停滞する日本社会で、これから若者が選ばされる「3つの選択肢」とは?

停滞する日本社会で、これから若者が選ばされる「3つの選択肢」とは?

2019年10月から消費税が現行の8%から10%になる。これに伴い、2019年5月14日の経済財政諮問会議で話し合われたのは「消費が減退しないように最低賃金の引き上げを企業に働きかけること」だった。

しかし、当然のことだが、賃金を引き上げるかどうかという問題は、企業がきちんと売上と利益を確保できるかという部分にかかっている。

誰が考えても分かるが、普通は消費税を引き上げて景気が上向くことはない。むしろ、じわりじわりと物価が上がるのだから、消費は減退して景気は悪化する。

景気が悪化するというのは、すなわち企業の売上も利益も吹き飛ぶということだ。売上も利益も確保できないのに、賃金だけは上げるような企業はない。

もし、政府に言われてしぶしぶ正社員の賃金を上げるというのであれば、恐らくそのコストの分だけ、非正規労働者やパートをクビにするという動きになる。

また中小企業は今でもぎりぎりのコストでやっているので、賃金の引き上げはできないところが多い。景気が悪化すると、むしろ賃金は下がる。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

借金に頼って生きている若年層

だから、2019年10月の消費税の引き上げは、多くの国民は実質的に可処分所得の減少になってしまう。分かりやすく言うと、使える金が減少する。

そうなると、一番最初に追い詰められるのは、言うまでもなく今までぎりぎりで生活してきた人たちである。ひとり親世帯、預貯金のない高齢者、そして就職に厳しい若年層がみんなまとめて苦境に堕ちる。

民主党政権が崩壊して第二次安倍政権が発足した後、日本の株式市場は大幅に上昇したが、これによって恩恵を受けたのは株式を持っていた人たちだけである。

株式を持っていなかった多くの人たちには、2013年からの株価上昇の恩恵など、何ひとつなかった。株式を買えと言われても、肝心な「元手がない」ので、手も足も出なかったのである。

社会の底辺でもがく人たちは、株式どころか、それこそ日々の生活をやりくりするだけでも四苦八苦している。

貧困がそこに蔓延している。

若年層の少なからずが非正規雇用によって生活破綻の寸前になっているという事実は、すでに知らない人はいない。サラ金(消費者金融)の借り入れは、今や20代から30代の若年層で7割を占めるようになっているほどだ。

その借り入れは「遊び回るため」ではなく、「生活費」のためだというところに切実さがある。給料だけではやっていけないので、借金に頼って生きているのである。

「今後は少子高齢化によって人手不足になるのだから、若年層には仕事にありつけるチャンスがあるはずだ」と10年前までは言われていた。

しかし、非正規雇用が社会に定着して若年層は「使い捨て」にされる社会になっている。使い捨ての仕事がいくら人手不足だと言われても、それで生活を安定させることができない。

その中で、今後は税金がさらに過酷になっていくのだから、若年層の生活が楽になることなどない。

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若い世代の死因の第一位は?

厚生労働省の発行した平成30年版「自殺対策白書」によると、若い世代の死因の第一位は以下の通りになっていた。

15〜19歳 自殺
20〜24歳 自殺
25〜29歳 自殺
30〜34歳 自殺
35〜39歳 自殺

若年層の自殺の原因は、「就職できなかった」「勤務問題で追い詰められた」というものが多い。どんなに努力しても就職できない。何十社、中には百社近くも面談を受けて、すべて断られる若者もいる。

「就職活動に失敗したくらいで自殺するなんて」と思う人もいるかもしれない。しかし、数十社も面談を受けてことごとく断られる若者の立場に立つと、それがいかに残酷なことであるのか想像できるはずだ。

「お前は必要ない」と繰り返し繰り返し言われ続け、「存在を否定される」のである。

感受性の強くて、感情が豊かで、とても素直な心を持った若者ほど、その現状に心が折れてしまっても、それは不思議でも何でもない。実際、ここで脱落して絶望のあまり自殺する若者がたくさんいる。

やっとのことで就職できても非正規労働だったり低賃金だったりして生活が成り立たず、ここでも将来に絶望して自殺に追い込まれることもある。

将来、結婚できないとか、子供が作れないというレベルではない。今の生活すらも成り立たないくらいの給料しかもらえないのである。

さらに、何とか入った企業もブラック企業で死ぬほど酷使されて使い捨てにされて、心身共に疲れ果てて自殺に追い込まれていく若者もいる。

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次の3つの選択肢から好きなものを選べ

もちろん、八方ふさがりになった若年層がみんな自殺するわけでもない。

中には社会の想像以上の厳しさにショックと精神的ダメージを受け、そのまま引きこもってしまう若者もいる。百万人以上もの若者がそのような状態になっている。

1990年代にそうなった若者は、すでに40代や50代になってしまい、それが現代の「8050問題」へとつながっている。(ブラックアジア:重度の「ひきこもり」は、親が死んで腐っても何もできないほど悲惨だ

自殺する若者も働かない若者も結局は自己責任論で責められるのだが、働いても未来がないのであれば最初から人生を投げる若者が出ても仕方がない。引きこもりは自殺しないだけマシだとは言えるが、それが正しい姿であるとは言い難い。

きちんと仕事があり、将来が保証され、働けばどんどん豊かになるというのが正常な社会の姿である。しかし、今の日本はそれが実現できていない。恐らくこれからも実現できない。

少子高齢化がまったく解決できない日本では、内需拡大もできないし、そこからイノベーションを生み出すということも難しい。高齢者は社会が変わるよりも変わらないことを望むので、社会は停滞するばかりになる。

今でさえもこのような状態なのだ。若年層はこのような社会の中で生きていかなければならない。

その上、これから消費税が上がるというのだから、少子高齢化でただでさえ停滞している内需がもっと停滞して景気も下向く可能性が高い。そのことがいかに危険なことであるのかは、議論する余地もない。

現代の日本社会は、まるで若年層に次の3つの選択肢から好きなものを選べと言っているように見える。

「無職」を選ぶか「借金地獄」を選ぶか「自殺」を選ぶか。このような閉塞的な社会は、これからもずっと続いていくことを私たちは覚悟しなければならない。(written by 鈴木傾城)

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現代の日本社会は、まるで若年層に次の3つの選択肢から好きなものを選べと言っているように見える。「無職」を選ぶか「借金地獄」を選ぶか「自殺」を選ぶか。このような閉塞的な社会は、これからもずっと続いていくことを私たちは覚悟しなければならない。

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