100万種の動植物が絶滅する。今後は人間も生きるのがつらい環境へ

100万種の動植物が絶滅する。今後は人間も生きるのがつらい環境へ

ツシマヤマネコ、イリオモテヤマネコ、ダイトウオオコウモリ、ハヤブサ、ライチョウ、カンムリワシ、サンショウウオ、ニホンウナギ。日本に棲息するこれらの生物の姿を思い浮かべることができるだろうか。これらの生物には、ある共通点がある。

それは「すべて絶滅の恐れがある」というものだ。

キリン、ライオン、チンパンジー、サイ、コアラ。これらの馴染みの動物もまた個体が激減しており、このままいくと絶滅に向かったとしてもおかしくない状況になっている。

最近は、日本人には欠かせない海の食べ物であるマグロやウナギもまた絶滅が懸念されているのを知っている人もいるはずだ。

2019年5月。国連環境計画が生物多様性に関する政府間会合の中で、「人類の活動によって約100万種の動植物が絶滅危機にさらされている」という報告書を提出している。

人類はすでに74億人を突破してこれからもさらに膨れ上がっていくのだが、それに伴って自然破壊が大きく進んでいる。

この74億人分の食糧やエネルギーを支えるために人類は次々と「開発」という名の自然破壊を大規模に進めており、それによって生態系が破壊されて絶滅する生物が続出しているのだ。100万種と言えば、まさに膨大なまでの生物絶滅の進行である。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

約100万種の動植物が絶滅危機

アマゾンの森林消失はスピードが落ちてきたとも言われているが、それでも2001年から2016年までの間に200万ヘクタール近くの森林が消失し、年間12万3000ヘクタール以上が消失する惨状と化した。

採鉱・製材・農業の3つがアマゾン破壊の理由だ。

すでにアマゾンでは雨が降らずに干魃(かんばつ)が見られるようにもなった。また、アマゾン川の支流も消えてしまったり、水流低下したりしている。それに伴ってアマゾン川に棲息していた魚も消えている。

多種多様な生物を育んでいたアマゾンが干からびて砂漠化していく上に、さらなる伐採が計画されている。

ブラジル政府はアマゾンの不法伐採を防ぐためにキャンペーンを張っているのだが、功を奏していない。

アジア最大の熱帯雨林であるボルネオ(カリマンタン島)でも事情は変わらない。ボルネオでは保護されているはずの国立公園の森林でさえ半分以上が違法に伐採されて、野生動物の多くが絶滅危惧種となった。

アフリカの自然破壊もこれに続いており、インドもまたジャングルが消失した。破壊されていないところは、もはや「皆無」と言ったほうがいい。

森林の消失と共に絶滅生物も増えていく。国連環境計画は「約100万種の動植物が絶滅危機にさらされている」と言っているが、いずれ「約100万種が絶滅してしまった」という報告に変わってもおかしくない。

現在の世界文明は、自然破壊の上で成り立った文明である。

しかし、アマゾンのジャングルも、アフリカのジャングルも、アジアのジャングルも、すべてを完全消失させてしまった時点で、今度は「人類そのもの」も消失しなければならなくなる。

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過酷なものがやってきている

植物は二酸化炭素を酸素に変換させ、多くの野生動物を保護し、人間に多くの恵みを与えてきた。

森林を伐採することによって、その恵みが消えてしまう。

アマゾンだけで地球上の二酸化炭素の4分の1を酸素に変えている。それがなくなる。それなのに、二酸化炭素を出す側の人間は、爆発的に人口を増やしていく。破壊し尽くされたあとに残されるのは、生きるのに過酷な環境でしかない。

あと、数十年もこのようなことを続けていれば、どれほどの環境破壊が生まれるのかは想像できない。

すでに中国やインドやタイや韓国では、化石燃料が原因と思われる化学スモッグで人間ですらも外に出られないような過酷な環境がしばしば発生している。

ヨーロッパでもしばしばパリの大気汚染が話題になるが、実はパリだけでなくドイツ、イタリア、ハンガリー、ルーマニアでも大気汚染が広がっている。

いずれ空気そのものが売り物となり、買える人と買えない人で生存が決まる社会になるかもしれない。なぜそうなるか。自然破壊が進んで二酸化炭素を酸素に転換してくれるジャングルが消滅するからだ。

果たして、空気が売り物になる時代にまで、事態の悪化を人類が傍観しているのかどうかは分からない。

しかし、2019年現在の時点で人口は74億人を超えており、これも単なる通過点でしかないわけで、人口の増加に伴って自然破壊が続くのだから、人類が行き着くところまで行ったとしても何ら不思議ではない。

人類は文明を維持するために猛烈な勢いで地球を破壊しているのだが、それが影響しているのかしていないのか、巨大地震、台風、ヒートウェーブ、ブリザードなどが続いている。

もうすでに「何か過酷なもの」がやってきていると断言してもいい。

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今後は、生きるのにつらい時代になる

自然環境が大きな振幅を見せるというのは、それだけ人間にとって生きにくい環境になっているということでもある。自然破壊は食糧危機につながり、やがて人間を苦しめることにもなるのだ。

耕作地の気候が変わるのだから、収穫量は減るか、ゼロになる確率も高く、今後は、食糧危機もやってくる。食糧の奪い合いが国単位で起きる。食糧危機は「予告されている危機」なのだ。今すぐやって来ないが、いずれやって来る。

いずれやってくるのであれば、必死になって備えていかなければならない。備えるというのは、国で言えば、自給率を必死になって上げていくということである。

農業を必死になって保護して自給率を100%以上にして、剰余分を輸出に回すというのが健全なる社会なのである。

それができない国はどうなるのか。

きたるべき食糧危機の際には、国民が飢餓にさらされる。自国の農業をどれだけ発展できるかが、今後の国家の重要事項となる。自給率が上げられない国家は、数十年後には消滅するほどのインパクトになって襲いかかる。

自然破壊がそれをもたらすのだと分かっているのであれば、人類は何らかの手を打てるのだろうか。それとも、さらに暴走していくだけなのだろうか。

世界各地で起きている自然破壊と動植物の絶滅には注目した方がいい。これらに関するニュースの先は、人間の絶滅につながっているからだ。

復興が不可能な大災害、食糧危機、修復不可能な環境破壊……。今後は、生きるのにつらい時代になる。(written by 鈴木傾城)

 

 

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