日本で生まれたからと言って、誰もが平等に良い思いをするわけではない

日本で生まれたからと言って、誰もが平等に良い思いをするわけではない

あなたは運が良い人生を歩んでいると考えるだろうか。それとも、運の悪い人生だと思うだろうか。国連加盟国は193カ国。そのうち、先進国に分類されるのは30カ国。ということは、先進国で生まれるよりも途上国で生まれる確率の方が高かった。

先進国で生まれたからと言って絶対に恵まれた生活になるとは限らないが、途上国で生まれるよりもチャンスが多いのは事実だ。

たとえば、シリアやイラクで生きていたら大変なことになっていただろう。ソマリアやコンゴで生きていたら、地獄を這っていただろう。同じアジアで生まれていても、日本に生まれるのと北朝鮮に生まれるのとは運命は雲泥の差となる。

他にも、生まれた時代、生まれた場所、生まれた両親、五体満足だったかどうかによって人間の運・不運が決まる。不運であれば、その人生は自分の努力ではどうしようもないほどのハンディを負って生きることになる。

しかし、その不運でさえも、先進国の不運と途上国の不運は深刻度が違ってくる。

そう考えると、多くの日本人は良い国に生まれたと言うことができるかもしれない。しかし、もちろん日本で生まれたからと言って、誰もが平等に良い思いをするわけではない。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

「右肩上がりの時代」とは違う時代

1930年に若者だった日本人と、1960年に若者だった日本人と、1990年に若者だった日本人は、みんなそれぞれ運命が違っていた。ほんのわずかな差で「良い時代」と「悪い時代」は入れ替わるのだ。どちらになるのかは、「運」でしかない。

戦後の成長期からバブル崩壊までの時期、いわゆる「右肩上がりの時代」とはまったく違う異質な時代がすでに1990年代から到来している。それは、2000年代に入ってから急激に加速していったものだ。

1955年から始まった高度成長期時代の右肩上がりの時代では、人々はそれほど深く考えなくても、みんな自然に豊かになれた。滞りなくどこかの会社に勤めていれば、自然に給料は上がっていった。そして、買った不動産も株式も放っておけばどんどん価格が上がっていった。

この時代に若者だった人たちは「良い国」の「良い時代」に生まれたのかもしれない。戦後日本の絶頂期がそこにあった。

しかし、それは1989年12月で終わり、1990年から巨大なバブル崩壊で日本経済は撃沈した。それ以降は経済が縮小していく中で、すべての日本人が経済衰退の中で生きなければならなくなった。

確かに日本は先進国だ。まだ「良い国」ではあるのだが、「良い時代」は過ぎ去ってしまったのだ。視界が突如として不明瞭になり、生活は誰もが「守り」に入り、漠とした不安が世の中を包むようになった。

その中で運不運が大きく分かれ、先進国で生まれたことを存分に享受できる人と、そうでない人が分かれてしまった。

今の日本人は、過去の経験則で生きられない時代となっている。「良い大学に行って、良い会社に入って、定年まで勤めて、あとは年金で悠々と生活」が消えた。

今は誰もが「どのように生きたらいいのか分からない」という問題を抱えている。さしずめ、「より良く生きるには、何をしたらいいのか」ということすらも見い出せない。

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「今をしのぐだけ」の仕事

日本企業はもう、終身雇用で人を雇うことは避けるようになっている。また、正社員を増やすこともなくなった。就職は将来を約束するものではなくなり、今をしのぐだけの役割しかなくなった。

しかし、その「今をしのぐだけ」の仕事すらも、見つけることが大変な時代となっているのである。

引きこもって生きる若年層は約63万人もいる。その予備軍も入れれば約200万人が、ごく普通に仕事をするということすらもできていない。仕事をしなければ、自立することもままならない。

自立できなければ、自分の人生を築くことができず、結婚も夢のまた夢になる。少子化はもう数十年も解決されないまま放置され、これに高齢化が重なって日本は「超」がつく少子高齢化社会と化した。

勉強しても、大学を出ても、それで成功できるほど楽な時代ではなくなった。これに乗れば安泰だという「レールに敷かれた人生」がいきなり消えてなくなってしまったのである。

日本社会は、もう彼らの救済をすでにあきらめてしまっているように見える。

そのため、引きこもりになった人々のうちの40%は30代後半から40代に入ってしまっている。彼らは、何もしないままそこまで来てしまった。そこに、失業者やリストラ予備軍が加わっていく。

今や大手企業の社員でも、リストラに怯える時代なのだ。そしてどうなったのか。日本人の誰もが、「明日は我が身だ」と考えながら、心の奥底に一抹の恐怖心を持って暮らす時代となったのだ。

先進国で生まれて「運が良かった」はずなのに、まったく運の良さを享受できない世代がいよいよ普通になりつつあるのである。

希望のない世界が生まれたのだ。

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恐れと、不安と、恐怖だけ

明日の展望も描けない人に希望などあるはずがない。恐れと、不安と、恐怖だけが心に積み上がっていく。

経済的なダメージを受けている人たちも増え始めている。若年層だけでなく、中高年も、高齢層も、みんな収入を減らしている。

詳しい数字はもう分からない。なぜなら、2019年に入って統計が間違っていたことが発覚し、日本の成長率は発表された数字よりもさらに低いことが分かったのだ。ただ、貧困が増えているという事実だけは確かだ。

今はまだ、個人の必死の努力で何とか小さな幸せをつかみ取ることができるチャンスは残されている。狭き門となってしまったが、個人の壮絶な努力で成功することは不可能ではない。

しかし、もっと時代が進めば、もう個人の努力ではどうしようもないほどの状況になってしまうかもしれない。

子供たちも巻き添えになる。

今でも約300万人の子供が貧困で喘いでいるというのであれば、これからはさらに膨大な子供たちが貧困に落ちていく。貧困に落ちれば、まず子供の教育費が削られるので、子供の学力が犠牲になる。貧困が起因となる虐待もまた増えている。

その結果どうなるのか。日本に生まれても「良かった」と思う人が減っていき、徐々に怒りを感じるようになっていく。その怒りは社会の底辺でマグマのようにぐつぐつと煮え立ち、膨れ上がっていく。

事態が改善されなければどうなるのか。それは、いずれ遅かれ早かれ爆発してしまうのである。この膨れ上がるマグマが爆発して壊すのは、今の社会の政治・経済・文化である。

今の日本社会は破壊されるのだが、その結果何が生まれるのかは未知だ。人々が今の社会をひっくり返した後、再び日本は高度経済成長の軌道に乗るかもしれないが、社会が破壊されたままより悪化することもあり得る。

私たちの未来は何が待っているのだろうか……。(written by 鈴木傾城)

今はまだ、個人の必死の努力で何とか小さな幸せをつかみ取ることができるチャンスは残されている。狭き門となってしまったが、個人の壮絶な努力で成功することは不可能ではない。しかし、もっと時代が進めば、もう個人の努力ではどうしようもないほどの状況になってしまうかもしれない。

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