私の知り合った女性の多くは「貯金」を持っていなかったがゆえに闇に堕ちた

私の知り合った女性の多くは「貯金」を持っていなかったがゆえに闇に堕ちた

日本は、かつては終身雇用が保障されていた時代だった。極端な話、日本人は会社に勤めてさえいれば、貯金がなくても何とかなった。貯金がないまま定年退職を迎えても、今度は年金で何とかなった。しかし、今はそのどちらも消え去った。その上、場合によっては明日リストラされるかもしれないし、明日会社がつぶれてなくなるかもしれない。そんな時代だ。そうであるならば、すべての日本人、とりわけ女性が今すぐにしなければならないことは決まっている。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

毎日ギリギリの生活をしている

今ある収入が途絶えて、明日から1円も入ってこない状態になったとき、あなたは何ヶ月しのぐことができるだろうか。

1年間くらいは問題ないと言える人は幸運だが、今では日本でもそんな余裕のある人は少ないかもしれない。何しろ国民の半分は貯金が100万円未満なので、都会に住んでいたとしたら3ヶ月か4ヶ月しのげれば上出来かもしれない。

中には1ヶ月持たないどころか、1週間ですらも危ういという人もいる。多額の借金を抱えていたり出費が多かったりすると、収入が途絶えて1週間でもうお手上げになる。いや、貯金がまったくなければ、1週間どころか1日でもうお手上げになる人すらも大勢いる。

貯金というセーフティーネットがないのだから、翌日には路頭に迷うのは必然なのである。

とは言っても、貯金をするというのは持たざる者にとってはどんなに大変なものかは、私もよく知っている。私は東南アジアで「何も持たない女たち」と、ずっと関わっていたからだ。

東南アジアのセックス産業に堕ちていく女性たちには、共通して欠けているものが1つあった。それは貯金である。

日本ではクレジットカードを持たないという女性はたくさんいるが、東南アジアの貧しい女性は、生まれてこの方、クレジットカードどころか銀行通帳すらも作ったことがないという女性もいる。あまりにも貧困過ぎて、生まれながらにして銀行と接点がない。

さらに、そういった女性はどんなに稼いでも自分の家族のためにすべて使ってしまうので、貯金をして備えるという発想すらも「ない」に等しく、毎日ギリギリの生活をしている。

失業率の高い国では家族の誰もが稼いだカネを失業している家族のために使う。失業は何年も続く場合もある。さらに貧困家庭の多くは借金をするのも常態化している。そのため、どんなに働いても貧困から抜け出すのは難しい。

フィリピンの貧困女性にそうした傾向は強いが、フィリピンだけではない。東南アジアの女性たちは国を問わず、そうした傾向がある。シングルマザーにもなると、もはや絶望的にカネがない。

ブラックアジアでは有料会員を募集しています。よりディープな世界へお越し下さい。

次の日には、もう食べて行けなくなる

日本はどうなのか。日本も貯金を一番必要とする人たちが一番それを持っていない。シングルマザーなどはまさにその典型であると言える。

シングルマザーは、その半数以上が相対的貧困に追い込まれている。約123万2,000世帯の半数が貧困なのである。これは決して少ない数字ではない。(マネーボイス:なぜ日本のシングルマザーは地獄なのか?約123万2,000世帯の半数が貧困=鈴木傾城

シングルマザーの多くは非正規雇用者だが、彼女たちは「男女格差」と「正規・非正規格差」の両方で低賃金に落とされている。日本社会は彼女たちに十分な賃金を与えていない。

さらに日本の問題は、家族や兄弟の絆は脆弱で、途上国のように互いに互いを支え合うという家族主義が喪失してしまっていることにある。地域の絆ですらも希薄だ。そのため、シングルマザーは育児のすべてが「母親の肩」にのしかかる。

子供はひとりで産めない。女性が子供を作ったのであれば父親がいる。子供ができて離婚した場合、母親に離婚の原因があるわけではないのであれば父親には養育費を支払う義務がある。

しかし、この養育費も往々にして踏み倒される。

そのため、彼女たちが経済的に困った時、あるいは夫が家庭放棄したような緊急事態となった時、明日をしのぐことすらもままならなくなる。瀬戸際で生きているので、予期せぬ問題が起きた瞬間に路頭に迷う。

次の日には、もう食べて行けなくなる。

日本女性もそういった境遇に堕ちた女性も増えているが、彼女たちは生活保護という「最後の砦」があって、かろうじて救われている面がある。先進国である日本では、発展途上国とは違って政府が助けてくれるのだ。

しかし、日本の財政が厳しくなるにしたがって、この生活保護も受給が難しくなってきている。今後は日本女性も今よりさらに深刻な状況に追い込まれていく。心中、虐待、育児放棄は、そうした中で生まれている地獄でもある。

1999年のカンボジアの売春地帯では何があったのか。実話を元に組み立てた小説、電子書籍『スワイパー1999』はこちらから

経済的困窮が事件を引き起こす

日本の女性が起こしている子供虐待、セックス産業への転落、無理心中などの事件は、すべてが経済的困窮に起因するのではない。夫の浮気、人間関係の悩み、自身や子供の障害が原因であることも多い。

しかし、経済的困窮がそういった事件の多くを引き起こす原因になったり、きっかけになっているのは事実である。これに対しては、政府の対策は後手に回っている。

現代の弱肉強食の資本主義は、明確に1%の勝ち組と99%の負け組を作り出す構造になっており、その中では、高齢者や障害者やシングルマザーという一番弱い末端の部分から見捨てられていく。

その結果、毎日何とかギリギリで綱渡りしながら生きている時はいいが、いったん歯車が狂って収入が途絶えるようなことになると一気に追い込まれていく。

1ヶ月をしのぐどころか1週間も、1週間どころか1日ですらもしのげない最悪の状況に陥っていく。貯金がなかったり、借金があったりすると、一瞬にして絶望的な状況になるのだ。

ここで何とか自力で解決しようとして、消費者ローンやクレジトローンに手を出してしまうと、当座は息をつけてもすぐに返済日がやってきて、それをまた借金で返すような自転車操業に転がり落ちていく。

そうなると、破綻は時間の問題だ。

女性たちは別に1%の成功者になろうと思って挫折しているわけではない。99%の側であっても、ちゃんと生きて行ければいいとささやかに考えている。しかし、その「ささやかな願い」すらも叶わないのが今の社会なのである。

地獄のようなインド売春地帯を描写した小説『コルカタ売春地帯』はこちらから

女性が今すぐにしなければならないこと

日本は、かつては終身雇用が保障されていた時代だった。極端な話、日本人は会社に勤めてさえいれば、貯金がなくても何とかなった。貯金がないまま定年退職を迎えても、今度は年金で何とかなった。

しかし、今はそのどちらも消え去った。

その上、場合によっては明日リストラされるかもしれないし、明日会社がつぶれてなくなるかもしれない。そんな時代だ。そうであるならば、すべての日本人、とりわけ女性が今すぐにしなければならないことは決まっている。

貯金だ。

収入が途絶えても半年は自分と子供が食べていけるように必死で貯金しなければ、いざというときに壮絶な目に遭う。特に、シングルマザーの境遇にある女性は、貯金がなければ間違いなく「社会の闇」に堕ちる。

社会が頼りにならなければならいほど、そして配偶者が頼りにならなければならないほど、「貯金」がまばゆい輝きになって身を助けてくれるようになる。それは自分が自分で作り上げる大切なセーフティーネットである。

夫よりも、親よりも、友人よりも、貯金の方が何十倍も自分を助けてくれる。

まずは、収入を失っても半年しのげる額を貯める。そうすると、それが精神的な支えにもなり、いざというときにも実際に縦横無尽の活躍をしてくれる。社会の暗闇に堕ちなくても済むのである。

実際にはセーフティーネットを使わないで終わる幸運に恵まれることもあるだろう。しかし、どんなときにでもそのセーフティーネットを持っていれば、心の余裕も生まれてくる。

私の知り合った女性の多くは、その「貯金」を持っていなかった。そして、彼女たちは地獄に堕ちた。

『シングルマザーをひとりぼっちにしないために~ママたちが本当にやってほしいこと』

ブラックアジア会員登録はこちら

CTA-IMAGE ブラックアジアでは有料会員を募集しています。表記事を読んで関心を持たれた方は、よりディープな世界へお越し下さい。膨大な過去記事、新着記事がすべて読めます。売春、暴力、殺人、狂気。決して表に出てこない社会の強烈なアンダーグラウンドがあります。

格差カテゴリの最新記事