病気を抱えている人が新型コロナウイルスによって生命の危機に陥ることが明らかになってきた。意外なことに、肺疾患の患者よりも、糖尿病の患者の方が、新型コロナウイルスで命を落としている比率が高い。つまり、新型コロナウイルスは糖尿病患者が最も危険なのである。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

新型コロナウイルスは、糖尿病患者が最も危険

日本の各都市圏で新型コロナウイルスの爆発的感染が起きた場合、高齢者や基礎疾患を持った人たちが重篤になっていく。ところで「基礎疾患」というのは具体的に何を指すのだろうか。

厚生労働省は「心臓、肺、腎臓に持病のある方、糖尿病の方、癌などで免疫の低下した方」等の説明している。

中国からの報告では、「集中治療室での対応を要した重症患者は、高血圧、糖尿病、心疾患を持っていた人が70%以上を占めた」とある。

アメリカ南部のルイジアナ州では新型コロナウイルスによる死者が130人に上っているのだが、ここでは死亡した患者の95%は「糖尿病、慢性腎臓病、肺疾患」の基礎疾患があった。

まとめると、「高血圧・糖尿病・心臓病・腎臓病」などで病気を抱えている人が新型コロナウイルスによって生命の危機に陥ることが明らかになってきた。意外なことに、肺疾患の患者よりも、糖尿病の患者の方が、新型コロナウイルスで命を落としている比率が高い。

つまり、新型コロナウイルスは糖尿病患者が最も危険なのである。ところで、日本には糖尿病患者がどれくらい存在するのだろうか。

約720万人である。

「糖尿病が強く疑われる人」を含めると1000万人近い患者がいる。ということは、新型コロナウイルスがもし日本で爆発的に流行すると、この720万人から1000万人の人が生命の危機に直結するということになる。

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日本国内で感染爆発が起きたら地獄絵図になる理由

糖尿病の患者は50代を過ぎたあたりから増えていく。糖尿病は60代以上の高齢者が圧倒的多数を占めている。

高齢層が新型コロナウイルスにかかって急激に重篤化するのは、高齢化して基礎体力がないという側面の他に「糖尿病のような基礎疾患を持っている」ということも要因として挙げられるだろう。

新型コロナウイルスはまだ特効薬が開発されていないのだ。だから、医師は病気を治すことはできない。ただ、患者の体力を維持させて自然治癒ができるようにするだけしかない。

しかし、糖尿病などの基礎疾患があると自然治癒よりも悪化するスピードが勝っているので、どうしても死亡率が高まってしまうのである。

もっと悪いことがある。特別な感染症病床は限られているので、もし新型コロナウイルスの患者が爆発的に増えると一気に医療崩壊を起こしてしまうのだ。感染症病床は、すでに3月31日現在時点で44.9%の使用率となっている。

危険なのは「大阪」「神奈川県」「千葉県」である。病床数よりも患者数の方が圧倒的に多くなってしまっており、エリア的な医療崩壊が起きつつあるからだ。

東京も感染者が毎日数十名単位で増えているのだから、今のままでいくと1週間も経たずして病床数が足りなくなる可能性も出てきている。

最初に糖尿病患者は「720万人いる」と書いた。新型コロナウイルスが爆発的流行すると彼らは次々と重篤化していくのだが、臨床工学技士は全国で1万4378人しかおらず、人工呼吸器は2万8197台しかなく、ECMO(体外式膜型人工肺)は1412台しかない。(一般社団法人 日本呼吸療法医学会 公益社団法人 日本臨床工学技士会 2020年2月回答)

重篤化する確率が高い患者:720万人。
人工呼吸器:2万8197台。
ECMO(体外式膜型人工肺):1412台。

もし日本国内で感染爆発が起きたら、10分の1の糖尿病患者が感染しただけでも地獄絵図になるというのが数字的に見えてくるのではないだろうか。

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医療崩壊が起きている現場で重篤者は後回しになる

新型コロナウイルスの爆発的流行に陥ったイタリアやスペインでは死者は1万人を超えており、現在も毎日1000人が死んでいくような悲惨な状況になっている。死亡率は10%近い。

これは、新型コロナウイルスの致死率が高くなったのではなく、医療崩壊が起きて重症患者が適切な治療を受けられなかった結果でもある。

アメリカでも新型コロナウイルスはアウトブレイクを引き起こしているのだが、特にひどいのがニューヨーク州だ。感染者は約6万人、死亡者は約1000人。この数字は毎日刻々と増えていくのだが、特に死者数はあと数日で急激に上昇するのではないかと現場の医師は報告している。

なぜか。

すでにベッド数の確保ができなくなっており、医師も看護師も足りず、人工呼吸器も不足しており、ほぼ医療崩壊前夜の様相になっているからだ。医療崩壊すると、「助からないと思われる患者」の治療は必然的に後回しにされる。

助からない患者に手をかけていると、助かる患者が重篤化してしまうので、助かりそうな患者を先に助けるという合理的判断がそこに働くからだ。医療崩壊が起きている現場では、すでにそうなっているのである。

今、日本で最も危険なのは東京だ。

東京都では一日の感染者が急激に増えている。クラスターが突き止められている場所もあるが、「どこで感染したのか分からない」という市中感染も増えている。突き止められない市中感染は、無数の発生源と化して感染者を増やし続ける。

もし東京都で市中感染が止まらなかった場合、残念ながら「爆発的流行」が起きることになる。東京都の小池知事は「そうなるかならないかのギリギリ」であるとの認識を示している。

医師の中には「もはや爆発的流行は止められない」と所見を述べる人もいる。

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悪夢のような世界に突入している可能性も十分にある

ブラックアジアの読者の中に、「高血圧・糖尿病・心臓病・腎臓病」などの病気を抱えている人はいるだろうか。もし、いたら最大限に警戒し、細心の注意を払って日常を送って欲しい。

基礎疾患を持った人間が歓楽街をウロウロするなど論外であり、風俗のような場所に近づくのも自殺行為であると思った方がいい。

折しも3月30日、東京都の小池知事は「バーやナイトクラブ(キャバクラ、ラウンジ、ガールズバー、スナック、ダンスクラブ等)、飲み屋、カラオケ、接待に伴う飲食店での感染事例が多数報告されている」と話している。

そこには「ホストクラブ」や「風俗」が含まれていなかったが、感染経路不明という中にこれらが含まれるか、これから含まれてくるのは「ほぼ確実」になっている。

アンダーグラウンドではすでに不穏な噂も流れているし、すでに風俗での感染が起きているのではないかとも推測する関係者もいる。

しかし、風俗嬢も客も絶対に「風俗経由で感染した」と言わないので、この感染ルートは追うのはかなり難しいはずだ。

何はともあれ、感染爆発で首都封鎖のような事態になったら、基礎疾患を持っている人、特に糖尿病か糖尿病の疑いを持った人は生き残れるかどうかの瀬戸際になったというくらい強い危機意識を持たないといけない。

もし日本で医療崩壊が起きるような事態になると、「病院に行っても追い返されるか、何の治療も受けられないまま重症化する」のだ。場合によっては、1ヶ月後には、日本も悪夢のような世界に突入している可能性も十分にある。

効果的なワクチンが開発されるのは早くても2021年になる。そうであれば、今の私たちにできる最大の自衛は「家に籠もること」しかない。基礎疾患を持った人は、「生き残れるか死ぬかの瀬戸際だ」という意識が持てるかどうかが生命を分けると言っても過言ではない。

『呼吸器内科医が解説! 新型コロナウイルス感染症 — COVID-19 —(粟野 暢康)』

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