病気にならない食事とは何かを求めているのに、食に関する常識が揺れている

病気にならない食事とは何かを求めているのに、食に関する常識が揺れている

糖尿病にも、動脈硬化にも、脳卒中にも、慢性腎臓病にもなりたくなければ、食事を見直すしかない。健康的な食事をしなければならない。世界的に、人々が健康に目覚めるようになっている。ところが、である。人々は「健康的な食事とは何か」「病気にならない食事とは何か」を求めているのに、最近は食に関する「常識」が大きく揺れているのである。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

食に関する「常識」が大きく揺れている?

世の中の大部分の人は身体に良い食生活をしたいと思う。食事の乱れが健康の悪化につながる。食事の間違いが、寿命に影響する。妙なものばかりを食べていたら、長い目で見ると必ず何らかの病気を引き起こす。

現代人はそれを知っている。

たとえば、甘い物の取り過ぎ、暴飲暴食、慢性的なカロリー過多、それによる肥満は2型糖尿病になる原因だというのは、いまや誰もが一般常識として理解しているはずだ。糖尿病は放置していても自然治癒しない病気でもある。

にも関わらず厚生労働省が発表した報告書『2017年患者調査の概況』を見ると、糖尿病患者数は過去最多の328万9,000人になっている。

2008年から2017年まで、糖尿病患者は増えているのである。その裏側にはある要因があるのだが、それについてはこちらに書いた。(マネーボイス:日本の貧困層は飢えずに太る。糖尿病患者の半数以上が年収200万円未満の衝撃=鈴木傾城

カロリー過多は高血圧疾患をも呼び寄せる。高血圧は、それを放置していると動脈硬化や脳卒中や慢性腎臓病などにつながる危険な疾患である。

この高血圧疾患は厚生労働省の統計によると総数993万7,000人となっており、実に糖尿病患者の3倍近くの患者がいることが分かっている。

糖尿病にも、動脈硬化にも、脳卒中にも、慢性腎臓病にもなりたくなければ、食事を見直すしかない。健康的な食事をしなければならない。世界的に、人々が健康に目覚めるようになっている。(マネーボイス:コカ・コーラ、世界的な砂糖離れに大苦戦。「健康志向」に乗れない企業は潰れていく=鈴木傾城

ところが、である。人々は「健康的な食事とは何か」「病気にならない食事とは何か」を求めているのに、最近は食に関する「常識」が大きく揺れているのである。

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「糖質制限ダイエット」の台頭

興味深いのは「肉」と「炭水化物」の扱いである。肉は良いのか悪いのか。そして炭水化物は良いのか悪いのか。それが、今では分からなくなっている。かつての常識では、こうだった。

「肉は身体に悪いから控えめにしてした方がいい」
「食事はバランス良く食べた方がいい」
「ご飯はしっかり食べた方がいい」
「食品添加物は避けた方がいい」

しかし今、この「かつての常識」が強く否定されて「新しい常識」を主張する人たちが登場してきた。

今の日本を席捲している「新しい食事」で最も異彩を放っているのが、「糖質制限ダイエット」であり「糖質制限による健康」を説いたものである。『低炭水化物ダイエット』と言うこともある。

これは一体どういうものなのか。ウィキペディアによると、以下のような説明が為されている。

『低炭水化物ダイエットとは、肥満や糖尿病の治療を目的として炭水化物の摂取比率や摂取量を制限する食事療法である。低糖質食、糖質制限食、炭水化物制限食、ローカーボ・ダイエット。炭水化物が多いものを避けるか、その摂取量を減らす代わりに、タンパク質と脂肪が豊富な食べ物を積極的に食べる食事法である』

実際に何を食べて良くて、何を食べたらいけないのか。それが今までの常識と違う。「米、パン、うどん、そば、パスタ、ラーメン、甘い果物」等は食べては駄目で、その代わりに「肉は何でも食べていい、チーズも食べていい、卵も食べていい」というものだったのだ。

厳密に言うと、さらに食べて良い物、悪いものが細分化されるのだが、食事制限では「肉は食べるな」と言われていたはずなのに、「肉は食べてもいい」という逆転がここで起きている。しかし、日本食・日本文化の基礎である「コメ」は厳格に禁止されている。

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「食事はバランス良く」の否定

この糖質制限ダイエットが日本を席捲しており、支持されている。そして、言うまでもないが、この糖質制限ダイエットを激しく反対する人たちもまた存在する。京都大学大学院の森谷敏夫人間・環境学研究科教授は『週刊現代』で以下のように述べている。

『言っておきたいのは、脳を動かすエネルギーは100%、『糖』だということです。炭水化物を食べずに、脳を正常に保つためには、一日に大量のたんぱく質や脂質を摂らなければなりません。数kgもの肉を食べ続けることは現実的じゃない』

糖尿病を専門に診ている岡本卓医師の言葉もある。

『糖質制限ダイエットを厳格に実行すると、体内に老廃物が溜まり、体が酸化し非常に危険な状態に陥るケースが報告されました。スウェーデンの医師は、たんぱく質ばかりを摂ることで、悪玉コレステロールが溜まり、動脈硬化を招き、心筋梗塞や脳梗塞が増えたという結果を発表しています』

これについて激しい激論も戦わされている。

「糖質制限ダイエットは一時的には痩せて効果が出るが長期的に見ると健康を壊す」と主張する専門家と、「糖質制限ダイエットはまったく悪影響を及ぼさない。むしろ糖質を取り続けることに問題がある」と主張する専門家の意見は、どこまでいっても平行線だ。

どちらが正しいのか、専門学者ではない私たちは時間の判定を待つしかない。

問題は、今までは「肉は身体に悪いから控えめにしてした方がいい」「食事はバランス良く食べた方がいい」「ご飯はしっかり食べた方がいい」は、糖質制限ダイエットでは真っ向から否定していることである。

人々は「健康的な食事とは何か」「病気にならない食事とは何か」を求めているのだが、意見が真っ向から割れているので、どうしたらいいのか分からないところに来てしまった。

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どれが真実で何が正しいのか分からない

糖質制限ダイエットとは別の潮流もまたやってきている。それが「ヴィーガン(絶対菜食主義)」である。

こちらは、「健康のため」でもなければ「病気治療のため」でもない。動物由来のものは食べないという思想であり、生き方(ライフスタイル)から生まれてきたものである。(ブラックアジア:ヴィーガン。絶対に肉・魚・乳製品を食べないというライフスタイル

「人間のために殺される動物の数を減らす目的でとる行動なら、どんなささいなことでもすべて価値がある」という主張から、この絶対菜食主義は生まれた。

しかし、絶対的な菜食主義の前に、もっとゆるやかな菜食主義者(ベジタリアン)は世の中には大勢いて、こちらの方は「肉を食べないのが健康につながる」というポリシーが説かれている。

ベジタリアンは古代から存在していて、インドでもジャイナ教は菜食主義を貫徹しているし、日本でも仏教僧が精進料理を食べていた。

『2003年にアメリカとカナダの栄養士会が合同で発表した専門家報告書は256の研究に基いており、牛乳や卵も摂取しない完全な菜食においても栄養が摂取でき、また菜食者はがん、糖尿病、肥満、高血圧、心臓病といった主要な死因に関わるような生活習慣病や認知症のリスクが減り、適切な菜食は乳児や妊娠期における全段階で可能であるとされた』

とウィキペディアには書かれている。

菜食主義が正しいのかどうかもまた判断が分かれているのだが、人類の一部は間違いなく昔から菜食主義を続けており、宗教的にも伝統的にもそれが継続されている。それが一般に膾炙してベジタリアニズムになりヴィーガンになったのだ。

こう考えると、「健康的な食事とは何か」「病気にならない食事とは何か」という問いかけについて、返ってくる答えはひとつではないことに気づくはずだ。食に関する常識が大きく揺れ動いており、どれが真実で何が正しいのか分からない。

こんな状態の中で、あなたは何を食べるだろうか?

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『世にも恐ろしい「糖質制限食ダイエット」』糖質制限ダイエットを戒める本。

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