親が高齢化して、ひきこもった子供の面倒を見ることができなくなっている

親が高齢化して、ひきこもった子供の面倒を見ることができなくなっている

「8050問題が深刻化している」と、現場から声が上がるようになっている。8050問題とは何か。それは「80代の高齢化した親と50代のひきこもりの子供の共に困窮化し、共倒れになる問題」を指す。

1990年のバブル崩壊後、この頃の若年層は未曾有の就職氷河期にさらされ、うまく仕事を見つけることができなかった。(ダークネス:1971年〜1974年生まれは、自分たちは過酷な時代に生きる世代だと認識せよ

彼らの一部は仕事をするのをあきらめて、そのまま「ひきこもり」となっていった。そして、30代や40代になっても彼らは依然としてひきこもったままだった。そのひきこもった子供を親が面倒を見ていた。

しかし今、その親も高齢化して貯金も使い果たし、親子共に困窮化し、共倒れになりそうになっているのである。

これが「8050問題」と言われている。「7040問題」と言われることもある。これも構造的には同じで「高齢になった70代の親とひきこもる40代の子供」の困窮の問題だ。

本来であれば子供が親の面倒を見なければならないはずなのだが、ひきこもる子供は何もしない。最後の最後まで親に依存したままだ。そして、次々と事件が起きるのである。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

完全に「生活無能力者」になった子供たち

兵庫県明石市二見町で、76歳の母親が49歳の長男に殴り殺された事件があった。この長男は仕事もしないで家の中でぶらぶらして過ごし、母親の年金に寄生して生きていた男だった。

早い話がこの男も「ひきこもり」だった。働こうとせず、自立しようともせず、ただ老いた母親にすがっていた。それならば母親に恐縮して大人しくしているべきだが、それもない。母親を奴隷か家政婦のように思っていた。

この49歳の働かない息子は「食事を作らなかったので腹が立った」ので、76歳の母親の顔を拳で殴った。

働かないでぶらぶらしている息子が食べさせてもらっている母親を殴るのだから、頭がどうかしている。結局、それが元で母親は死亡した。

ところで、その1ヶ月前にはよく似たような事件があった。

奈良県香芝市で起きた事件だったが、81歳の母親の年金に寄生して生きていた55歳の男が、死体遺棄の疑いで逮捕されていたのである。

81歳の母親が台所で倒れて死んだのだが、55歳の無職の息子はそれをそのまま5日間放置して暮らしていた。

この男も完全にひきこもって母親に食べさせてもらっている子供だった。55歳にもなってずっと無職で社会から縁が切れていた。そして、死んだ母親をどうしたらいいか分からずに5日間も放置していたのだった。異常極まりない。

この55歳の男は、あまりに長いひきこもりで完全に「生活無能力者」になっていたことが分かる。実は、何をどうしたらいいのか分からずに逃げたという事件は大阪市西淀川区でも起きていた。

81歳の母親が布団の中で死んでいたのだが、無職の51歳の男は「どうしたらいいのか分からなかった。動転した」として、放置したまま逃げていた。

これが「8050問題」である。完全に「生活無能力者」になった子供たちの姿がここにあるのが見えてくるはずだ。

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気が付けばひきこもりになっていった

日本は1990年のバブル崩壊を経て、急速に就職口が減っていったのだが、それが深刻化したのが2000年代に入ってからである。

企業は正社員として若者を採用するのをやめて、どんどん非正規雇用を増やしていった。それによって若者たちは安い給料で時期が悪ければすぐに見捨てられる「使い捨て要員」にされてしまった。

最初から仕事が見付からないまま、親に面倒を見てもらうしかない若者がまずひきこもり化し、次に非正規雇用で働いていて契約が切れて新しい職場が見付からない若者がひきこもりになっていった。

日本経済はバブル崩壊の痛手から抜け出せず、2006年以後は政治の混乱も重なってますます若者を追い詰めることになった。

不幸だったのは、この混乱をさらに加速させる民主党が2009年から2012年まで政権を取ったことだ。日本史上、類を見ないまでの無能政党と言われた民主党は、異常な円高を放置して日本企業が破滅していくのを知らん顔をして見ていた。

そのため、雇用環境はさらに悪化して、若者の貧困は決定的になってしまったのである。最初は正社員になれれば何とか勝ち組だと言われていたが、やがてその正社員ですらもリストラで放り出される時代が到来した。

そんな厳しい社会の中で、次の仕事が見付からない若年層も中高年も次第に心を病んでいき、気が付けば一部がひきこもりになっていったのだ。

20代のうちに生活を成り立たせる仕事や収入を得ることができず、そのまま親に依存したまま30代を迎えた人たちが40代に入った。この頃から親の高齢化と重なって「7040問題」となり、それがより進んで「8050問題」になっている。

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依存して生きる方法は正しいのかどうか

ひきこもりになって社会の接点を失うと、年齢がいけばいくほど社会復帰は難しくなる。まったく働いたことのないまま30代や40代になった無経験・無資格の人間を雇う企業はなかなかない。50代に突入したら、ほぼ絶望的だ。

そのため、ひきこもりになった子供が親が高齢化したからと言って何かが変わるわけではない。仕事を探すこともないまま、親が死んでしまうまで親の家の一室にひきこもっているのだ。

こうした環境にいる40代、50代のひきこもりが少なくとも60万人から100万人の規模で存在する。

親としては厳しい社会に叩きのめされている我が息子を必死で守ってきたと考えているのかもしれないが、結局は何もできない子供になって行き着く先は「親子共倒れ」の世界なのである。

親は子供を突き放すべきだった。本当に子供を愛し、子供を守りたいと思っているのであれば、子供を自立させる以外に方法はない。

本当に子供のことを思っている親は、恐らく親を頼ってくる子供を突き放す。それは非情に見えるかもしれない。しかし、その非情は大きな目で見ると正しいことだ。

寄生させないというのは、親にとっても子供にとっても正しいことなのである。人はいずれ自立して生きていかなければならないのだから。

8050問題はいずれは親の死によって、また次の問題となる。それはひきこもったまま生活無能力者となった人間をどうするか、という問題だ。

彼らは自分で生きることができない。ひとりで何もできない。そのため、結局は私たちの税金で彼らを養い、死ぬまで面倒を見ることになる。子供を自立させなかった親の後を継いで……。(written by 鈴木傾城)

厳しい社会環境の中でひきこもりになった子供たちがいる。それを高齢化した親が支えきれなくなって「8050問題」が深刻化している。彼らは自分で生きることができない。ひとりで何もできない。

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