生活が破綻すると分かっていても、自滅するかのように仕事をやめる人もいる

生活が破綻すると分かっていても、自滅するかのように仕事をやめる人もいる

私が知り合った女性のひとりは「私、ひとつのことを続けることができない人だから」と自分を評していた。今まで彼女は半年経てば突如として仕事が嫌になって辞めてしまい、職を転々として生きていた。

辞める理由がなくてもやっていることが嫌になるのか、飽きるのか、緊張感が切れるのか、もともとつまらないと思って我慢していたのが耐えられなくなるのか、彼女の場合は「半年」が限界だったようだ。

彼女は特殊なのだろうか。

いや、彼女のように「続けることができない性格」の人というのは、それほど珍しくない。まわりを見回せば、何をしても続かない人というのが何人も目に付くはずだ。

仕事でも、趣味でも、人間関係でも、結婚生活でも、本来は続かなければならないものが続かない。いろんな面で息切れして、今までやっていたものを途中ですべて投げ出してしまう。

まわりに説得され、続けた方が自分のためにもメリットがあると本人も理屈では理解していてもどうしても続けられず、精神的にぷっつりと切れて消えてしまう。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

物事を成し遂げるには時間がいる

何かを継続し、一貫してひとつの道を歩み続けるというのは人間にとってはとても大切なことだ。それは人生で何かを得るためにも、あるいは信頼を勝ち取るためにも重要な要素であるのは間違いない。

逆に言えば、継続できず、一貫してひとつの道を歩み続けることが性格的にできない人というのは、成功するには厳しく、信頼されることもあまりないということでもある。

何でもそうだが、物事を成し遂げるには時間がいる。継続の先に大きな実がなる。物事のすべてにおいて、継続心がなければ実を取ることもできないのだ。

そんなことは誰でも分かっている。だからこそ、いつの時代でもどのようにして継続心を保ち続けるかが大きな関心を生み出している。

しかし、何をやってもどうしても続かず、仕事をすぐに辞めてしまう人がいるのも事実である。

仕事でもそうだが、「続けられない人」というのはいつまで経っても見習いか研修の立場でしかなく、ステップアップすることは到底できない。

それもそうだ。すぐに辞めてしまう人は物事を習熟することがないのだから熟練できない。熟練していない人は大切な仕事を任せられることはない。

そのまま続ければ、曲がりなりにステップアップし、技術を覚え、仕事を覚えられるのに、その段階にくると辞めてしまうので、仕事をする上ではいつも「最も下の従業員」という立場から抜け出せないのである。

そして、そこから抜け出せない限り賃金も低いままであり、かつ仕事を辞めてブランクもできるわけだから、必然的に金に余裕を失い、つまらない仕事でも受けざるを得ないような状況に自らを追い込んでしまう。

ほんの少し継続する努力があればいいのだが、それができないので流されてじり貧になっていく。

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「続かない」ことを知っている

先日、また呼び寄せられるように、私は大阪西成区の「あいりん地区」に向かっていた。あいりん地区も変わってきている。

「あいりん総合センター」という要塞のようになった職安が新今宮駅前にあるのだが、老朽化を理由に閉鎖されてしまっていた。今はシャッターが閉ざされた状態になっているのだが、やがてこの建物は解体されていく。

この建物のまわりでは早朝になると手配師がやってきて、「日雇い」の仕事を募集する。それにあいりん地区に住む労働者が応募して一日のみの仕事を得る。

先日は手配師が昼間も待機していて、あいりん地区をウロウロしている私も「仕事探してんの? 仕事あるで」と声を掛けられた。ここで得られる仕事は日雇いでだいたい一日1万円くらいのものが多い。

しかし、仕事はいつもあるわけではない。また一日限りで使い捨てにされる労働なので、継続しようにも継続できず、安定を得ようにも安定が得られない。

ところが、こうした「日雇い労働」を好む男たちも一部にいるというのも事実だ。なぜか。彼らは自分の性格が「継続に向いていない」「続かない」「毎日やってられない」ことを知っているからだ。

そのため、その気になったときだけ働き、そうでないときは酒でも飲んで寝ているライフスタイルを好む。日雇い労働というのは、そんなライフスタイルにぴったりの仕事でもある。

他に仕事がないから日雇いをしているというよりも、日雇いでしか働けない性格の人も中には存在する。

働きたくない時でも働かないといけない生活というのは、彼らにとっては苦痛な生活である。カネは欲しいが、そんな生活はしたくないと考える。もちろん、貧しくなるのは必至だが、世の中はみんな資本主義的な発想で生きているわけではない。

あいりん地区の募集。この仕事は大阪で募集されているのだが、働く場所は愛知県だった。賃金1万円で30日間。昼間になってもまだ募集をかけているというのは、人が集まらないということでもある。人気がないようだ。

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社会保障を充実させれば貧困が消える?

嫌になって仕事をやめ、生活に窮して仕事を仕方なくする。そのような生活をしていると収入が安定しない。苦しい生活になる。しかし、「その気もないのに働く」のも苦痛なので、一部の人はどうしてもそのようになってしまう。

本当であれば、好きなことを仕事にできればいい。好きなことを仕事にできれば継続しやすいからだ。

しかし、自分の好きなことをやって食べていける人というのは数が限られており、さらに好きな職種であっても、それを継続するためには多くのストレスを乗り越えていかなければならない。

どんな仕事に就いていたとしても、こうしたストレスに耐えることができない人もいる。耐えなければいけないと分かっていても、精神的にストレスの重圧に耐えられない。

そして、逃げる。

だから、「好きなこと」を仕事にしても、やはり続けられる人と続けられない人が分かれてしまう。続けられない人は、突発的に仕事をやめる。働かないと生活が破綻すると分かっていても、まるで自滅を望むかのように仕事をやめてしまう。

そして、もはやどうにもならなくなる瀬戸際で仕方なく何かの仕事を見つけるのだが、やはりその仕事も続かずにある程度のところでまたやめてしまう。それを繰り返して常に綱渡りの生活を続けていく。

「続けることができない性格」というのは、世の中を生きていくには不利な性格だ。しかし、世の中には一定数こうした人たちがいて、いくらまわりの支援や忠告があっても仕事が続かずにどん底から抜け出せない。

どれだけ社会保障を充実させても格差は決して消えることがないのは、社会のどん底をうろつき回ったら分かる。どん底には、助けがあれば抜け出せる人もいるのだが、助けがあろうがなかろうが抜け出せない人もいる。

社会保障を充実させれば貧困が消える? まさか。(written by 鈴木傾城)

「続けることができない性格」というのは危険な性格なのだが、世の中には一定数こうした人たちがいて、いくらまわりの支援や忠告があっても仕事が続かずにどん底から抜け出せない。

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