東京は閉鎖されてしまうか? 2020年は極度に不安定で危険な世界になるだろう

東京は閉鎖されてしまうか? 2020年は極度に不安定で危険な世界になるだろう

東京都の小池知事は「首都閉鎖もあり得る」と言っているのだが、確かに「あったとしてもおかしくない」というレベルにまで来ている。そもそも東京都の知事が、まだ危機が起きていない今の段階で首都封鎖を口にしたのは、なぜなのだろうか。もしかしたら、私たちがまだ接していない一次情報を知事は持っているのかもしれない。そして、その情報から見ると、実はかなり首都封鎖の危険性があると知事は判断したのかもしれない。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

今回ばかりは日用品や食料を備蓄しようと考えている

今、私たちが放り込まれているのは前例のない事態である。何しろ「ヒト・モノ・カネ」の自由化というグローバル化の根幹に関わる部分が新型コロナウイルスの蔓延によって寸断されており、正しく機能しなくなった社会と化しているからだ。

私は今まで備蓄をまったくしたことがなかったのだが、4月に入っても状況が悪化していくのであれば、今回ばかりは日用品や食料を備蓄していこうと考えている。

なぜか。もしかしたら「次の危機」があってもおかしくないと思うからだ。

今のところ食料・日用品の不足は起こっていない。供給は潤沢にある。政府も、コメやカップ麺、冷凍食品などは現在、通常通りの生産・供給を行っていて製品在庫も十分にあると喧伝しており、国民にパニックを起こさないように啓蒙している。

しかし、トイレットペーパーやマスクがいまだに品薄で手に入らないのを見ても分かる通り、いくら供給が潤沢にあると言われても人々がパニックになったら、商品は一瞬にして消えてなくなる。そして手に入らなくなる。

食料・日用品に関してパニックは起こり得るか?

2020年3月22日。東京都の小池知事は「今後、都内で大規模な感染拡大が認められた際、東京都をロックダウン(首都封鎖)する事態をも起こり得る」という主旨のことを話しているのだが、こうしたことが実際に起きたら人々はいとも簡単にパニックを引き起こすことになる。

首都封鎖とは前代未聞の出来事だ。

しかし国外を見ると、すでにイタリアもフランスもスペインもそれぞれの都市を封鎖しているし、東南アジアを見るとフィリピンがマニラを、タイがバンコクをシャットダウンするという事態も起きている。

日本人は事実上タイに入国できない状態になっており、バンコクは「鎖国状態」である。歓楽街が閉鎖される云々ではなく、首都が閉鎖されるという異常事態が「今」起きているのである。

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「首都閉鎖もあり得る」と言っている都知事の真意は?

私は東京の閉鎖が本当に起こると言っているわけではない。巨大な感染地帯である中国や韓国が近いことを考えると、日本ではもっと感染が広がってもおかしくないのに、今のところはうまく制御できている。

これは、もともと日本人が手洗いやマスクをきちんとする民度の高い国民性を保っているからだ。

確かに感染が分かっていながらフィリピンパブに行って女性に感染させるような男や、わざわざこの時期に10ヵ国を巡ってコロナに感染して戻って来るような女性もいるのだから、全員が民度が高いと言えば嘘になる。

しかし、国民の大半は良識を持っているので「他の国に比較したら」かなり民度が高いというのは確かだ。

このような民度の高さを保っているのであれば、意外にギリギリのところで感染爆発が起きないようにも思える。このまま何も起きない方がいい。

しかし、院内感染や市中感染が広がると、さすがに日本人の民度を超える部分で状況が悪化したとしても、それはそれで不思議ではない。つまり、回避できるかできないかは「運次第」であるというのが私の見方だ。

東京都の小池知事は「首都閉鎖もあり得る」と言っているのだが、確かに「あったとしてもおかしくない」というレベルにまで来ている。

そもそも東京都の知事が、まだ危機が起きていない今の段階で首都封鎖を口にしたのは、なぜなのだろうか。

もしかしたら、私たちがまだ接していない一次情報を知事は持っているのかもしれない。そして、その情報から見ると、実はかなり首都封鎖の危険性があると知事は判断したのかもしれない。

そこで、前もって「そういうこともあり得る」と口にして、実際にそうなった時のパニックを封じ込めておこうとしたのかもしれない。

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パニックが起きるのは別に「想定外」ではない

首都閉鎖は、もはや政府が「経済的損失よりもコロナ封じ込めの方が重要」という意思表示をしたことを意味する。状況がそこまで悪化するのであれば、国民は動揺しない方がおかしい。

都知事が実際に首都閉鎖を宣言した時、どうなるのか。

東京都の人口は約927万人なのだが、この人口がすべて不安に駆られるとマスクやトイレットペーパー騒動を見ても分かる通り、人々は必ず「買い占め」という行動に走ることになるはずだ。

新型コロナウイルスの問題では、すでにグローバル化が寸断されて、あらゆる商品のサプライチェーンがズタズタになってしまっている。当然のことながら、供給も寸断されやすい状況になっている。

そこに「買い占め」を誘発する言葉が発せられる。

そうであれば、パニックが起きるのは別に「想定外」ではない。パニックによって、予期しないモノが不足する可能性があるし、閉鎖による物流の停止によってモノが不足する可能性もある。

いろんな悪影響が積み重なって、最終的には極度のモノ不足が発生すると考えても何ら不思議なことではない。

各国の政府が新型コロナウイルスによる「非常事態宣言」や「首都封鎖」を発表した時、すべての国で人々がスーパーに直行してあらゆる商品をパニック買いしているのを私たちは見ている。

イギリスに至っては、まだ「ロンドン封鎖」が宣言されていないにも関わらず、「もしかしたら首都閉鎖になるのかもしれない」という噂と憶測だけで、市民はスーパーに殺到してすべての商品棚が空っぽになるという事態が起きた。

噂と憶測だけでこうなるのである。これは3月21日。たった3日前の出来事だ。

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2020年は極度に不安定で危険な世界になる

別にマスクがなかろうがトイレットペーパーが消えようが、そんなものは何か考えれば代用品くらいは見つかるだろう。つまり、大して重要な動きではない。

しかし、首都に住んでいる人間、都会に住んでいる人間にとっては、すべてのスーパーやコンビニや食料品売り場から食料や日用品が消えてしまうというのは大きな打撃になってしまう。

供給不足と、物流の停止と、買い占めの3つが重なったら、かなり深刻な結果になるのではないか。マスク不足がいつまで経っても解消できないのを見ても分かる通り、場合によってはモノ不足が長期化するのではないか。

そうなると、すべての日用品や食料は手に入らないか、ひどく高額になって、私たちは大きな生活にダメージを受けるのではないか。

都知事は「首都閉鎖もあり得る」とわざわざ言っているのだから、悪条件が重なればそういうこともあり得ると私はぼんやりと考えている。

私自身は別に「絶対に日用品や食料品が消える」とは思っていないのだが、万一そうなったら日常が面倒くさくなりそうなので、今のうちに少し備蓄できるモノに関しては二週間くらいは置いておこうと思っている。

つまり、最悪の事態がきたら二週間くらいは住処(すみか)に籠もって生きていけるくらいの日用品・食料品くらいは置いておこうと思っている。

NY株式市場は、2月19日の高値からすでにマイナス30%以上の下落となっており、世界はリセッション(景気後退)を避けられなくなった。場合によってはリーマンショック以上の深刻なリセッションとなるかもしれない。

そうであれば「首都閉鎖」以外にも、破滅的な何かが急に起きても不思議ではない。2020年は極度に不安定で危険な世界になるだろう。二週間くらいの食料・日用品の備蓄はやっておいても損はないと私は思うようになっている。

『新型肺炎 感染爆発と中国の真実 中国五千年の疫病史が物語るパンデミック(黄文雄)』

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