狙われたら地獄に。私たちは誰でもストーキングに巻き込まれる可能性がある

狙われたら地獄に。私たちは誰でもストーキングに巻き込まれる可能性がある

つきまとわれる。待ち伏せされる。押しかけられる。デートを申し込まれる。ひたすら一方的に連絡される。監視される。侵入される。職場にも押しかけられる。いろんなものを送りつけられる。どんなにやめてくれと言っても、相手は止まらない。もう関わらないでくれと言っても、よけいに関わってくる。つきまとわれる側の精神的な負担は大きい。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

今も次々と起きているストーカー事件

2019年8月19日。山梨県笛吹市に住む板金工の19歳の少年が、狂気のようになって元ガールフレンドを執拗に付け回し、やがて女性を袋叩きにして逃亡した。その後、この男は逮捕されたのだが、その時、刃渡り18センチの包丁を持っていたことが判明した。女性は下手したら殺されていた。

このようなストーキングは「若気の至り」だろうか。どうやら、そうでもない。

2019年8月29日。岐阜県関市上之保で76歳の女性が逮捕されているのだが、この女性は66歳の男性に60回にも渡って連続で電話したり、男性の自宅をうろつきまわったり、男性の家の勝手口のドアノブに食事が入った紙袋をかけたり、メモを残したりして付きまとっていた。

拒んでも拒んでも執拗に電話してきたり、メモを残したり、食事を勝手に届けられたりするのも恐ろしい。

「まともな職業に就いている人」はこんなことはしないのか。どうやら、そうでもない。

2019年7月。神奈川県で40歳の男が逮捕されている。この男は元不倫相手の30代の女性に執拗に付きまとっていていた。

彼女が相手にしないで警察に相談をしたりして拒んでいると、それを逆恨みしてアパート敷地内に侵入し、ごみ集積場に置かれた紙に放火したのだった。この男は何者だったのか。神奈川県警南署警備課の巡査部長だった。

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リチャード・ウェイド・ファーレー

リチャード・ウェイド・ファーレーという男がいた。アメリカ海軍上がりのこの男はプライドが高く、傲慢な性格で、やがてアメリカの軍需産業に勤め出して、そこで13歳年下のひとりの女性と挨拶を交わし、その一度の挨拶で女性に惹かれ、狂気のような恋愛感情を持つようになった。

以後、リチャードは必死になってこの女性をデートに誘おうとするのだが、彼女はそれを拒んだ。しかし、どう拒んでもリチャードは諦めることがなく、会うたびに激烈な感情を書き連ねたラブレターを彼女に渡すようになっていた。

そのラブレターの数は200通を超えていた。4年間、彼女は付きまとわれた。3回引っ越したが、そのたびにリチャードは転居先を突き止めてまとわりついた。彼女は知らなかったが、リチャードは彼女の家の合鍵まで持っていたのだった。

彼女は弁護士に相談して、リチャードは裁判所から接近禁止命令を受けることになった。それでリチャードは逆上し、彼女の職場にショットガン2挺、ライフル4挺に弾丸1100発を抱えて乗り込み、7名を射殺、4名に重傷を負わせる事件を引き起こした。

これが、ストーカー規制法の可決されるきっかけとなった事件だった。

この事件以後も、常軌を逸するストーキングが発生している。かつてのストーキングは執拗な電話が多かったが、最近のストーキングはSNSやメッセージの大量送信に舞台が移っている。

アメリカのフロリダ州で48歳のストーカーが逮捕される事件があったのだが、この男は数回見かけただけの女性に対して、12日の間だけで1万回以上ものメッセージを送りつけていた。

そのメッセージは一方的なものであり、「君と俺は一緒に死ぬんだ」と断定するものもあった。こんなメッセージを一方的に無限なまでの回数を送られたら震え上がるが、ストーカーの執拗さは、常人の想像を超越するものがある。

ロンドンでも、24歳の男が20代の女性にストーキングしていて、たった5日間で520回もメッセージを送信していた。

こうしたストーキング行為は性別を問わずに発生する。しかし、性別で言うと男女のどちらがストーカーになりやすいのかというと、やはり圧倒的に男である。短絡的に思い込みやすく、しかも自制できない上に、行動力もあるという男が持つ気質が、悪い方面に突っ走ってしまう。

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自分は相手と相思相愛になるべきと思い込む

ストーキングは、憎悪から来るものや、恐怖を与える目的で行われるものもあるが、その大半は「度を超した一方的な恋愛感情」だ。

そのようなストーキングの場合、初期の段階では、警察に相談しても「それは、よくある事例だ」と適当にあしらわれることが多い。なぜなら、「実害が出ていない」からである。

相手が異性だった場合、恋愛の初期でのぼせ上がった相手が、付きまとって来るのは比較的よく見られるパターンだ。それは犯罪だろうか。一概に犯罪とは言い切れない。好きになれば誰でも思い詰めるものだ。そして、熱い気持ちを何とか伝えたいと思う。そして、付きまといが発生する。

その付きまといが正常か異常かの判断は、なかなか見極めが難しい。ここがストーキングという犯罪行為の問題点だ。

付きまとわれている被害者は明らかに苦しんでいるのに、警察も法も積極的に介入してくれないのである。そのため、被害に遭うまで、みすみす放置されることがしばしば起きる。

1日中追いかけ回され、後ろを振り向いたら相手が物陰でこちらを見ていたとしても、どうしようもない。

やがて、執拗で度を超したメールやメッセージが続いたり、一方的にプレゼントが贈られてきたり、ゴミ漁りされたり、薄気味悪い接触が続いて来たりすると、それは犯罪の領域に入っていく。

一方でストーキングしている側は、自分のやっていることはすべて好意から来ているものであり、それが犯罪になっているとは思っていないことすらもある。

好きだから付きまとい、好きだから追いかけ、自分を印象付けるために何度も何度もメールやメッセージを送る。自分は相手と相思相愛になるべきだと思い込んでいることが多い。

思い込みが激しすぎて、かつ自己中心的で回りが見えていないのである。そういった性格の人間がストーカーをしている場合、それを咎められることによってさらに逆上して、今度は憎悪のストーカーに転じることになる。

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ストーキングに対して劇的な解決方法はない

つきまとわれる。待ち伏せされる。押しかけられる。デートを申し込まれる。ひたすら一方的に連絡される。監視される。侵入される。職場にも押しかけられる。いろんなものを送りつけられる。

どんなにやめてくれと言っても、相手は止まらない。もう関わらないでくれと言っても、よけいに関わってくる。つきまとわれる側の精神的な負担は大きい。人によっては、絶え間なく続く恐怖のために鬱病に追い込まれることもある。

女性の場合は、私生活をのぞかれたり、レイプされたり、殺されたりするかもしれないのだから、恐怖を感じて当然だ。

そして、その恐怖に対しては誰も助けてくれないのだから、ストーキングの恐ろしさは、実際に付きまとわれた人でないと分からないのかもしれない。

自然に相手の関心が消えるまで辛抱強く待つような悠長なことをしていては、自分自身が壊れてしまう。かと言って、ストーキングに対して劇的な解決方法はない。

警察も弁護士も最初の段階ではそれほど真剣に動いてくれない。そうであれば自分自身で防御しなければならないのだが、それは言うほど簡単なことではない。

電話番号を変えようが、引っ越ししようが、変装しようが、何をしても無駄だ。そんな小手先で乗り切れるようなものであれば追い込まれることはない。逃げても逃げても、とことん追ってくるから恐ろしいのである。

ストーキングされているからと会社を辞めるわけにはいかないが、会社まで知られていれば当然そこから追われるし情報を集められる。

とは言っても、基本的にストーキングに対する最大の防御は、相手を徹底的に「無視する、避ける、接触しない、反応しない」で対処し、警察に相談し、弁護士に相談し、NGO団体に相談して「分かってもらう」しかない。

私たちは誰でもこのようなストーキングに巻き込まれる可能性がある。今日は他人事でも、明日から他人事ではなくなってしまうかもしれない。ストーカーに狙われたら、その瞬間に生活は地獄になる。

『「ストーカー」は何を考えているか』。私たちは誰でもこのようなストーキングに巻き込まれる可能性がある。今日は他人事でも、明日から他人事ではなくなってしまうかもしれない。ストーカーに狙われたら、その瞬間に生活は地獄になる。

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