野良犬の女たち
日本の風俗店は中級から高級になればなるほど、一般常識と気配りを持った美しい女性たちばかりになる。礼節をわきまえ、男を立て、配慮し、立ち振る舞いもまた洗練されていたりする。
言って見れば、高級になればなるほど「できた女性」ばかりになると言っても過言ではない。店は男から高いカネを徴収する。そのため、「できた女性」でないとクレームがきて店が存続できない。
すべての「できた女性」は互いに似ている。「奇妙な女性」はそれぞれ違う。
だから、どこか変わっている女性、枠にはまらないエキセントリックな女性、異様な雰囲気を持った女性、エキセントリックな美的感覚を持った女性、不幸な女性、普通ではない女性に会いたいと思ったら、中級から高級を謳う店なんかに関わっても仕方がない。
私は「できた女性」なんかと一緒にいたくない。私の関心を惹くのは、今も昔も、とびきり変わった女たちや普通ではない女たちである。
安い場末の風俗店というのは、奇妙な女たちの吹き溜まりだ。だから、私は今ではもう安い場末の風俗店に所属する女性しか会わなくなった。この日、会ったのもとびきり変わった女性だった。