高峰秀子の映画に『カルメン故郷に帰る』という映画がある。
1951年の映画なのだが、この映画は日本で初めての総天然色、すなわち「カラー」で撮られた映画で、今観てもその映画に映る軽井沢の風景の美しさに見とれるほどだ。
ところで、この映画が制作された1951年というのは、昭和26年であり、まだまだ昭和20年の敗戦の空気が残っていた時代でもある。しかし、この映画はコメディであり、映画にはそうした暗さは微塵も描かれていない。
この映画の5年後に作られた『赤線地帯』の方が、よほど戦後を感じるほどだ。(ブラックアジア:映画『赤線地帯』に見る、1950年代の日本の裏社会の出来事)
この映画の主人公は家出して東京に出て、「リリィ・カルメン」という名前のストリッパーになっていた女性なのだが、この時期の日本に「ストリップ」というものがあったのだろうか。
あったのだ。