社会の底辺で増えていく家賃滞納。分相応のところで暮らして住所を守れ

社会の底辺で増えていく家賃滞納。分相応のところで暮らして住所を守れ

衣食住の中で、最も調整が利かないのは「住」である。つまり、経済的にピンチになった時、着るものや食べるものは我慢することで調整できるのだが、家賃だけは自分の意志では調整できない。

そのため、分相応に過大な家賃のところに住んでいたり、過大な住宅ローンを組んでいたりすると、生活が破綻すると同時に「住」も失ってしまう。

カネを失った上に、住むところも失う。それは、まさに人生のどん底だというのは誰しもが思うはずだ。そうであれば、そうなるケースはほとんどないのかと言えば、まったくそうではない。

2017年の日本賃貸住宅管理協会『賃貸住宅市場景況感調査』によると、全国平均で約8.2%程度の家賃滞納が起きていることが統計から浮かび上がってきている。これは、約12戸に1戸の割合で家賃滞納が起きているということになる。

12世帯が入っているマンションであると、そのうちの1世帯は家賃の支払いに問題が発生している。住所を失うというのは危機的なことなのに意外に多い。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

些細なことで経済的に追い込まれる

今後、家賃滞納は増える可能性がある。なぜなら、日本では爆発的に貧困層(アンダークラス)が増えており、こうしたアンダークラスは些細なことで経済的に追い込まれる可能性があるからだ。

些細なこと、というのは比喩ではない。

それこそ風邪をひいて三日でも寝込めば、それだけで家賃滞納から路頭に迷うところまで一気に追い込まれてしまう。

「インフルエンザにかかった」「ちょっとした怪我をした」というものから、「長い10連休が続いて日給が手に入らなくなって首が絞まった」というものまで、アンダークラスを追い込む「些細なこと」はいくらでもある。(フルインベスト:「10連休が天国になるのか地獄になるのか」の裏側にもある問題が潜んでいた

アンダークラスが増えていったのは、バブル崩壊以後に超就職氷河期で若年層が追い込まれたまま中高年に入っていったということもある。(ダークネス:1971年〜1974年生まれは、自分たちは過酷な時代に生きる世代だと認識せよ

それと同時に少子高齢化も年々深刻化していき、この高齢者がどんどん貧困化しているからである。高齢層が追い込まれているというのは、生活保護受給者の半分以上は高齢層であるのを見ても一目瞭然だ。

今後、消費税が引き上げられることになると、こうした高齢層は収入を引き上げる方法がないので、より追い込まれていく。

さらに、3組に1組が離婚するのが当たり前になった社会の中で、子供を抱えて困窮するシングルマザーも存在する。シングルマザーの2組に1組は貧困である。シングルマザーでなくても、単身女性の貧困は日本では珍しくも何ともない。

ここ数年、私はずっと日本のアンダーグラウンドで風俗や売春に堕ちた女性たちを追っているが、本当に女性の貧困は日本の底辺で放置されているように思える。

シングルマザーの風俗嬢、妊娠して臨月になっても性サービスをしている風俗嬢、住宅ローンを返すために働いている主婦風俗嬢、ネットカフェ住まいの風俗嬢……と、貧困が起因でセックス産業に入った女性たちに数多く会ってきた。

今も継続してこうした女性と会い続けている。(ブラックアジア:野良犬の女たち(ストリート売春、そして流れ者の女)

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家賃滞納は法的には3ヶ月までが限度

家賃というのは、だいたいいくらが妥当なのだろうか。かつて、「家賃は月収の3分の1程度まで」と言われていた時代があった。月収が30万円程度の人の家賃は10万円程度、月収が20万円の人の家賃は6万7000円程度までに抑えるのが良いという意味だ。

ところが、今は家賃を月収の4分の1程度にしておかなければ危険な時代に入っていると著書『家賃滞納という貧困』を書いた太田垣章子氏は指摘している。

コンビニや自販機の利用で便利さを買うのは明らかに費用がかさみ、さらにスマホ代金などを含め「私たちの生活は以前より確実におカネがかかるスタイルに変化している」というのが太田垣章子氏の指摘である。

家賃は月収の3分の1程度と言っていると、蓄えがなければあっと言う間に『家賃滞納という貧困』に陥ってしまうのである。では、その蓄えはどうなのかというと、非常に心もとないのが現状だ。

2019年3月6日。SMBCコンシューマーファイナンスは、30代から40代の世代で「現在の貯金額がゼロ」と答えた人が23.1%となったことを報告している。

この23.1%の「無貯金」の人は、たったの1ヶ月でも月収に問題が発生した場合、すぐにでも家賃滞納に直結してしまうということになる。つまり住所を失ってしまう危機に陥るのだ。

家賃を1ヶ月落としても、すぐに「出て行け」という話にはならないのだが、翌月は2ヶ月分を支払わなければならないので、より不確実性は高まる。この2ヶ月を落とすと次の家賃は3ヶ月分ということだ。

しかし、1ヶ月分をも支払えない状況に陥っている人が3ヶ月分の家賃を返せるアテが見つかるのかと言えばなかなか難しいのではないか。

家賃滞納は法的には3ヶ月までが限度である。(ブラックアジア:あなたは家賃を払えなくなって催告書を突きつけられたことがあるか?

鈴木傾城が、日本のアンダーグラウンドで身体を売って生きる堕ちた女たちに出会う。電子書籍『デリヘル嬢と会う2』はこちらから。

当たり前さえ維持できない社会

住むところに見栄を張るべきではない。また、住む場所に見栄を張るべきでもない。別に港区や世田谷区に住まなくても人間は暮らしていける。自由が丘や吉祥寺みたいなところでないと生きていけないわけでもない。

足立区や江戸川区はブランドではないかもしれないが、それでも多くの人が普通に暮らして普通に生きていて、インフラも整っているし活気もあるし物価も安いしむしろ「人気のある街」よりも過ごしやすいとも言える。

自分が分相応なところに住んでいるかどうかは、家賃や住宅ローンが月収の3分の1を超えているかどうかで判断するのが最も分かりやすい。堅実な人は4分の1以内に抑えられているかどうかで決めるのもいい。

月収が30万円の人は家賃が10万円程度でないといけない。家賃15万円のところに暮らしているのであれば、それは間違いなく「見栄」が含まれているということだ。他人に見栄を張ったところで、それで自滅するのであれば意味がない。

月収で入れる適切な家賃でないのであれば早い段階でダウングレードしておくか、もしくは仕事を失うと即座にダウングレードできる体制を整えておくのが最終的に「住所を守る」ための確実な方法となる。

住所を持つことによって、行政サービスが受けられ、きちんとした仕事を得ることができ、プライバシーと安心と安眠が得ることができるようになる。住所がなくなると、そのすべてが吹き飛んでいく。

住所がないと仕事も日雇い労働くらいしか得られなくなり、その必要最小限の賃金ではそこから這い上がれなくなってしまう。

決まった住所を持つというのは、社会生活を送る人間として当たり前以前のことであると普通は考える。しかし、その当たり前さえ維持できそうにないような不安定な状況に追い込まれるのが今の社会である。(written by 鈴木傾城)

決まった住所を持つというのは、社会生活を送る人間として当たり前以前のことであると普通は考える。しかし、その当たり前さえ維持できそうにないような不安定な状況に追い込まれるのが今の社会である。

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